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⑤王都へ(後編)
しおりを挟む五日後、依頼を受けてくれた冒険者が見つかったという連絡を受けた紗雪は冒険者ギルドへと向かった。
「スノー様が挙げた条件・・・彼等は生活魔法が使えますよ」
ヴィヴィアンさんは精霊使い、獣人のベスティーさんは武闘家、レイモンドさんは剣士です
受付嬢が三人の冒険者を紗雪に紹介する。
「皆さん、初めまして。スノーと申します。今回は私の依頼を引き受けて下さりありがとうございます」
見た目が某アクションゲームのあのキャラに似ているレイモンドがあの名前であれば、彼の武器が長剣ではなく鞭だったら、某ヴァンパイアハンターそのものだよな~と思いながらも、紗雪は三人に頭を下げる。
「スノー殿、気にするな。俺達はスノー殿が提示した条件が良かったから引き受けただけに過ぎない」
(彼女から感じられる気品と立ち居振る舞い・・・。スノー殿は何らかの理由で家が没落してしまった貴族令嬢なのか?)
「そうそう、レイモンドの言う通りだ。別に気にするこたぁねぇよ」
「護衛の為に、食事だけではなく宿代も出してくれるなんて・・・スノーさん、貴女こそ依頼者の鏡です!」
食糧の調達は自力でやれ
宿代は自分で負担しろ
依頼人は冒険者の為にそこまで面倒を見ないのが当たり前なのだと、ヴィヴィアンが紗雪に力説する。
「実は、あんただから言うけどよ・・・こんな条件のいい依頼を見た時、俺を含む冒険者達は『これって詐欺じゃねぇ?』って疑っていたんだ。けど、同時にこれが嘘だったらそん時はそん時だっていう思いで俺達は受けたんだ」
「ぼ、冒険者って世知辛いのですね・・・」
食事代のみならず宿泊代も自己負担で、依頼人に請求できないという事実に紗雪は唖然とする。
「皆さんの期待に沿えるかどうか分かりませんけど、旅の間の食事と宿代の面倒を見る事を約束しますよ」
晴れやかな笑顔を浮かべた紗雪は、自分の胸を軽く叩いて宣言したのだった。
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