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135、継承(2)
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ドアを出ると、大樹の前には四人の森の住人が膝をついてリルを待っていた。
ノワゼア、レオンソード、ルビータ。それに、クレーネの分身であるヒメミナ。リルの選んだ四本の新しい結界の楔だ。
大樹が息を吹き返したことで、皆、リルが九代目の魔法使いを継承したことを知っている。
リルは頭を垂れる楔達を見回し、万感の思いで口を開く。
「みんな、ありがとう。私、みんなのお陰で魔法ちゅか……っ」
「噛んだ」
「初っ端の挨拶で噛んだよ、今代の魔法使い」
ノワゼアとレオンソードが顔を見合わせヒソヒソする。
「と、とにかく! お陰様で九代目魔法使いになりました! よろしくね」
リルは真っ赤になって早口で頭を下げる。とことん締まらないが、これが今代の碧謐の森の魔法使いだ。
「では、新しい結界を張ります。やり方よく分かんないけど」
「……森の将来が滅茶苦茶不安になってきたぞえ」
「……あたしも」
頭を寄せるヒメミナとルビータに苦笑して、スイウはリルの隣に立つと彼女の手を握った。途端に肩を跳ねさせるリルに、スイウが囁く。
「私が補助する。結界を完成させよう」
「……はい!」
胸のドキドキを悟られぬよう、リルは大きく深呼吸した。
新しい結界はスイウが概ね構築し終えていたから、あとは仕上げだけだ。
スイウが紡ぐ呪文を、リルは目を閉じて復唱していく。
四つの楔と大樹を中心に光の環が広がり、森を包みこんでいく。
昏い霧が晴れ、清々しい風が木々を渡る感覚。
詠唱が終わり、目を開けると、いつもの森が見えた。鳥が囀り、梢が揺れる、いつもと変わらない……それでいて、新しい森。
初めての大仕事に、胸が詰まる。
「スイウさん、出来ましたよ!」
振り仰ぐリルにスイウは「ああ」と頷きながら……ふらりとよろめいた。
「スイウさん!?」
慌てて身体を支えるリルに、スイウは力なく微笑む。
「大丈夫、少し疲れただけだ。ただ……」
「ただ?」
「お茶が飲みたい」
その言葉に、思わずリルは破顔する。
「それじゃあ、お茶にしましょうか。外にテーブルを出して、森のみんなを誘って!」
リルの明るい声を聞きつけて、とんがり帽子のノームが土の中から顔を出し、蝶翅の妖精が集まり出す。
賑やかな晴れた日。
今日から、碧謐の森の新しい歴史が始まった。
ノワゼア、レオンソード、ルビータ。それに、クレーネの分身であるヒメミナ。リルの選んだ四本の新しい結界の楔だ。
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「噛んだ」
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「では、新しい結界を張ります。やり方よく分かんないけど」
「……森の将来が滅茶苦茶不安になってきたぞえ」
「……あたしも」
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「私が補助する。結界を完成させよう」
「……はい!」
胸のドキドキを悟られぬよう、リルは大きく深呼吸した。
新しい結界はスイウが概ね構築し終えていたから、あとは仕上げだけだ。
スイウが紡ぐ呪文を、リルは目を閉じて復唱していく。
四つの楔と大樹を中心に光の環が広がり、森を包みこんでいく。
昏い霧が晴れ、清々しい風が木々を渡る感覚。
詠唱が終わり、目を開けると、いつもの森が見えた。鳥が囀り、梢が揺れる、いつもと変わらない……それでいて、新しい森。
初めての大仕事に、胸が詰まる。
「スイウさん、出来ましたよ!」
振り仰ぐリルにスイウは「ああ」と頷きながら……ふらりとよろめいた。
「スイウさん!?」
慌てて身体を支えるリルに、スイウは力なく微笑む。
「大丈夫、少し疲れただけだ。ただ……」
「ただ?」
「お茶が飲みたい」
その言葉に、思わずリルは破顔する。
「それじゃあ、お茶にしましょうか。外にテーブルを出して、森のみんなを誘って!」
リルの明るい声を聞きつけて、とんがり帽子のノームが土の中から顔を出し、蝶翅の妖精が集まり出す。
賑やかな晴れた日。
今日から、碧謐の森の新しい歴史が始まった。
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