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⑥チキンカツサンド-2-
しおりを挟む「私の故郷の料理の一つです。チキン・・・揚げた鶏肉をパンに挟んだものです」
紗雪がマジックポーチから取り出したのは、チキンカツサンドだった。
今回のチキンカツサンドに使った調味料とパンはネットショップで購入したが、鶏肉は市場で購入したものである。
ネットショップで売っている鶏肉と比べたら高かったが、お金様は貯めるだけではなく使って行かないと経済が回らないので、食材に関して紗雪は出来るだけ現地のものを使うようにしているのだ。
「この白いパン、柔らかそう~」
「この揚げた鶏肉だけでも十分にご馳走じゃねぇ?」
草の上に腰を下ろしているヴィヴィアンとベスティーが生まれて初めて目にする、大都市の食堂やバルで出しているものよりも遥かに美味そうな料理に歓声を上げる。
(・・・・・・)
そんな二人とは対照的にレイモンドは興味半分、警戒半分という感じでチキンカツサンドを見ていた。
流石は侯爵子息と思いながら、紗雪はマジックポーチから水が入っている革袋と木のカップを取り出すと水を注ぐ。
ちなみに、この水はネットショップで購入したペットボトルの水を革袋に入れ替えただけである。
「皆さん、食べて下さい」
我慢できなかったヴィヴィアンとベスティーはチキンカツサンドを口に運ぶ。レイモンドもまた二人に倣ってチキンカツサンドを食べてみる事にした。
「う・・・美味い!」
「白いパンは柔らかくて仄かに甘さを感じるし、揚げた鶏肉は弾力があるのに・・・でも硬くないの」
「下味の塩と胡椒もそうだが、何と言っても決め手はソースだろうな」
独特の辛さの中に酸味と旨味を感じさせるこのソースが、揚げた鶏肉に深みを与えているのだ。
「・・・・・・どうですか?」
「美味しいっ!」
「この分だと晩飯にも期待出来そうだな!」
「ヴィヴィアンとベスティーではないが、スノー殿が作った料理は本当に美味だ」
「そう言っていただけると嬉しいです」
他人というか、異世界人に自分の手料理をお世辞ではなく褒めて貰った事実に紗雪は笑みを浮かべる。
※他のサンドイッチの話を書こうとしたけど、内容がチキンカツサンドと同じような事の繰り返しになってしまうので止めました。
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