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ブレイブス港街7日目
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今日も朝早くから作業を始めた。
マッドは、いよいよ魔法陣を描くということもあり、いつも以上に気合いが入っているようだ。集中を要する作業なので、地下には誰も入らず、彼が黙々と一人で描いている。昨日購入した奴隷たちは、ジルとレティが手続きを進めてくれているので、明日の夕方には完了し、一緒にルルソン村へ行ける予定だ。
昨日トンダさんが購入した奴隷二人のことを、マーカスさんは興味深そうにマッドに尋ねていた。早朝から宿で、まるで詰め寄るように話している。
マーカスさんから見ても、彼らはとても感じが良く、頼もしそうな若者だったらしい。だからこそ、なぜマッドが彼らを選ばなかったのか、疑問で仕方がないようだ。
二人は借金奴隷で、有能なスキルも持っており、冒険者ランクも既にBランクだという。確かに私から見ても強そうに見えたけれど、彼らが纏っているオーラはグレーだった。その色が悪いわけではないけれど、少し濁りがあるように見えたのだ。
「マーカスさん、鑑定が全てではありませんので、変な固定概念は持たないでください。俺たちには合わないと感じただけです」
「だから、どこが合わないと感じたのか知りたいんだ」
マーカスさんも引かないようだ。昨日はそのことが気になって眠れなかったらしい。
マッドは考え込むような仕草をしてから、口を開いた。
「鑑定結果は悪くありません。店主の言う通りのスキルだったし、人柄もそうだと思います。……多分、リオの方が上手く説明できると思います」
マーカスさんがリオを真剣な目で見る。
「僕は鑑定できないよ。ただ、僕が見る限り、彼らは奥深くに闇を抱えている気がしたんだ。奴隷だから当然かもしれないけれど、なんて言うか、根が深いというか……僕たちでは救ってあげられないような、そんな感じ。でも、冒険者ギルドなら上手くやれるかもしれない」
「なるほど、俺にはよく分からんが、まあいいだろう。それで、あの四人を選んだ理由は?」
私たちが選んだのは、四人全員が犯罪奴隷だった。
最初の30人は全て働き盛りの借金奴隷で、次に集められた15人は犯罪奴隷や年配の者たちだったのだ。犯罪奴隷と言っても、有能なスキルを持つものは高額だが、ここの奴隷商人はどうも人物鑑定があまり上手くできていないようだ。水晶鑑定に頼っているようだが、お父様が以前言っていたように、水晶によってはかなり曖昧なのだろう。
* ワオン(59歳、男性、犯罪奴隷(冤罪)、火属性、魔道具、斧)
* パオス(17歳、男性、犯罪奴隷(冤罪)、火属性、魔道具、斧)
* ワオンとパオスは血の繋がった親子だ。貴族に騙されて犯罪者にされたようだが、間違いなく冤罪だとマッドが言っていた。二人とも奴隷とは思えないほど明るく前向きな性格で、魔道具が大好きな根っからの職人だ。
* カイト(15歳、男性、犯罪奴隷、土属性、地下掘り、建築補助、ナイフ)
* ハンナ(13歳、女性、犯罪奴隷、光属性、解読、ブーメラン)
* カイトとハンナは血は繋がっていないが、スラム街で兄妹のように育っている。スラム街で生き抜くために盗みを繰り返していたので、間違いなく犯罪者ではある。でも、二人の魂は疲弊しているものの、決して汚れてはいない。スラム街で過酷な暮らしをしていたとは思えないほど、優しい光が二人を纏っているのだから。
マッドの鑑定は、波長が合うと人物の背景や生い立ちまで見えるようになったらしい。カイトのスキルだけを気に入って購入を決めたわけではないとマッドは言っていた。
私は新しい家のカーテンやクッション作りを始めている。ドナが蜘蛛の巣や薬草の採集に行ってくれたので、今は染色作業をドナと一緒にやっている。染色は、その日の湿度や温度によって色が変わるので、とても面白い。
「ねえドナ、この自然な色、良いと思わない?」
私が染め上がった布を広げて見せると、ドナが目を輝かせた。
「少しグリーンが入っていて、私も好きです!キャロル様が染める色は、どれも本当に素敵ですね」
「ありがとう。これでベッドカバーとか枕カバー作ったら、よく眠れそうよね」
私がそう言うと、ドナはにこっと笑って言った。
「キャロル様はいつもぐっすり眠っていますから、あまり関係ないと思いますよ」
「……そうね」
思わず苦笑してしまった。私はそんなに良く眠っているのかしら? そういえば、私はドナが眠っているのを見たことがないかもしれない……。彼女はいつも、まるで小さな妖精のように活動的だ。そんな彼女の言葉に、ふと心が温かくなった。
夕方になると、マリアはいつも通り食事の準備をしてくれている。マリアの作る食事は、一般的な家庭料理に近く、毎日の栄養バランスが考えられているので、身体にとても良い。
「マリア、何か手伝おうか?」
「大丈夫よ、キャロル。今日は昨日使った残り汁を使って煮込むだけだから簡単なのよ」
マリアは王城で育ったのに、なぜこんなに家庭料理が作れるのだろう?
