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25、没落令嬢と冒険者パーティ(5)

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 冒険者御一行が地下墓地カタコンベから出て、村の飯屋に戻ってきたのは、黄昏が空を染める頃だった。
 テーブルを囲み、依頼主である村長から受け取った報酬を山分けする。

「今日の功労者はディアちゃんだな。本当はお試しだからお小遣い程度って言ってたんだけど、メンバーの分割に加えていいかな?」

 スティーブの提案に、他のメンバーも同意する。

「じゃあ、配るね」

 銀貨五十枚の報酬に対し、一人九枚、イニアスだけ五枚の銀貨が置かれる。

「どうして彼だけ少ないの?」

「そりゃ、うちは能力給だからだよ」

 ニックはニヤニヤ手の中で銀貨を弄ぶ。

「あなたはそれでいいの?」

「うん、まあ……」

 訝しむリュリディアに、イニアスは曖昧に笑って返す。本人が承諾しているのなら、こちらが口を出す義理はない。彼女はそれ以上追求しなかった。

「さてと」

 報酬の分配が終わってから、パーティリーダーは改まって男魔法使いに向き直る。

「イニアス、今日までご苦労様。君はクビだ」

「えぇ!?」

 いきなりの脱退勧告にイニアスは椅子から飛び上がるが、他のメンバーは冷ややかな目で驚く彼を見ている。

「ど、どうしてそんな……」

「分かってくれ、イニアス。これは皆の総意なんだ。君の居場所はここじゃない」

 動揺を隠せないイニアスを、スティーブが諭す。

「そうよ。パーティってのは、同じぐらいの実力を持った者同士で組むものなの。あんたみたいな足手纏い、うちには必要ないわ」

 アンの辛辣な追い打ちに、ニックとサリーナも頷いている。

「で、でも、パーティには魔法使いが必要だって……」

 必死ですがりつくイニアスに、スティーブは爽やかに微笑む。

「そうだよ。だから今日からディアちゃんにパーティに入ってもらう」

「そんな……」

 パーティリーダーの宣言に、元メンバーは色を失くす。

「と、いうことで。よろしくね、ディアちゃん。歓迎するよ」

 気さくに差し出されたスティーブの手を、

「いやよ」

 リュリディアは躊躇いなく拒絶した。

「な!?」

 今度は色を失くしたのはスティーブパーティ御一行の方だ。

「な、何故だい? あんなに上手くクエストをこなしたじゃないか!」

 狼狽えるスティーブに、リュリディアはきっぱりと、

「パーティってのは、同じぐらいの実力を持った者同士で組むものなんでしょ? さっきの地下墓地で見て解らなかった? あなた達が束になった戦力より、私一人の方が強いわ。つまり、私があなた達と組むメリットは一切ないの。だからお断り」

 彼女はさっさと銀貨をしまって立ち上がる。

「それでは皆様、ごきげんよう」

 スタスタと飯屋を出ていくリュリディア。
 残された者達に気まずい沈黙が訪れる。

「あー……、えーと、イニアス」

 スティーブは困った風に声をかける。

「もう少し、パーティに居ても……」

「あ、いいです」

 さすがのイニアスも断った。
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