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③卸しで稼いでいます-3-
しおりを挟む『迂闊だったわ・・・』
貴族向けであれば数千円で買った安い服を何十万円や何百万円・・・十ゴルド単位で売っても罪悪感など湧かないが、庶民向けの服を十シルバ単位で売るのは紗雪に出来ない行為だったので、アパレルショップを開くのは諦めたのだ。
相場を知らない間は店を持つ事は止めた方がいいと、身を以て学んだ紗雪は【卸し】に活路を見出したのだが、何を卸せばいいかという事実に再び頭を悩ませる。
『・・・・・・グラナードの地に住む人達が何を求めているのか。リサーチしてみましょうか』
懐から取り出した一枚の紙を鳥に変化させた式神を街へと飛ばす。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
いい匂いのする石鹸が欲しい?
(ウィスティリア王国のように国が石鹸職人を管理しているとしたら、輸出品の一つだという可能性があるかも知れないから止めた方がいいわね)
ネットショップで購入した分を自分で使うのは誤魔化せるかも知れないが、それを売るとなればどう答えたら分からない紗雪は石鹸を卸すのを却下する。
可愛い服が欲しい?
自分で作ったか、古着に付いていたレースを取り外して新しい服に縫い付けるという形で女の子達は、自分の服を可愛くしようとしているので、古着屋やアパレルショップにレースを卸すのは悪くないかも知れないと、紗雪は手芸用品を卸しの候補に入れる。
ソバカスを消したい?
(こういうのは美白対策が大事なのよね)
美白効果のある化粧水がネットショップで売っているが、お肌のトラブルに対処できない紗雪は化粧水を卸すのを却下する。だが、身体に塗る日焼け止めクリーム、UVカットの帽子と日傘であれば売れるかも知れないので候補に入れる。
(でも、帽子と日傘って金持ちにしか売れないような・・・。これは金持ち用の商品として卸せばいいのかしら?)
貴族様が口にするような美味しいものが食べたい?
(ウィスティリア王国の性女・・・ではなく聖女召喚に巻き込まれた時、王宮で出された料理を食べたけど、あれ・・・味付けが濃すぎて不味かったわよ?)
料理人に対する礼儀として『不味い!』と口にしなかっただけで、当時の事を思い出してしまった紗雪はげんなりとなってしまう。
(料理を教えるというのも悪くないかも知れないわ)
食文化は発達していないのに、炊飯器はないけど調理家電と調理器具は現代日本並みに発達しているのだ。
何故、食文化がルネサンス以前で止まっているのかはおいおい考えていくとして、今の自分が成すべき事はただ一つ──・・・。
お金様を貯める!!
それだけだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「ネットショップというスキルがなかったら、間違いなく私はこの地に着く前に野垂れ死にしていたでしょうね・・・」
もし、この場にラルクとカーラが居たのであれば、紗雪にこうツッコミを入れていたはずだ。
契約した神獣ホワイトタイガー(白虎の事である)を操って邪神を倒したサユキ様であれば、冒険者として生きて行けるだろうが!!!
だが、その二人はグラナードに居ないので紗雪のボケ(?)にツッコミが入らなかった。
「イリスさんとジュリアさんに頼まれたレースと糸、ソアラさんから頼まれた日焼け止めクリームと歯ブラシと歯磨き粉、それから──・・・」
紗雪は明日の卸しの為にネットショップで商品を購入していく。
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