私が不思議に思っていると、マリアが私の心を見透かしたように言った。
「本当にキャロルは面白いわね。私はジータに家庭料理を教わったのよ」
「えっ、そうなのね! ジータはいい先生ね!」
「ええ、とても分かりやすく丁寧に教えてくれたわ」
私もルルソン村に戻ったら、ジータに料理を習おうと思った。彼女の作る料理は、きっと家族の温かさを感じさせる、優しい味なのだろう。
明日の夜8時過ぎには、ルルソン村へ私たち家族は帰る。今日はマッドやリオやボンドンは夜中まで作業を続ける予定なので、私たちは先に宿に帰ることにした。
マッドたちのいない夜は寂しいけれど我慢しないといけない。彼らが頑張ってくれている分、私もできることを精一杯やろう。
明日、新しい仲間たちとルルソン村へ帰るのが楽しみだ。
マッドは、いよいよ魔法陣を描くということもあり、いつも以上に気合いが入っているようだ。集中を要する作業なので、地下には誰も入らず、彼が黙々と一人で描いている。昨日購入した奴隷たちは、ジルとレティが手続きを進めてくれているので、明日の夕方には完了し、一緒にルルソン村へ行ける予定だ。
昨日トンダさんが購入した奴隷二人のことを、マーカスさんは興味深そうにマッドに尋ねていた。早朝から宿で、まるで詰め寄るように話している。
マーカスさんから見ても、彼らはとても感じが良く、頼もしそうな若者だったらしい。だからこそ、なぜマッドが彼らを選ばなかったのか、疑問で仕方がないようだ。
二人は借金奴隷で、有能なスキルも持っており、冒険者ランクも既にBランクだという。確かに私から見ても強そうに見えたけれど、彼らが纏っているオーラはグレーだった。その色が悪いわけではないけれど、少し濁りがあるように見えたのだ。
「マーカスさん、鑑定が全てではありませんので、変な固定概念は持たないでください。俺たちには合わないと感じただけです」
「だから、どこが合わないと感じたのか知りたいんだ」
マーカスさんも引かないようだ。昨日はそのことが気になって眠れなかったらしい。
マッドは考え込むような仕草をしてから、口を開いた。
「鑑定結果は悪くありません。店主の言う通りのスキルだったし、人柄もそうだと思います。……多分、リオの方が上手く説明できると思います」
マーカスさんがリオを真剣な目で見る。
「僕は鑑定できないよ。ただ、僕が見る限り、彼らは奥深くに闇を抱えている気がしたんだ。奴隷だから当然かもしれないけれど、なんて言うか、根が深いというか……僕たちでは救ってあげられないような、そんな感じ。でも、冒険者ギルドなら上手くやれるかもしれない」
「なるほど、俺にはよく分からんが、まあいいだろう。それで、あの四人を選んだ理由は?」
私たちが選んだのは、四人全員が犯罪奴隷だった。
最初の30人は全て働き盛りの借金奴隷で、次に集められた15人は犯罪奴隷や年配の者たちだったのだ。犯罪奴隷と言っても、有能なスキルを持つものは高額だが、ここの奴隷商人はどうも人物鑑定があまり上手くできていないようだ。水晶鑑定に頼っているようだが、お父様が以前言っていたように、水晶によってはかなり曖昧なのだろう。
* ワオン(59歳、男性、犯罪奴隷(冤罪)、火属性、魔道具、斧)
* パオス(17歳、男性、犯罪奴隷(冤罪)、火属性、魔道具、斧)
