藤原家~姉妹の絆~

omot

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本当のこと

あずさ

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「梓、本当のことを教えて。」
もう逃げられないか。
上手く騙せていると思っていたんだけどな。
「分かった。できれば話したくなかったんだけど。」



私は、孤児院から引き取られた子だ。親の顔は、覚えていない。思い出そうとすれば、脳がシャットアウトする。
私は周りの子よりも少し頭が良かったから、早めに孤児院を出ることができた。
引き取られてから、私の第2の人生が始まった。義母ははは私を良い子に育てようとした。私はそれに精一杯応えようとした。いつもいつも頑張っていたから、たまには褒めて欲しかった。少しでもいいから、甘えたかった。でも、私は、義母に近寄ることさえできなかった。

義母は口を開けば教育のことばかりな人だった。自分の子でもないくせに、そんなに私を良い子に育てたいという考えが理解できなかった。たまに違う話が出たと思ったら、今度は妹達の話。私のほうが頭が良くて優秀だろうに、期待にずっと応えてきたのに、私のことは眼中にないのか。私は成績しか見てもらえないのか。
2人よりも頭が良いというのがせめてもの救いだった。

褒めて欲しい、甘えたいという気持ちは、いつしか存在を消したいという気持ちに変わっていった。でも、それは極自然なことだと思う。私は、彼女に少しばかり哀れみの情を感じた。実の親ではないにしろ、私の育ての親だ。だから、最期の願いは叶えてあげることにした。今までずっと願いを叶えてあげていたのに、私はなんて優しいのだろう。
「お母さん、私が中学生になってから、私にして欲しいことある?」
「そうねぇ、梓が生徒会長になってくれたら、お母さんとても誇らしいわ~。」
自分の子でもない娘が生徒会長になって、何が誇らしいのだろう。でも、私は自分の中で決めたことは絶対にする人だから、叶えてあげることにした。私はなんて優しいのだろう。

それから私は、辛抱強く、悟られないように時が経つのを待った。幸い彼女は、頭の良い人ではなかった。

私は、3年になり、生徒会長になった。義母は生徒会長になって活躍するところを見せてから、殺した。妹達には事故で亡くなったのだと伝えた。義父も義母と同じようにしてやろうかと思ったが、あの人は私にまるで関心がなかったので、そのままにしておいた。すると、あの人は何かを感じたのか、葬式が終わって2、3日経つとお金をおいて出ていった。
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