交通量調査物語

がしげげ

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12、裏メン調査員としての日常スタート

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高橋氏との昼食があった翌日。
昼過ぎに高橋氏から電話があった。

「来週、調査いける?」
「7時から19時で、集合は前夜の24時に梅田駅。前泊やから手当ては1万。」

「前夜、前泊??集合が24時??」

どういうことだ??

「調査地点が三重県で遠いから、前夜から出発すんねん。24時から移動やから、車で寝ててくれたらいいよ。現地到着後、朝6時までは待機。もちろん寝ててもOK!」

いやいやいや。

寝ててもOKって…
車でしょ?
話がメチャクチャですやん…
それだけしんどい思いしてたった1000円のアップやし…

ただ、とりあえず予定は無かったので、一応参加で返答した。

しかし、前泊とは…
今までの平和な生活からすると、考えられないことだった… 

今日は土曜日。
調査は水曜日。
ということは、火曜日の夜に集合か。
3日間しっかり身体を休めて備えておこう…

ブーン。

そんなことを考えていたところにまたしても高橋氏からの電話。

「はい、前田です。」

「また、調査入ったんやけど、来週の金曜もいけるかな?これも条件は同じ。前泊で、調査地点は和歌山の方やわ。」

「は、はい。大丈夫です。」

いやいや、ほんとは大丈夫じゃねーよ。
とにかく心の準備が出来てない。
ただ、断る理由も特になく、流れのままにOKしてしまっていた。
これが裏メンの日常なんだな。
僕はそう心で呟いたものの、恐らく今後こんなもんではない時があるはずだ、となかなか鋭い勘も働かせていた。

しかし、来週で2回の調査。
手当ては合計2万円。
悪くない…
この調子で頑張れば計算上は月に10万円以上も稼げそうである。

なんとかこれで蓄えを作って、どこかで就活が成功すれば、まだまだ人生逆転出来る。
僕は少し、自分の将来に希望を持てたような気がした。

ブーン。

しかし今日はよく電話がなるもんだ。
誰かな?
ん?
大学時代の友人、安部だった。
安部は高校からギターにハマり、大学時代はよく「俺は卒業したらバンドでしばらく過ごしてみよかな。」と口にしていた。
失礼な話だが、僕はその薄い可能性に賭けようとしている安倍の存在に救われているはずだった。
自分はコイツより現実が見れている。
一般的なタイミングから比べると自分の就職は遅くなるかもしれない。
ただ、俺より遅れそうなヤツもいる。

今考えたら最悪な思考だ、と反省するに値するが、卒業を目前に僕はあっさり裏切られることになる。

「前田、俺就職決まってもーた。」

おいおい、ちょっと待ってくれ。
話が違うやん…!
ただ、その時僕は精一杯の力でこう応えた。

「おめでとう!良かったやん!」

イイ奴だな、僕は…



というようなやり取りのあった、安部からの久し振りの電話だった。
とりあえず、出てみた。

「もしもし、久し振り。仕事どう??」

安部は答えた。

「久し振り!まぁ、面白くはないけど給料も安定してるし、悪くはないかな。」

安定した給料か…
夢の様じゃないか。

「前田は?どっか就職決まった??」

一番聞かれたくないことを当たり前のように聞かれてしまった。

「あ、おう、なんとか。今は事務系の仕事に就いてるよ。」

やってしまった…
何故こんな嘘をついてしまうのだろう。
本当に情けない…

「そうか、また話聞かせてくれよ。」
「それで、本題なんやけど。」

なんだろう…
こっちは自分の嘘に、まだ立ち直れていないのに…

「再来週さぁ、合コン来てくれへん?」

この誘いが新たな出会いの始まりとなった。







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