乙女ゲームに転生した男の人生

白雪の雫

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①転生先は悪役寵妃だった-1-

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 苦痛と快楽は紙一重だと、行き過ぎた快楽は苦痛でしかないのだと、誰かが言っていたような気がする。
 「あっ、やぁ・・・ひぅっ!」
 更なる刺激を求めるかのように硬くなっている紅い胸の突起に爪を立てられたり、指で弄ばれながら、腰だけを高く上げている姿で己の後孔を蹂躙している和寿の雄で前立腺を刺激されている今の灯夜には、ただ射精したいという思いしかなかった。
 「く、苦しい。ひ、紐、を・・・」
 だが、灯夜自身の根元は紐で縛られているので達きたくても達けず苦しいというのに、灯夜はというと肌を上気させながら襲ってくる快楽に身を委ねながら子供のように泣きじゃくる事しか出来ないでいる。
 「紐を、取って!」
 「これは俺を苦しめた灯夜に対する罰だから・・・外す訳にはいかない」
 「そ、そんな!」
 和寿の死刑宣告に等しい一言に灯夜は思わず声を上げる。
 自分は霧雨神社の次期宮司。和寿は今でこそ教師だが、元は海外で活躍していたプロのバスケ選手。
 互いの将来の為に、爛れた関係を断ち切った方がいいと思い別れを告げたのに───。
 「だが、さっきの言葉を取り消すのであれば・・・・・・」
 和寿の言葉は灯夜にとって誘惑以外の何物でもない。それを肌で感じ取った灯夜は必死に首を横に振って拒絶の意思を示す。
 「灯夜・・・俺は拒絶されればされるほど燃える性なんだ」
 (えっ?)
 「か、和寿・・・いっ!あっ!い、やぁ・・・っ!」
 本来であれば排泄する為の器官でしかない場所から和寿の楔が抜けた感触に安堵の息を漏らしてしまったのだが、間を置かずに再び激しく貫かれた事により頭が白くなってしまった灯夜は一際甲高い嬌声を上げる。
 「一言、たった一言『俺と共に生きる』と誓えばお前は──・・・」
 「・・・わ、分か、った。お、俺は、和寿、さんと・・・・・・」
 だから・・・もう、達かせて!
 一刻でも早く過ぎた快感から解放されたいという思いだけに支配されている灯夜は、自分を犯している男に涙を浮かべている顔を向けながら取り返しのつかない懇願をしていた。
 「いい子だ」
 次期宮司である青年の言葉に満足したのか、和寿は縛めを外しながら今にもはちきれんばかりでいる灯夜の陰茎を扱いて射精を促す。
 「あっ!あぁ!」
 「灯夜・・・」
 自身を縛っていた紐が外された事でようやく精を放てた灯夜はただその余韻に浸り、和寿はそんな彼に口づける。
 「んっ、んぅ・・・」
 (か、和寿、さん?)
 灯夜が最期に見たのは、幸せそうな笑みを浮かべている和寿の顔だった。










◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆










 「爺、帰って来たぞ」
 ここは世界の狭間。
 人間はおろか、神に近い存在だと言われている古代竜やハイエルフでさえも来る事が出来ない異次元───つまり、神だけが自由に行き来できる場所である。
 「誰が爺じゃ、アイドネウス!儂はリーベンデールを創った創造神じゃからティフォーネ様と呼ばぬか!」
 この馬鹿孫が!!
 今は日本人に扮しているので黒髪黒目の三十代後半から四十代前半の姿になっているが、本来の姿は天空を司るフェンリルである和寿ことアイドネウスを、七つの球を集めたら龍が一つだけ願いを叶えてくれる漫画に出てくる〇仙人のじっちゃんと瓜二つである創造神が怒鳴りつける。
 んっ?
 「アイドネウス?お主が持っている魂はなんじゃ?」
 孫が世界の狭間から護るように手にしている魂から発しているオーラは人間の男性のものであった。
 「ああ。俺が見初めた人間・・・灯夜をリーベンデールに転生させる為に魂を持って帰って来た」
 「た、魂を持って帰って来たって・・・。お主、まさか灯夜君とやらを──・・・」
 「リーベンデールの女として転生させる為にはそうするしか方法がなかったからな」
 (こ、殺したのじゃな・・・)
 今日まで神族はおろか精霊や妖精の女に見向きもしなかった孫が見初めた相手が人間の青年だという事実ではなく、リーベンデールの女性として転生させる為だけに彼の魂を元の世界から拉致したという事に、ティフォーネはガクッと肩の力を落とす。
 「と、灯夜君を転生させるのは構わぬが、転生体はお主が育てるのか?」
 「いや」
 ティフォーネの問いにアイドネウスは首を横に振って否定した。
 人の姿になれば歩く18禁のアイドネウスであるが、見た目に反して子供好きで自分の子供が欲しいという願望があったりする。
 弟妹の子供が赤子の頃は手ずから襁褓を替えたり、沐浴をしたり、離乳食を食べさせたり、時には実の親以上に面倒を見ていたのだ。
 今風に言えばイクメンである。
 そんなアイドネウスは、幼女を自分の手で育てて嫁にするという男の夢とロマンを実行するだけの行動力と財力だってあるのだ。
 それをしないアイドネウスにティフォーネが疑問をぶつける。
 「自分の妻にする為だけに子供の時から育てた女など、俺にしてみれば個性と自分の意思というものを持たない人形と同じだ」
 「ま、まぁ、お主の言葉にも一理あるのう」
 懐から転生手帳を取り出したティフォーネは、灯夜の転生先をどこにすればいいかを考える。
 (・・・・・・・・・・・・)
 悩む事暫く
 「灯夜君はミントグリーン王国の第一王女として転生させるかの。アイドネウス、儂が出来るのはここまでじゃ。後はお主次第じゃな」
 「ティフォーネ様、感謝する」
 祖父に礼を告げたアイドネウスは自分の本拠地へと戻る。
 (・・・・・・すまん、灯夜君。孫の初めての我が儘で死んでしまったお主にはチート?とやらを授けたが、これも神に魅入られた人間の宿命として受け入れるのじゃよ)
 アイドネウスの為に灯夜を女性として転生させたティフォーネに出来る事。
 それは、彼の第二の人生に幸あれと祈るだけだった。





本命を自分の世界の住人として転生させる為だけに殺すのはヤンデレになるのかと思ってしまったので、タグにヤンデレを入れたのですが、ヤンデレの定義に当て嵌まらないのであれば外します。





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