25 / 174
古代語の魅力に引き込まれて
しおりを挟む
昨日の厳しい鍛錬は、私にとって非常に有意義なものだった。そのおかげで、私の弓スキルはまた上がり、現在はレベル18だ。とはいえ、このレベルがどれほどのものなのか、正直なところよく分からない。この世界では、同じスキル名でも魔力量や質によってできることが大きく異なり、まさに十人十色なのだ。ちなみに、マッドの大剣スキルは23、リオのナイフスキルは21だと教えてもらった。
この世界では、就職時以外は自分のスキルを他人に明かすことはあまりない。図書館でスキルについて調べた後、マッドがタイゾウにそれとなくスキルを知る方法を尋ねてくれたようだ。マッドの推測通り、自分でスキルを確認することはできないらしい。確認したい場合は、教会で1万リラを支払い、水晶鑑定をしてもらう必要がある。ただし、水晶の質や大きさによって鑑定結果に差が出るため、正確な情報を得るには大きな教会を利用するのが良いという。そして、最も正確なのは、名の通った鑑定スキルを持つ者に鑑定してもらうことらしい。
15歳の成人の儀式だけは、国への届け出を兼ねているため無料で鑑定してもらえる。さらに、その際に貴重なスキルが判明すれば、役職を与えられることもあるそうだ。
私たちは、下界管理人のサンが念じるだけで自身の情報が見られると聞いていたため、誰もがそうだと信じ込んでいた。改めて、自分たちの常識のなさを痛感した瞬間だった。
今日で図書館での仕事は最後。私たちは少し早めに出かけた。
いつものように作業をこなすと、昼前には全て片付いてしまったので、司書さんに報告に行った。すると、珍しくソファに座るように言われた。
「今日で終了だったわよね。短い間だったけれど、私も自分の仕事に集中できて本当に助かったわ。今日は少しお礼がしたくて呼び止めたのよ。私の実家が古本屋を営んでいて、たまに売れ残った本を送ってくれるの。貴重な本とかではないけれど、もしよかったらこの箱の中ので気に入った本があれば、好きなだけ持っていってちょうだい」
司書さんがそう言って、箱の中を見せてくれた。
中には100冊以上もの本が入っており、中には絵本まである。
平民は字の読み書きができない者が多いため、本を買う習慣があまりなく、どうしても貴族向けになるため、本は高価だ。ルルソン村では教会で読み書きを教えているから、読み書きできる者が多いが、そんな村や街は珍しいらしい。
マッドの目は真剣そのものだ。
私は絵本を7冊、挿絵の美しい本を5冊、それに裁縫関係らしき本と歴史本を選んだ。マッドはすでに20冊ほど手にしている。リオは8冊だ。
マッドが両腕いっぱいに抱え込んだ本の山を見た司書さんは、一瞬目を見開いて驚いたようだったが、すぐに優しい笑みを浮かべた。
「こんなにいただいてもいいんですか?」
マッドが尋ねると、司書さんはにこやかに頷いてくれた。
「ええ、古い本だしかなり傷んでいるけれどね。古代語で書かれているものもいくつかあるから、読み方が分からなければこれを機会に覚えるのもいいわ」
司書さんが私とマッドの本を見てそう言った。私が選んだ本をよく見ると、全て古代語だった。絵や挿絵に心を奪われていて、全く気づかなかったのだ。裁縫関係らしき本も半分くらいは古代語が使われている。一体なぜだろう?
