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マルドン妖精国
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マルドン妖精国の王宮に到着して馬車を降りると、目に入ってきたのは城ではなく、巨大な木々だった。
「えっと、どういうことなのだろうか?」
私が状況を飲み込めずにいると、殿下がエスコートの姿勢を見せてくれたので、私は殿下と腕を組み歩き始めた。
目の前の巨大な木々の間を通ると、ふっと視界が歪み、私の目の前には白亜のお城が聳え立っていた。
「えっ、嘘、何、魔法?」
「ようこそ、我が城へ。お待ちしておりましたよ」
「マルドン女王陛下、お久しぶりです」
「久しぶりですね、隣の可愛らしい方が婚約者なのですね」
マルドン国の女王陛下って確か60歳ぐらいだったはず。代替わりしたのかしら?目の前の女性はどう見ても20代だわ。
「私にはあなたぐらいの孫もおりますよ。ドヴァーグ令嬢」
彼女はそう言って私にウインクをしてきた。
どう見ても20代としか思えないわ。これも魔法なの?
「あっ、あの、申し訳ありません、とてもお若いので驚いてしまいまして……、申し訳ありません」
「良いのですよ、とても可愛らしいお嬢さんですわ。どうぞ、気楽になさって、まずはお茶でもいかがかしら?」
サロンに案内され、私は女王陛下と殿下と三人で和やかに会話をした。
「この国は妖精の力が働いていて、さまざまな奇跡のようなことがあるのです。私の外見もその一つです。そういった経緯もあり、限られた者しかこの国に立ち寄ることはできないのです」
「私が来て問題はなかったのでしょうか?」
私は心配になり、思わず尋ねた。
「船から降りて島に入れたのであれば、妖精たちがリンを受け入れた証拠です。ですから問題はないですよ」
「でしたら良かったです。安心しました」
「ガーディンは、妖精の愛し子です。リンは知っていましたか?」
「いいえ、初めてお聞きしました」
「妖精たちが認めないと、あなたたちは結婚できませんから、今回はリンを連れてきてもらったのです。でも全く問題なかったですね。良かったわね、ガーディン」
「ええ、でも俺は妖精たちに拒否されてもリンと結婚するつもりでしたよ」
そんな時、藍色の鳥がガーディンめがけて飛んできて、殿下の肩に止まった。
ピ――ピ――ピ――
藍色の羽に美しい黄色のクチバシ、とても賢そうな鳥だわ。
「ラクス、元気だったか?」
ピッ――
まるで二人で会話をしているようだわ。
ラクスと呼ばれる鳥が私をじっと凝視している。
もしかして私は何か品定めをされているのかしら?
緊張のせいか、少し汗が出てきたわ。
ピ――ピルルルル、ピ――ピルルルル
なんて綺麗な鳴き声なの。まるで鳥が奏でているようだわ。
「そうか、お前も気に入ったんだな。よろしくな、俺のお嫁さんだ」
お嫁?嫁……、ものすごく照れくさいんですが――。
「まあ、初々しい反応ね、本当に可愛い方だわ。私もとても気に入ったわ。これからは度々、二人でこの国に来てちょうだい。歓迎するわ」
お茶を飲み終わると、殿下が私に見せたいものがあると言って湖のほとりに連れて行ってくれた。
「わぁ、すごい綺麗な湖ね。水も美味しそうだわ」
「この水を口にすると、見たい相手の生い立ちが見れるんだ」
「生い立ち?」
「ああ、俺の生い立ちをのぞいてくれないか?リンは俺とボーンズの関係を知っているんだろう?」
「殿下、あのう、私はそういったことに偏見はありませんわ。いえ、ないわけではないかもですが、理解したいと思っております」
「リンの考えていることと、俺とボーンズの関係は少し違うんだ。していることは同じだけど、気持ちは違うんだ。説明が難しいから、この水を飲んで知って欲しい」
「そこまでおっしゃるのであれば、飲みます。でも飲んで大丈夫なんですか?」
「ああ、問題ないよ」
私は手で水を掬い、一口飲んだ。
美味しい、と心の中で思った瞬間、私の意識は遠くに飛ばされた。
「えっと、どういうことなのだろうか?」
私が状況を飲み込めずにいると、殿下がエスコートの姿勢を見せてくれたので、私は殿下と腕を組み歩き始めた。
目の前の巨大な木々の間を通ると、ふっと視界が歪み、私の目の前には白亜のお城が聳え立っていた。
「えっ、嘘、何、魔法?」
「ようこそ、我が城へ。お待ちしておりましたよ」
「マルドン女王陛下、お久しぶりです」
「久しぶりですね、隣の可愛らしい方が婚約者なのですね」
マルドン国の女王陛下って確か60歳ぐらいだったはず。代替わりしたのかしら?目の前の女性はどう見ても20代だわ。
「私にはあなたぐらいの孫もおりますよ。ドヴァーグ令嬢」
彼女はそう言って私にウインクをしてきた。
どう見ても20代としか思えないわ。これも魔法なの?
