21 / 44
頑張る王女様
しおりを挟む
「恥ずかしいよぉ…。」
「案ずるでない。コナソよ、ワシは凛々しいかのぅ?」
「は、はい。凛々しいです。」
「よきかな。ところで、ワシは若々しいかのぅ?」
「え?えっと…。」
「それはいかん!ソノーコよ、若々しく描くのじゃ!」
「2人とも黙っててよ!こっちは集中したいのよっ!」
僕は朝食後、王様と第二王女に別室に連れ去られてしまった。第二王女はメイドに何やら指示を出し、早速、王様から肖像画を描き始めた。「本気で集中したいから、横から覗きながら描くより、正面で描きたいの」と言って、僕を膝の上に乗せた。王族の膝の上に座るなど、恐ろしすぎるので必死に抵抗したが、「私が何人の肖像画を描かなきゃいけないか分かってんのぉ?!」と凄まれて、怖かったので大人しくしている。そうして王様を前にして、第二王女の膝の上に座るという、この状況が発生した。
第二王女は絵を描く手が早く、描き始めてから10分程で手を止めた。
「とりあえず、線画はこれで良いわ。着色は後で纏めてやるから。」
「ふむ、見せなさい。」
王様がこちらに来てウィンドウを覗き込んだ。良い出来だと、頷きながら言った。
「平民用の自販機には、王族の肖像画を。貴族用の自販機には、王族とイケメンの肖像画を付けるのじゃ。」
「はぁ、わかったわ。」
王様は部屋を出て行き、メイドが王妃様を呼びに行った。第二王女は僕を膝から下ろした。
「ふぅ、子供を膝に乗せるだけでも、結構疲れるのね。」
「あの、王女様。自販機の事なんですけど。」
「なぁに?」
「当初の予定では、肖像画代として、銀貨1枚を想定していましたが、肖像画が平民の自販機でも売られるとなると、値段をどうしたら良いか分からなくなってしまいました。」
「そうよねぇ。ただ値段の差を付けるのは良い事だと思うのよ。お貴族ってやっぱり高くて特別な方が好きだもの。あんたの方の機能で、なんとかならないの?」
「流石に…あぁ!!」
「わ、びっくりしたぁ。なんか思い付いたの?」
「は、はい…まだ確定はできませんが、デザインが終わり次第、検証したいと思います。」
「そう、なら一安心かしらね。」
コンコンッとノックの音が鳴り、朝食時よりも煌びやかなドレスと装飾品を身に付けた、王妃様が部屋に到着した。
「よし、やるわよ!乗りなさい。」
僕も気合を入れたいのに、膝の上で大人しくするだけなのが格好悪かった。
♦︎
「お姉様まで、着替えてくるなんて。装飾品が、細か過ぎて大変だわぁ。」
王妃様と第一王女の線画を書き終えて、第二王女は歩きながら溜息をついた。
「王女様、これからどこへ行くのですか?」
「んー、お父様がイケメンを描けって言ってたでしょう?メイドに頼んで、別室に集めてもらってるの。今から顔合わせになるわね。」
到着した部屋の扉を開くと、美しい男の園が広がっていた。僕は、お城って顔採用してるのかな?と、あわあわしていたが、第二王女がメイドに向かって「絞ったわね、助かるわ。」と話しかけていて、これで絞ったんですか、と驚いた。
騎士の人は体格もよく、集められた人数も多い。皆正装をしているので、男の僕でも惚れ惚れする姿をしている。よく見ると、一緒に王都に来た従者の人もいた。
大臣や補佐の人達は、知的で中世的な美しさの人が多い。全員ではないが、眼鏡を掛けているところも良いと思った。
1人だけ駆り出された庭師も、少し萎縮しているが優しそうな顔立ちで、とてもかっこいい。
王女様が部屋に入ると、イケメン達は一斉に頭を下げた。
「急にお呼び立てしてごめんなさい。今、私とこの少年は、王命を受けて動いています。あなた方は王より選ばれました。拒否権はありません。協力して頂きます。」
イケメン達は光栄な事だと喜んだり、一体どんな使命を受けたのかと固唾を飲んだりしている。1人が適当な場所に立たされ、その前に置かれた椅子に僕とお姫様が一緒に座る姿を見て、一同はポカンとした顔をする。
「あの…」と立たされたイケメンが口を開こうとすると、第二王女は「喋らないで」と強く睨んだ。
第二王女は、次々に線画を描き上げていき、色のイメージも固まっている者には簡単な彩色もした。
「ふぅ。」
第二王女は一息ついて額の汗を拭った。
「皆様、ご協力感謝いたします。…説明は必要かしら?」
面倒だなと思った王女様だが、集められたイケメンは当然ながら説明を求めた。
「皆様、休憩スペースとエントランスにある自販機という大きな箱をご覧になりましたか?まだ見ていない人が多いようね。お城は広いから、職務によってはあまり立ち寄らないのかもしれませんね。自販機では飲料を販売しています。今、あなた方の肖像画を描かせて頂きました。肖像画は、飲料の容器に貼り付けさせて頂きます。説明は以上です。職務に戻ってください。」
王女様は、とやかく言われる前に、僕と一緒に部屋を出た。
「そんなに急がなくても…」
