カフェ・ユグドラシル

白雪の雫

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㉛フライドポテトとソフトクリーム-4-

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 貴族街に建つロードクロイツ侯爵家の邸の食堂のテーブルに並んでいるのは、紗雪とレイモンドが作ったフライドポテトとネットショップで購入したソフトクリームである。

 「この・・・ソフトクリームと言ったか?アイスクリームやジェラート、シャーベットのように氷菓の一種なのか?」

 「そうですよ、父上。ソフトクリームはアイスクリームより柔らかい氷菓です」

 ソフトクリームはアイスクリームより舌の上で溶けやすく滑らかで軽い口当たりをしているのだと、器に入っていない・・・例えばコーンという円錐型の菓子の上に乗せた状態だとスプーンがなくても食べる事は出来るが、短い時間で溶けて手が汚れるので早めに食べなければいけないのだとレイモンドがランスロットに教える。

 「母上と紗雪殿が育った異世界には、色々な氷菓があるのだな・・・」

 ランスロットの考えを察したのか、材料と道具があればキルシュブリューテ王国でもアイスクリームとジェラート、ソフトクリームは再現出来るのだとレイモンドが話す。

 「屋台で売っていたフライドポテトは皮を剥いて細く切っていて、こっちの方は皮を剥いていない・・・あら?皮が剥いているのもあるのね」

 「俺達に分かるのは形が違うという事くらいだな・・・」

 先程の自分達が食べたフライドポテトと、レイモンド達が作ったフライドポテトを見比べているロスワイゼとアルバートが声に出して呟く。

 「シュルツベルク伯爵、伯爵夫人。フライドポテトは見るものではなく食べるものです」

 「ロードクロイツ侯爵、侯爵夫人。このままだと冷めて食感が変わってしまいますし、新しい食べ方で食べるフライドポテトとソフトクリームが台無しになってしまいますわ」

 「父上、母上、シュルツベルク伯爵、伯爵夫人。まずはフライドポテトをそのままで、次はソフトクリームをつけて食べてみて下さい」

 「行儀の悪い食べ方とお思いになっているかも知れないですが、味は保障いたします」

 「そ、そうだな・・・」

 紗雪とレイモンドが作る料理に間違いがない事を知っている四人は、フォークで刺したフライドポテトを口に運んだ。

 「こ、これは・・・」

 「外側はカリと揚がっているのに、噛めば柔らかくてホクホクとしている!?」

 どっちもジャガイモを揚げただけのフライドポテト。

 それなのに、屋台で売っていたフライドポテトは単に切ったジャガイモを揚げただけのもの、二人が作ったものは何かしらの工夫と一手間が加えられている事が分かるレベルで違っていた。

 「あなた、次はサユキが勧めたソフトクリームとやらをつけて食べてみましょうよ!」

 ロスワイゼの言葉に異論がない三人は、パンにジャムを塗る要領で少し溶け始めているソフトクリームをスプーンで掬いフライドポテトに着けようとするのだが紗雪がそれを止める。

 「先程も言いましたが、フライドポテトを刺した状態でソフトクリームをつけてから食べてみて下さい」

 四人は紗雪が言っていた方法でソフトクリームをつけたフライドポテトを口に運ぶ。

 「あ、甘いのにしょっぱい!?」

 「フライドポテトにかかっている塩が甘さを引き立てているんだ!」

 紗雪が言っていたように行儀の悪い食べ方だが、甘さと塩気が一つになった味に四人は驚きながらフライドポテトにソフトクリームをつけて食べ進めていく。

 「父上、母上・・・」

 「お養父様、お養母様・・・」

 残ったソフトクリームにほんの少しだけ塩を振って食べるという食べ方を教えようとしていたのだが、四人の食べっぷりに何も言えず呆気に取られてしまう紗雪とレイモンドであった。










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