追放された聖女はペットと一緒に田舎でスローライフを送る

白雪の雫

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3.ラインハルトサイド-3-

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「私はトレイシア=フロマージュ。今日から私とワンちゃんは家族になったのよ」

 娘が身体を洗ってくれたおかげで余は艶々な毛並みが美しい白い小犬となった。

 浄化魔法で身体を綺麗にしていても、やはり湯浴みは気持ち良いものだ。

「ワンちゃんって毛並みがフワフワでワタアメみたい。という訳で、今日から貴方の名前はワタアメよ」

「キャン!?」

(ワタアメ!?どうせならもっとこう・・・格好いい名前が良い!)

 例えば古の王国を治めていた王の名であるアレクサンダー、アウグストゥスとか!

【高貴な】を意味するエーデル!

【偉大な〇〇】を意味する〇〇・ザ・グレイトとか!

「よろしくね、ワタアメ」

「クゥ~ン・・・」

 ・・・・・・・・・・・・どうやら飼い主殿には名前を付けるセンスがないらしい。

 諦めた余はワタアメという名前を受け入れる事にしたのだ。







◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆







 飼い主殿と共に暮らすようになってからというもの、食事・湯浴み・散歩等、飼い主殿が余の面倒を見てくれるので、生活は快適であるぞ。

 そうそう。

 飼い主殿はトレイシア=フロマージュといい、レモンチーズケーキ王国の聖女であるらしい。

 話によると、飼い主殿が七歳の時に全属性の魔法が使える事と魔力が膨大という理由で、実家であるフロマージュ公爵家が聖女を育成する修道院に入れたのだとか。

 飼い主殿は聖女にして公爵家の令嬢だったのか。

 気品と優美な雰囲気を纏っているというのも納得出来る。

 聖女であるが故に、飼い主殿が立ち寄った孤児院と診療所から修道院に戻るまでの間、護衛よろしくシスター達が傍に居たという事か。

 飼い主殿ことトレイシア殿の話によると、あのシスター達は聖女である自分に男を近づけさせない為の護衛であると同時に、男と情を交わさない為の見張りであるらしい。

 何でも男と交わったら、結婚してしまったら聖女は力を失ってしまうのだとか。

 トレイシア殿よ、千年以上生きている余は断言する。

 ・・・・・・そんなの迷信である!

 とな。

 修行・努力して習得した事は身体が覚えているように、聖女の力も同じ。

 結婚、男と交わっても、子を成しても聖女はその力を失う事はないのだ!!!

 だから・・・自分と同じ年頃の娘達が男と腕を組んで逢引きしているところや、子供と共に市場を歩いている母の姿を目にしても自分には縁のない世界なのだと心の内で嘆き悲しむ事はないのだぞ。

「クゥ~ン・・・」

「ありがとう。ワタアメは私を慰めてくれているのね・・・」

 愁いを帯びた笑みを浮かべているトレイシア殿を見て余は決意した。





 本当の意味で彼女に家族を与えよう





 ───と。









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