異世界の片隅で、穏やかに笑って暮らしたい

木の葉

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気になって仕方がない カルロ視点

カルロ(ブライトン侯爵)視点
 
 私はミシェラン侯爵の次男、カルロだ。父のスキルを受け継ぎ、人物鑑定の能力を持つ。このスキルのおかげで、長男であるキースには幼い頃から嫌われていて、未だに仲が良くない。ミシェラン侯爵の跡継ぎはキースなので、私は母方の伯爵の地位を譲り受け、ブライトン伯爵となった。その後、数々の貢献を国にもたらした結果、領地も賜り、遂には侯爵にまでなった。現在、私はこのルルソン村とルルカラ村周辺一帯の領主であり、同時に冒険者ギルドのギルド長も務めている。
 
 先日、3人の若者が冒険者ギルドのドアを開けて初めて入って来た時の光景は、今でも忘れられない。表現は難しいが、彼ら3人がまるで綺麗に輝いているように見え、目が離せなかったのだ。理由は分からないが、彼らの力になってやらねばならないと強く感じた。
 
 あの3人を鑑定してみると、全員が職人の才能を持っていた。しかし、どうにもそれだけではないように思える。鍛錬の指導係に聞いても、「筋が良すぎて、まるで才能持ちのようだ」と言っていた。
 
 1年前、ミシェランで起こったレアスキルを持つ者たちの騒動。あの時、まだ6人が見つかっていないと言われていた。もしかしてと思い、その話を彼らに聞かせてみた。キャロルはひどく動揺し、震えていた。あの子たちは、あの事件と何か関係があるのだろうか?
 
 もし関係があるのなら、逃走した危険な2人に狙われるのではないか? もしもレアスキルを持っていたとしたら、闇商人や盗賊だって放っておかないだろう。いや、スキルを持っていなくても、あの容姿だ。貴族や商人にも目を付けられるはずだ。
 
 私はどうするべきだろう。いくら考えても、何かをしてやれるわけではないのに、最近はこんなことばかり考えてしまう。特にマッドの顔が、なぜか頭から離れないのだ。
 
 親のいない子はルルソン村にもいるし、ミシェランや王都に行けば珍しいことでもなんでもない。見目のいい子が貴族や商人の妾や愛人になることなど、どこにでもある話だ。なのに、どうしてもこの感情を吹っ切ることができない。
 
 先日、あの子たちは人攫いに狙われた。キャロルを森で偶然見かけて狙ったらしい。キャロルには幸い被害はなかったが、ひどく怯えて、しばらくはマッドやリオがつきっきりでいたと聞いた。
 
 あの子たちは今度ミシェランへ行く。そして、もしかしたらもう帰って来ないかもしれない。そう思うと、何とも言えない複雑な感情が湧き出してくるが、私にはあの子たちを縛る権利はない。
 
 現在の我が国、ドレスデン国は、戦争もなく王族たちの権力争いもない、平和な暮らしが続いている。国王陛下は実に温厚な性格をしており、争いを好まれないため、我が国から戦争を仕掛けることはないだろう。
 
 ドレスデン国は、中央大陸の中では一番の大国と言われている。そして周辺には5つの国と数々の部族が存在している。
 
 * 長年の友好国であるシダール国
 * 商業国家のマイソン国
 * 武力国家のタイタン国
 * 度々戦争を仕掛けてくるディナソ連邦国
 * 魔法に長けた者が多い、最も注意すべきカルセリア国
    
   それに、どこの国にも闇商人は存在しており、巨大な力を持っている。レアスキル持ちは常に狙われていて、どこの国も欲しているのだ。スキルは遺伝するので、無理矢理に子を作らせることも、いまだに普通に行われている国もある。
    
   私は人物鑑定持ちだ。あの子たちを鑑定してもレアスキルは持っていない。だが、何かが違うのだ。もしかして偽装スキルを持っているのか……あれもレアスキルだぞ……まさか。
    
 こんなに気になるのだから、いっそのこと彼らを保護したいと妻に相談してみようか? しかし、有能な若者を保護して自身の領地に取り入れることは珍しくはないが、彼らが応じてくれるだろうか? やはり答えは出ない。私はどうすればいいのだろう。

 そんな様子を見て、妻のミランが先日私に聞いてきた。
 
「カルロ、もしかして気になる人でも出来た? 私はカルロが側室を持つのを反対しないわよ。私ではカルロの子を産めないから……。私は貴方の子なら立派に育てるし、側室の方の面倒もきちんと見るわ」
 
 妻は13年前に私の子を流産している。それ以降、子ができない身体になり、ずっと悩み続けているのだ。
 
「ミラン、君以外を娶るつもりは無いよ。実は最近、気になる子供がギルド登録に来たんだ。親のいない子供たちだから心配でね、出来れば保護しようとも考えているんだがいいだろうか?」
 
「ルルソン村の発展に繋がるような子供たちならいいんじゃないかしら。カルロが言うんだから優秀な子供たちなんでしょ? 私も是非会ってみたいわ」
 
 ミランは笑いながらそう言ってくれた。あの子たちは3ヶ月近く私の屋敷で住み込みで働いていたが、ミランはその時には王族の仕事でシダール国に滞在していたため、一度も会ったことがないのだ。
 
 彼らがミシェランから戻ってきたら、保護することを提案してみようか。もし戻らなければ、縁がなかったと思えばいい。そうだ、そうしよう。
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