* ワオンとパオスは血の繋がった親子だ。貴族に騙されて犯罪者にされたようだが、間違いなく冤罪だとマッドが言っていた。二人とも奴隷とは思えないほど明るく前向きな性格で、魔道具が大好きな根っからの職人だ。
* カイト(15歳、男性、犯罪奴隷、土属性、地下掘り、建築補助、ナイフ)
* ハンナ(13歳、女性、犯罪奴隷、光属性、解読、ブーメラン)
* カイトとハンナは血は繋がっていないが、スラム街で兄妹のように育っている。スラム街で生き抜くために盗みを繰り返していたので、間違いなく犯罪者ではある。でも、二人の魂は疲弊しているものの、決して汚れてはいない。スラム街で過酷な暮らしをしていたとは思えないほど、優しい光が二人を纏っているのだから。
マッドの鑑定は、波長が合うと人物の背景や生い立ちまで見えるようになったらしい。カイトのスキルだけを気に入って購入を決めたわけではないとマッドは言っていた。
私は新しい家のカーテンやクッション作りを始めている。ドナが蜘蛛の巣や薬草の採集に行ってくれたので、今は染色作業をドナと一緒にやっている。染色は、その日の湿度や温度によって色が変わるので、とても面白い。
「ねえドナ、この自然な色、良いと思わない?」
私が染め上がった布を広げて見せると、ドナが目を輝かせた。
「少しグリーンが入っていて、私も好きです!キャロル様が染める色は、どれも本当に素敵ですね」
「ありがとう。これでベッドカバーとか枕カバー作ったら、よく眠れそうよね」
私がそう言うと、ドナはにこっと笑って言った。
「キャロル様はいつもぐっすり眠っていますから、あまり関係ないと思いますよ」
「……そうね」
思わず苦笑してしまった。私はそんなに良く眠っているのかしら? そういえば、私はドナが眠っているのを見たことがないかもしれない……。彼女はいつも、まるで小さな妖精のように活動的だ。そんな彼女の言葉に、ふと心が温かくなった。
夕方になると、マリアはいつも通り食事の準備をしてくれている。マリアの作る食事は、一般的な家庭料理に近く、毎日の栄養バランスが考えられているので、身体にとても良い。
「マリア、何か手伝おうか?」
「大丈夫よ、キャロル。今日は昨日使った残り汁を使って煮込むだけだから簡単なのよ」
マリアは王城で育ったのに、なぜこんなに家庭料理が作れるのだろう?
私が不思議に思っていると、マリアが私の心を見透かしたように言った。
「本当にキャロルは面白いわね。私はジータに家庭料理を教わったのよ」
「えっ、そうなのね! ジータはいい先生ね!」
「ええ、とても分かりやすく丁寧に教えてくれたわ」
私もルルソン村に戻ったら、ジータに料理を習おうと思った。彼女の作る料理は、きっと家族の温かさを感じさせる、優しい味なのだろう。
明日の夜8時過ぎには、ルルソン村へ私たち家族は帰る。今日はマッドやリオやボンドンは夜中まで作業を続ける予定なので、私たちは先に宿に帰ることにした。
マッドたちのいない夜は寂しいけれど我慢しないといけない。彼らが頑張ってくれている分、私もできることを精一杯やろう。
明日、新しい仲間たちとルルソン村へ帰るのが楽しみだ。
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