カフェ・ユグドラシル

白雪の雫

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㉓シュルツベルク伯爵-1-

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 怪物に襲われている可憐な女の子と凛々しい女の子を助けたり、助けた女の子達の正体がどこかの国の王女様とその護衛で『主人公様、貴方をお慕いしていますぅ~♡好き好きぃ~♡愛してるぅ~♡今すぐ私を抱いてぇ~♡(ポッ)』といった展開はなかったが、その代わりと言えばいいのか、自分達が乗っている馬車を襲おうとしていた数体のオークを返り討ちにしたランスロットとレイモンド。

 二人の動きは無駄と隙がなく、実戦によって身に付けたものだった。

 「A級冒険者であるレイモンドさんならともかく、ロードクロイツ侯爵が戦えるなんて夢にも思っていませんでした・・・」

 「紗雪殿、私達が貴族でいられるのは領民が支えていてくれるからだ」

 その領民を護る為であれば時には自ら戦いの場に赴く事があるので戦う術を身に付けたのだと、素直に感嘆の声を上げる紗雪にランスロットとレイモンドが貴族としての在り方と義務を教える。

 「顔しか取り柄がないエドワードとギルバードバカ共にロードクロイツ侯爵とレイモンドさんの爪の垢を煎じて飲ませてやりたい・・・」





 傲慢で我が儘

 ナルシストで俺様気質

 人の上に立つ者の義務は果たさないのに権利だけは要求する





 (梅毒に罹っている女に手を出す馬鹿共にロードクロイツ侯爵のような人の上に立つ器がなくて当然よね)

 二人が人間として終わっている事を知っている紗雪が思わず遠い目になる。

 「ロードクロイツ侯爵、レイモンドさん。二人が倒したオークですけど・・・どうするのですか?」





 冒険者ギルドに食材として売るのか?

 或いは、この場で解体して食べるのか?





 「オークの肉は高級食材の一つだから、冒険者ギルドに売るつもりだ」

 「レイモンド。オークの肉だが、ロードクロイツに戻ったらエレオノーラと家中の者達に振る舞いたいのだ」

 「・・・分かりました。俺達が食べる分を除いた上でギルドに売りますよ」

 尋ねる紗雪にそう答えたレイモンドは慣れた手つきでオークを解体した後、自分が着けている魔道具の一つである腕輪に収納していく。










◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆










 予約しておいた高級宿屋で紗雪がネットショップで購入した調味料を使って作った料理、そしてスイーツを堪能しつつ、葡萄と水が入っている瓶の蓋を開けて空気を入れ替える前に酵母の様子を見る。

 「水に色がついてる?紗雪殿、これは一体・・・?」

 「葡萄が発酵している証拠よ。後は蓋を開けて空気を入れ替える。その後は蓋をして瓶を振って頂戴ね」

 「ああ」

 「この液体が柔らかいパンが焼ける酵母とやらになるというのは、不思議な感じだな・・・」

 瓶の中にある水が変わっていく様を目にしているランスロットが呟く。

 (この酵母が完成したら、どのようなパンを作れば紗雪殿は喜ぶだろうか?)

 空気を入れ替えた後、蓋をしたレイモンドは葡萄と色が付いた水が入っている瓶を振っていく。





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