「だって。なかには、容姿を褒められても喜ばない人もいたし、王命とか言って期待させて、王女のお遊びでがっかりされるのも忍びないわ。でも急ぐに越した事はないのよ。まだ着色が山の様に残ってるんだから。」
「…王女様は何でそんなに頑張るのですか?」
「え?…そうよねぇ。初めは自分が飲みたいだけで、それに加えてチヤホヤされたくなっちゃったんだけど、完結してたのに、お父様に無理やり白紙にされちゃったのよねぇ。まぁ、権力には逆らえないわ。これを頑張れば皆が私を褒めそやす未来が見えるし。なんだかご褒美も貰えることになったし、やってやるわ!」
王女様は私室に到着すると、早速着色に取り掛かった。王女様がすごく頑張っているので、僕も少しでも良い物が出来る様に頑張りたいと思った。今朝、細密な装飾ができるようになったから、それを使って良い物が作れるかもしれない。今はウィンドウはデザインで使われてるので、僕は頭の中で、色々な案を考えた。
「案ずるでない。コナソよ、ワシは凛々しいかのぅ?」
「は、はい。凛々しいです。」
「よきかな。ところで、ワシは若々しいかのぅ?」
「え?えっと…。」
「それはいかん!ソノーコよ、若々しく描くのじゃ!」
「2人とも黙っててよ!こっちは集中したいのよっ!」
僕は朝食後、王様と第二王女に別室に連れ去られてしまった。第二王女はメイドに何やら指示を出し、早速、王様から肖像画を描き始めた。「本気で集中したいから、横から覗きながら描くより、正面で描きたいの」と言って、僕を膝の上に乗せた。王族の膝の上に座るなど、恐ろしすぎるので必死に抵抗したが、「私が何人の肖像画を描かなきゃいけないか分かってんのぉ?!」と凄まれて、怖かったので大人しくしている。そうして王様を前にして、第二王女の膝の上に座るという、この状況が発生した。
第二王女は絵を描く手が早く、描き始めてから10分程で手を止めた。
「とりあえず、線画はこれで良いわ。着色は後で纏めてやるから。」
「ふむ、見せなさい。」
王様がこちらに来てウィンドウを覗き込んだ。良い出来だと、頷きながら言った。
「平民用の自販機には、王族の肖像画を。貴族用の自販機には、王族とイケメンの肖像画を付けるのじゃ。」
「はぁ、わかったわ。」
王様は部屋を出て行き、メイドが王妃様を呼びに行った。第二王女は僕を膝から下ろした。
「ふぅ、子供を膝に乗せるだけでも、結構疲れるのね。」
「あの、王女様。自販機の事なんですけど。」
「なぁに?」
「当初の予定では、肖像画代として、銀貨1枚を想定していましたが、肖像画が平民の自販機でも売られるとなると、値段をどうしたら良いか分からなくなってしまいました。」
「そうよねぇ。ただ値段の差を付けるのは良い事だと思うのよ。お貴族ってやっぱり高くて特別な方が好きだもの。あんたの方の機能で、なんとかならないの?」
「流石に…あぁ!!」
「わ、びっくりしたぁ。なんか思い付いたの?」
「は、はい…まだ確定はできませんが、デザインが終わり次第、検証したいと思います。」
「そう、なら一安心かしらね。」
コンコンッとノックの音が鳴り、朝食時よりも煌びやかなドレスと装飾品を身に付けた、王妃様が部屋に到着した。
「よし、やるわよ!乗りなさい。」
僕も気合を入れたいのに、膝の上で大人しくするだけなのが格好悪かった。
♦︎
「お姉様まで、着替えてくるなんて。装飾品が、細か過ぎて大変だわぁ。」
王妃様と第一王女の線画を書き終えて、第二王女は歩きながら溜息をついた。
「王女様、これからどこへ行くのですか?」
「んー、お父様がイケメンを描けって言ってたでしょう?メイドに頼んで、別室に集めてもらってるの。今から顔合わせになるわね。」
到着した部屋の扉を開くと、美しい男の園が広がっていた。僕は、お城って顔採用してるのかな?と、あわあわしていたが、第二王女がメイドに向かって「絞ったわね、助かるわ。」と話しかけていて、これで絞ったんですか、と驚いた。
騎士の人は体格もよく、集められた人数も多い。皆正装をしているので、男の僕でも惚れ惚れする姿をしている。よく見ると、一緒に王都に来た従者の人もいた。
大臣や補佐の人達は、知的で中世的な美しさの人が多い。全員ではないが、眼鏡を掛けているところも良いと思った。
1人だけ駆り出された庭師も、少し萎縮しているが優しそうな顔立ちで、とてもかっこいい。
王女様が部屋に入ると、イケメン達は一斉に頭を下げた。
「急にお呼び立てしてごめんなさい。今、私とこの少年は、王命を受けて動いています。あなた方は王より選ばれました。拒否権はありません。協力して頂きます。」
イケメン達は光栄な事だと喜んだり、一体どんな使命を受けたのかと固唾を飲んだりしている。1人が適当な場所に立たされ、その前に置かれた椅子に僕とお姫様が一緒に座る姿を見て、一同はポカンとした顔をする。
「あの…」と立たされたイケメンが口を開こうとすると、第二王女は「喋らないで」と強く睨んだ。
第二王女は、次々に線画を描き上げていき、色のイメージも固まっている者には簡単な彩色もした。