「あっ、あの、申し訳ありません、とてもお若いので驚いてしまいまして……、申し訳ありません」
「良いのですよ、とても可愛らしいお嬢さんですわ。どうぞ、気楽になさって、まずはお茶でもいかがかしら?」
サロンに案内され、私は女王陛下と殿下と三人で和やかに会話をした。
「この国は妖精の力が働いていて、さまざまな奇跡のようなことがあるのです。私の外見もその一つです。そういった経緯もあり、限られた者しかこの国に立ち寄ることはできないのです」
「私が来て問題はなかったのでしょうか?」
私は心配になり、思わず尋ねた。
「船から降りて島に入れたのであれば、妖精たちがリンを受け入れた証拠です。ですから問題はないですよ」
「でしたら良かったです。安心しました」
「ガーディンは、妖精の愛し子です。リンは知っていましたか?」
「いいえ、初めてお聞きしました」
「妖精たちが認めないと、あなたたちは結婚できませんから、今回はリンを連れてきてもらったのです。でも全く問題なかったですね。良かったわね、ガーディン」
「ええ、でも俺は妖精たちに拒否されてもリンと結婚するつもりでしたよ」
そんな時、藍色の鳥がガーディンめがけて飛んできて、殿下の肩に止まった。
ピ――ピ――ピ――
藍色の羽に美しい黄色のクチバシ、とても賢そうな鳥だわ。
「ラクス、元気だったか?」
ピッ――
まるで二人で会話をしているようだわ。
ラクスと呼ばれる鳥が私をじっと凝視している。
もしかして私は何か品定めをされているのかしら?
緊張のせいか、少し汗が出てきたわ。
ピ――ピルルルル、ピ――ピルルルル
なんて綺麗な鳴き声なの。まるで鳥が奏でているようだわ。
「そうか、お前も気に入ったんだな。よろしくな、俺のお嫁さんだ」
お嫁?嫁……、ものすごく照れくさいんですが――。
「まあ、初々しい反応ね、本当に可愛い方だわ。私もとても気に入ったわ。これからは度々、二人でこの国に来てちょうだい。歓迎するわ」
お茶を飲み終わると、殿下が私に見せたいものがあると言って湖のほとりに連れて行ってくれた。
「わぁ、すごい綺麗な湖ね。水も美味しそうだわ」
「この水を口にすると、見たい相手の生い立ちが見れるんだ」
「生い立ち?」
「ああ、俺の生い立ちをのぞいてくれないか?リンは俺とボーンズの関係を知っているんだろう?」
「殿下、あのう、私はそういったことに偏見はありませんわ。いえ、ないわけではないかもですが、理解したいと思っております」
「リンの考えていることと、俺とボーンズの関係は少し違うんだ。していることは同じだけど、気持ちは違うんだ。説明が難しいから、この水を飲んで知って欲しい」
「そこまでおっしゃるのであれば、飲みます。でも飲んで大丈夫なんですか?」
「ああ、問題ないよ」
私は手で水を掬い、一口飲んだ。
美味しい、と心の中で思った瞬間、私の意識は遠くに飛ばされた。
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