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episode Y . エドガーの場合 / 性奴隷再生
Edgar 002. ティータイム
しおりを挟むさて、この施設のなかに、うつくしいこえでうたう、一羽のさよなきどりがすんでいましたが、そのなきごえがいかにもいいので、日びのいとなみにおわれている職員や調教師も、ふと、このことりのうたが耳にはいると、ついたちどまって、ききほれてしまいました。
さよなきどりの歌がきこえます。
きいているうち、まるで恋人に、ほおずりしてもらうようなきもちになりましてね、つい涙がでてくるのでございます。
しかし、今、彼は歌を忘れてしまっております。
エドガーは、寄るべない「性奴隷」の一人となって、
今は ひえこおった青いかおをし、
かわいそうなエドガーは、ひどくわずらって、きょうあすも知れないほどでしたから、もうかなしみのなかにしずみきっていました。
まる一週間というもの、エドガーは悲しくて、悲しくて、いじらしい涙を流して、なんどもなんども泣きつづけました。
壊れてしまった性奴隷は、再生せねばならない。
既に数百年の経験を積んだこの性奴隷施設も
今
もっとも奴隷の状態から自由と精神的完成に向かわすべく
傷ついた、たった一人の「エドガー」寄り添わねばならない。
何故ならば、性奴隷の自由な精神を一時的に忍従させ制御することで、市民(旦那さま方)は安らぎと自由を手に入れることができるからだ。
逝去の縁に立たされた性奴隷を深い愛情で救うことは、この性奴隷収容施設にとって偉大な名誉となるに違いないと、期待していたのである。
それに、
エドガーの心内に困難な瞬間を解決しようという渇望が存在すると
メディカルルームのセラピストから報告を受けていることも、調教師のやる気をみなぎらせた。
生きたいと願う性奴隷を助けない調教師がどこにいるというのだ。
所長から、エドガー再生の任命を受けた調教師が窓辺の机で端末機の画面を真剣に見ている。
手元には、ノートと万年筆。
調教師の眩いプラチナロングヘアーと古代蝶鳥の豪奢な刺繍が施されたブラウスの襟が、窓から入るそよ風で揺れた。
端末機に送信されてきた報告によると
セラピストは、最新のVRシステムでエドガーを山に連れてゆき山頂付近を散歩させたり、
水揚げされたばかりの新鮮な魚を食べさせたり、
海馬に信号を送ったり、
セラピーアニマルを呼び瞳の大きなブルドッグと戯れさせたり、
あれやこれやと世話を焼いた結果。
ようやく、顎を軽く引いた正しい姿勢で歩けるようになり、ぎこちなくだが微笑むことができるようになったとのこと。
それから
数日後の
素晴らしいお天気の午後に調教師はエドガーを庭に連れ出した。
そこには、所長が集めためずらしい木や草がたくさんしげっていて、そのじくや葉のしなやかなことといったら。
小さな虫や大きな鳥も遊びにきていた。
エドガーにスニーカーを履かせ、十五分ほど早歩きで庭を周り、少し息があがってきたのを見計らいガゼボで寛ぐことを提案した。
ガゼボのテーブルには、可憐な花が活けられた花瓶とティーセットが用意されていた。
調教師は、
ゴッホのアーモンドの花がプリントされたカップにミルクティを注いでエドガーの手元に置いた。
エドガーは素直にそれを飲み、三段式の皿に手を伸ばしクッキーを頬張った。
サクサクサクサクと、薄い唇からこぎみの良い音が聞こえる。
「桜ん坊のジャムもお食べ」
調教師は、スコーンにジャムを乗せたものをエドガーに手渡し、自分の分も作った。
エドガーは美味しいお菓子に満足げではあったが、
いまにも消えそうにまばたきしていて、
調教師に不安を伝えていた。
「あなたは天使のような振る舞いをなさったのです。あなたは全くの生身の天使。よくぞ人間の世界へ天降ってくださいましたね」
調教師は、エドガーのシャツにポロポロこぼれている菓子の屑を笑いながら手で払いながら言い聞かせる。
ついでに、サンドイッチも食べさせてから
具体的な話を、
エドガーを怯えさせぬよう、ゆったりとした口調で始めることにした。
「エドガー、これから長い間、君は辱しいことをたくさんされ、恥ずかしいことをたくさんさせられる。これは否めない」
エドガーのグレーの瞳が心なしか濃くなり揺れるが、
「だが、君のアソコは数え切れないものを宿し、数え切れない人々を養う」
調教師は、構わず続ける。
「私達調教師に任せなさい。君に決して自分で自分を恥じさせないからね」
調教師はエドガーに冷たい水の入ったコップを勧め彼がそれを飲んでいる間に
大きなタブレット端末機をテーブルに出した。
「しばらくの間、収容施設での調教では、あなたのわがままを何でも聞いてあげます。好きな衣装で好きなファブリックで…やってみたいこと、気持ちよくなりたいこと、なんでもリクエストをしても良いのですよ」
調教師は、話をしながら端末機の画面にカタログの写真を写して見せる。
先ずは、ソファやベッドをデコレーションするファブリック類。色鮮やかなプリントや繊細なレースのデザインがスライドショーで次々現れる。
「調教師さま…このような申し出を受けたら、僕は卑屈な人間になってしまわないでしょうか」
調教師は、エドガーの言葉には答えず次は下着を見せる。
「ちゃんと見て、エドガー。わ、このやぐるま菊のプリントのブリーフ、すっごく素敵。君の細い体に似合うと思うな」
「僕にはこのようなものを与えていただく価値がありません…罰が当たってしまいます…僕は厄介者なのですから」
素敵なものを見る度にエドガーの態度が物憂げに沈んでしまう。
「君は気高い心を持っているのだから、ぜひ受け取らなくてはいけないよ。調教師からの命令だ」
調教師はピシャリと言い放ち、いじけてしまっているエドガーに刺激を与えてやろうと、
卑猥な玩具や、大胆なポーズを強いられるハーネスなどのカタログを開いて見せた。
未だに、メディカルルームで寝泊まりしていて、性奴隷の世界から離れていたエドガーは、生々しい写真の数々に、カーッと華奢な身体を火照らせてしまったが、
遂に、物分かりの良い素直な青年に戻ってしまった。
「調教師さま、こんないいことを僕にしてくださって、この世界にあるかぎりのすばらしいものを、惜しまずみせてくださいますあなたに、僕の身を委ねさせてください」
「風が冷たくなってきた。エドガー、戻りましょう。カタログをメディカルルームの端末機に転送しておきますから、気分の良いときに選びなさいね」
調教師は、エドガーの骨ばった肩に手を置きながら、寄り添うように庭の芝生をゆっくり歩き出した。
巣に帰ろうとする鳥たちが鳴いている。
エドガーは、ふと立ち止まると爪先で背伸びをして、
調教師の美しい耳に唇を寄せた。
「調教師さま、僕、実は………」
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