「絵がとても綺麗だったので手に取ってしまいました。古代語は難しいですか?」
私が司書さんに尋ねると、彼女は笑いながら本棚から数冊の本を取り出して差し出してくれた。
「単語を覚えてしまえば難しくないわ。これは古代語の辞書と解説書よ。私にはもう必要ないから、あなたたちにあげるわ。古代語を読めるようになると、読める本が3倍にもなるし、魔法の威力も増すと言われているのよ。それに、働き口の幅も広がるから頑張ってね」
その日から、私はずっと絵本が読みたくて古代語の勉強に没頭している。最初は何が何だか分からなかった単語も、辞書と解説書を頼りに少しずつ読み解けるようになっていくのが面白くて仕方がない。
まるで、絵のパズルのピースがはまっていくように、文字が持つ意味が少しずつ見えてくる感覚だった。特に、古代語の単語は一つ一つが長く、流れるような曲線や複雑な装飾が施されていて、書くと非常に美しく、まるで絵のようだ。単なる文字ではなく、それ自体が小さな芸術作品のように感じられた。作者があえて古代語で絵本を作った理由が、今ならはっきりと理解できる。それは、絵と言葉が一体となり、より豊かな物語の世界を作り出すための工夫だったのだ。
絵本の中には、私に加護を与えてくれたイシス神様の絵が描かれている。優しい顔で微笑んでいる絵だ。いつかお会いできたら嬉しいなと、絵を見ながら思った。この古代語を学ぶことで、いつか神様の言葉を直接理解できるようになるかもしれない、そんな密かな期待も胸に芽生え始めていた。
この世界では、就職時以外は自分のスキルを他人に明かすことはあまりない。図書館でスキルについて調べた後、マッドがタイゾウにそれとなくスキルを知る方法を尋ねてくれたようだ。マッドの推測通り、自分でスキルを確認することはできないらしい。確認したい場合は、教会で1万リラを支払い、水晶鑑定をしてもらう必要がある。ただし、水晶の質や大きさによって鑑定結果に差が出るため、正確な情報を得るには大きな教会を利用するのが良いという。そして、最も正確なのは、名の通った鑑定スキルを持つ者に鑑定してもらうことらしい。
15歳の成人の儀式だけは、国への届け出を兼ねているため無料で鑑定してもらえる。さらに、その際に貴重なスキルが判明すれば、役職を与えられることもあるそうだ。
私たちは、下界管理人のサンが念じるだけで自身の情報が見られると聞いていたため、誰もがそうだと信じ込んでいた。改めて、自分たちの常識のなさを痛感した瞬間だった。
今日で図書館での仕事は最後。私たちは少し早めに出かけた。
いつものように作業をこなすと、昼前には全て片付いてしまったので、司書さんに報告に行った。すると、珍しくソファに座るように言われた。
「今日で終了だったわよね。短い間だったけれど、私も自分の仕事に集中できて本当に助かったわ。今日は少しお礼がしたくて呼び止めたのよ。私の実家が古本屋を営んでいて、たまに売れ残った本を送ってくれるの。貴重な本とかではないけれど、もしよかったらこの箱の中ので気に入った本があれば、好きなだけ持っていってちょうだい」
司書さんがそう言って、箱の中を見せてくれた。
中には100冊以上もの本が入っており、中には絵本まである。
平民は字の読み書きができない者が多いため、本を買う習慣があまりなく、どうしても貴族向けになるため、本は高価だ。ルルソン村では教会で読み書きを教えているから、読み書きできる者が多いが、そんな村や街は珍しいらしい。
マッドの目は真剣そのものだ。
私は絵本を7冊、挿絵の美しい本を5冊、それに裁縫関係らしき本と歴史本を選んだ。マッドはすでに20冊ほど手にしている。リオは8冊だ。
マッドが両腕いっぱいに抱え込んだ本の山を見た司書さんは、一瞬目を見開いて驚いたようだったが、すぐに優しい笑みを浮かべた。
「こんなにいただいてもいいんですか?」
マッドが尋ねると、司書さんはにこやかに頷いてくれた。
「ええ、古い本だしかなり傷んでいるけれどね。古代語で書かれているものもいくつかあるから、読み方が分からなければこれを機会に覚えるのもいいわ」
司書さんが私とマッドの本を見てそう言った。私が選んだ本をよく見ると、全て古代語だった。絵や挿絵に心を奪われていて、全く気づかなかったのだ。裁縫関係らしき本も半分くらいは古代語が使われている。一体なぜだろう?
「絵がとても綺麗だったので手に取ってしまいました。古代語は難しいですか?」
私が司書さんに尋ねると、彼女は笑いながら本棚から数冊の本を取り出して差し出してくれた。
「単語を覚えてしまえば難しくないわ。これは古代語の辞書と解説書よ。私にはもう必要ないから、あなたたちにあげるわ。古代語を読めるようになると、読める本が3倍にもなるし、魔法の威力も増すと言われているのよ。それに、働き口の幅も広がるから頑張ってね」
その日から、私はずっと絵本が読みたくて古代語の勉強に没頭している。最初は何が何だか分からなかった単語も、辞書と解説書を頼りに少しずつ読み解けるようになっていくのが面白くて仕方がない。
まるで、絵のパズルのピースがはまっていくように、文字が持つ意味が少しずつ見えてくる感覚だった。特に、古代語の単語は一つ一つが長く、流れるような曲線や複雑な装飾が施されていて、書くと非常に美しく、まるで絵のようだ。単なる文字ではなく、それ自体が小さな芸術作品のように感じられた。作者があえて古代語で絵本を作った理由が、今ならはっきりと理解できる。それは、絵と言葉が一体となり、より豊かな物語の世界を作り出すための工夫だったのだ。
絵本の中には、私に加護を与えてくれたイシス神様の絵が描かれている。優しい顔で微笑んでいる絵だ。いつかお会いできたら嬉しいなと、絵を見ながら思った。この古代語を学ぶことで、いつか神様の言葉を直接理解できるようになるかもしれない、そんな密かな期待も胸に芽生え始めていた。
135
あなたにおすすめの小説
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
駆け落ち男女の気ままな異世界スローライフ
壬黎ハルキ
ファンタジー
それは、少年が高校を卒業した直後のことだった。
幼なじみでお嬢様な少女から、夕暮れの公園のど真ん中で叫ばれた。
「知らない御曹司と結婚するなんて絶対イヤ! このまま世界の果てまで逃げたいわ!」
泣きじゃくる彼女に、彼は言った。
「俺、これから異世界に移住するんだけど、良かったら一緒に来る?」
「行くわ! ついでに私の全部をアンタにあげる! 一生大事にしなさいよね!」
そんな感じで駆け落ちした二人が、異世界でのんびりと暮らしていく物語。
※2019年10月、完結しました。
※小説家になろう、カクヨムにも公開しています。
転生先ではゆっくりと生きたい
ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。
事故で死んだ明彦が出会ったのは……
転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた
小説家になろうでも連載中です。
なろうの方が話数が多いです。
https://ncode.syosetu.com/n8964gh/
白い結婚を言い渡されたお飾り妻ですが、ダンジョン攻略に励んでいます
時岡継美
ファンタジー
初夜に旦那様から「白い結婚」を言い渡され、お飾り妻としての生活が始まったヴィクトリアのライフワークはなんとダンジョンの攻略だった。
侯爵夫人として最低限の仕事をする傍ら、旦那様にも使用人たちにも内緒でダンジョンのラスボス戦に向けて準備を進めている。
しかし実は旦那様にも何やら秘密があるようで……?
他サイトでは「お飾り妻の趣味はダンジョン攻略です」のタイトルで公開している作品を加筆修正しております。
誤字脱字報告ありがとうございます!
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜
青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ
孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。
そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。
これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。
小説家になろう様からの転載です!
【完結】天下無敵の公爵令嬢は、おせっかいが大好きです
ノデミチ
ファンタジー
ある女医が、天寿を全うした。
女神に頼まれ、知識のみ持って転生。公爵令嬢として生を受ける。父は王国元帥、母は元宮廷魔術師。
前世の知識と父譲りの剣技体力、母譲りの魔法魔力。権力もあって、好き勝手生きられるのに、おせっかいが大好き。幼馴染の二人を巻き込んで、突っ走る!
そんな変わった公爵令嬢の物語。
アルファポリスOnly
2019/4/21 完結しました。
沢山のお気に入り、本当に感謝します。
7月より連載中に戻し、拾異伝スタートします。
2021年9月。
ファンタジー小説大賞投票御礼として外伝スタート。主要キャラから見たリスティア達を描いてます。
10月、再び完結に戻します。
御声援御愛読ありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる