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8.大団円?
しおりを挟む私こと北斗は現在、危機的状況に陥っています・・・。
異世界ではお約束のスタンピードが起こったとか、盗賊や山賊の類に誘拐されて奴隷商人に売られそうになったとか、玲鈴さんの恋路を邪魔したので嫌がらせを受けているとかではないわ。
紫秀さん、某世紀末覇者や某最強武将、某究極生物のように筋骨隆々な玲鈴さんを姫抱き出来るの!?
玲鈴さんを抱き上げたら紫秀さんがギックリ腰にならないかしらね!?
って心配していたくらいだし、翠耀さんと一緒になって二人の恋路を応援していたくらいよ。
そんな私がどうして危機的状況に陥ってしまったのかと言うと・・・翠耀さんと婚礼の席に居るからなの。
誰かの結婚式に友人の一人として出席しているのではないわ。
新婦としてなの!
何で!?
何で私が玲鈴さんと兄弟になっているの!?
何で翠耀さんと結婚する事になっちゃったの!?
・・・・・・赤いウェディングドレスのデザインが洗練されているし、綺麗で華やかだけどさ。
で、披露宴を終えて初夜を迎える時に翠耀さんと話をする事にしたの。
「翠耀様・・・?」
「様はいらない。これからは俺の事を翠耀と呼んで欲しい。俺達は夫婦になったのだからな・・・」
「夫婦!?そこは夫夫でしょ!?」
いや、結婚したのだから夫婦になったのは分かるわよ?
でも、そこは【夫婦】ではなく【夫夫】と言うのが正しいのではないかしら?
ツッコミを入れた私に対して翠耀さんは【夫夫】ではなく【夫婦】と表現するのが正しいのだと、冷静な態度で訂正を入れたわ。
男同士が結婚をしても暁華国では【夫婦】と言うのね。
一つ勉強になったわ。
・・・・・・って違う!
「翠耀さ「翠耀だ、ホクト」
「翠耀、僕は玲鈴様のように額と腹部に花の痣を持っていませんよ?ですから・・・」
太守にとって家を継ぐ為の男児を100%の確率で産む事が出来る、額と腹部に花の痣を持っている男を伴侶にした方がいいはず。
それなのに・・・何で翠耀さんは私と結婚する事を選んだのかしらね?
「だから夫婦になれないと?」
「はい。玲鈴様は紫秀様と夫婦になった。周家側としては娘(?)息子(?)のやらかしで周家の面子が潰れてしまうだけではなく鳳家に合わせる顔がない。玲鈴様の実家である周家が僕を養子に迎えたのは、玲鈴様に代わる人物を鳳家に嫁がせる為なのでしょう・・・」
そう考えたら玲鈴さんの実家である周家が私を養子にしたのも納得だわ。
(私は玲鈴さんの身代わりでしかないのね・・・)
自分で言うのも何だけど、玲鈴さんの実家である周家の名誉を護る為の道具という事実に思わず泣いてしまったわ。
「ホクト、それは違う!俺が玲鈴殿の実家である周家にホクトを養子に迎えた上で俺の元に嫁がせて欲しいと頼んだんだ!」
「翠耀・・・?」
それってどういう事なの?
「何時からだったかな・・・。最初はホクトが作る、ホクトの故郷の菓子が楽しみだった。それが・・・自分でも知らぬうちにホクトが作る菓子もだが、何よりもホクトの顔を見るのが楽しみになっていた・・・」
そういえば翠耀さんは何時も私にお菓子を作らせていただけではなく自分の部屋に持って来て欲しいと頼んでいたわね・・・。
えっ?
もしかして・・・翠耀さんが休憩する時は必ず私にお菓子を持ってこさせたのも、私の顔を見る為だけ、だったの・・・?
「最初はホクトに対する想いが何なのか、分からなかった・・・。それを自覚したのは、ホクトが故郷の家族を思って泣いた時だった・・・」
その時、思ったんだ
小さな身体を震わせて、心に深い悲しみを抱えて涙を流すホクトを見たくない
幸せに笑っているホクトを俺は見たいと・・・
小さいって・・・私、こう見えても身長が180cmあるのですけど?
・・・・・・まぁ、神仙という異世界では額と腹部に花の痣がない男として考えたら小さい部類に入るのでしょうね。
「理由は色々あるが、俺はホクトと共に人生を歩みたい。ホクトと家族となり二人で家族を築きたい・・・」
「翠耀・・・」
「──・・・」
耳元で囁かれた翠耀さんの言葉を素直に受け入れる事が出来た私は、この世界で生きていく覚悟をしたわ・・・。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
翠耀さんと結婚して数十年
私と翠耀さんとの間には子供にも恵まれ・・・恵まれというより両手と両足の指を足した数よりも多いのだからマリア=テレジアもびっくりするレベルの子沢山と言った方が正しいわね。
これ・・・〇ネスに申請したら記録に載るような気がするわ・・・。
今も懐妊中だけど、子供達の面倒は翠耀さんと乳母(?)乳父(?)が私と一緒になって見てくれる。
王母娘娘の思惑通りに事が運んだのは癪だけど、何のかんの言いつつ私は賑やかで幸せな日々を送っている。
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