「ふぅ。」
第二王女は一息ついて額の汗を拭った。
「皆様、ご協力感謝いたします。…説明は必要かしら?」
面倒だなと思った王女様だが、集められたイケメンは当然ながら説明を求めた。
「皆様、休憩スペースとエントランスにある自販機という大きな箱をご覧になりましたか?まだ見ていない人が多いようね。お城は広いから、職務によってはあまり立ち寄らないのかもしれませんね。自販機では飲料を販売しています。今、あなた方の肖像画を描かせて頂きました。肖像画は、飲料の容器に貼り付けさせて頂きます。説明は以上です。職務に戻ってください。」
王女様は、とやかく言われる前に、僕と一緒に部屋を出た。
「そんなに急がなくても…」
「だって。なかには、容姿を褒められても喜ばない人もいたし、王命とか言って期待させて、王女のお遊びでがっかりされるのも忍びないわ。でも急ぐに越した事はないのよ。まだ着色が山の様に残ってるんだから。」
「…王女様は何でそんなに頑張るのですか?」
「え?…そうよねぇ。初めは自分が飲みたいだけで、それに加えてチヤホヤされたくなっちゃったんだけど、完結してたのに、お父様に無理やり白紙にされちゃったのよねぇ。まぁ、権力には逆らえないわ。これを頑張れば皆が私を褒めそやす未来が見えるし。なんだかご褒美も貰えることになったし、やってやるわ!」
王女様は私室に到着すると、早速着色に取り掛かった。王女様がすごく頑張っているので、僕も少しでも良い物が出来る様に頑張りたいと思った。今朝、細密な装飾ができるようになったから、それを使って良い物が作れるかもしれない。今はウィンドウはデザインで使われてるので、僕は頭の中で、色々な案を考えた。
0
あなたにおすすめの小説
失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた
しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。
すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。
早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。
この案に王太子の返事は?
王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
私はいけにえ
七辻ゆゆ
ファンタジー
「ねえ姉さん、どうせ生贄になって死ぬのに、どうしてご飯なんて食べるの? そんな良いものを食べたってどうせ無駄じゃない。ねえ、どうして食べてるの?」
ねっとりと息苦しくなるような声で妹が言う。
私はそうして、一緒に泣いてくれた妹がもう存在しないことを知ったのだ。
****リハビリに書いたのですがダークすぎる感じになってしまって、暗いのが好きな方いらっしゃったらどうぞ。
犬の散歩中に異世界召喚されました
おばあ
ファンタジー
そろそろ定年後とか終活とか考えなきゃいけないというくらいの歳になって飼い犬と一緒に異世界とやらへ飛ばされました。
何勝手なことをしてくれてんだいと腹が立ちましたので好き勝手やらせてもらいます。
カミサマの許可はもらいました。
王宮メイドは今日も夫を「観察」する
kujinoji
恋愛
「はぁぁ〜!今日も働くヴィクター様が尊すぎる……!」
王宮メイドのミネリは、今日も愛しの夫ヴィクターを「観察」していた。
ヴィクターが好きすぎるあまり、あますところなく彼を見つめていたいミネリ。内緒で王宮メイドになり、文官である夫のもとに通うことに。
だけどある日、ヴィクターとある女性の、とんでもない場面を目撃してしまって……?
※同じものを他サイトにて、別名義で公開しています。
30歳の英雄王は転生勇者を拾い無双に育てます
蒼井青龍
ファンタジー
山奥の小屋でのんびり暮らしていた
かつて英雄王と呼ばれていたライに、現世から転生してきた赤ん坊を立派な無双勇者に。
そして、たくさんの人との出会い、別れをへて成長し世界を魔王族から守る
〜新英雄王譚〜
もしもゲーム通りになってたら?
クラッベ
恋愛
よくある転生もので悪役令嬢はいい子に、ヒロインが逆ハーレム狙いの悪女だったりしますが
もし、転生者がヒロインだけで、悪役令嬢がゲーム通りの悪人だったなら?
全てがゲーム通りに進んだとしたら?
果たしてヒロインは幸せになれるのか
※3/15 思いついたのが出来たので、おまけとして追加しました。
※9/28 また新しく思いつきましたので掲載します。今後も何か思いつきましたら更新しますが、基本的には「完結」とさせていただいてます。9/29も一話更新する予定です。
※2/8 「パターンその6・おまけ」を更新しました。
※4/14「パターンその7・おまけ」を更新しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる