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㉞ローゼンタール公爵夫人-5-
しおりを挟む「先程は失礼をいたしました、ローゼンタール公爵夫人」
「こ、こちらこそ、失礼な口を叩いて申し訳ございませんでしたーーーっ!!」
あのひと騒動の後、商業ギルドからローゼンタール公爵邸へと招かれた一行。
客室に通されるなり頭を下げて謝罪した紗雪に、金の使い方は人それぞれなのに横から口出しして悪かったとマスミがスライディング土下座していた。
「まさか、紗雪さんがあの篁 雅臣が従えていたという後鬼を使えるなんて夢にも思っていなかったよ」
((((((立ち直りが早いな))))))
土下座で謝罪していたかと思えば、すぐに別の話題を切り出したマスミは紗雪達が心の中でツッコミを入れている事を知らずにメイドが用意したハーブティーに口を付ける。
「ねぇ、紗雪さん。あたしは元の世界で貴女のご先祖様である篁 雅臣が攻略対象者の一人として出てくる乙女ゲームをプレイした事があるんだ」
でね、伝説のせいなのかな?
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「!!」
マスミにしてみれば単なる好奇心と軽い気持ちで聞いただけである。
だが、彼女の言葉は紗雪の中にある【篁の誇り】と、霊剣・蜉蝣の使い手にのみ課せられた【篁の使命】を傷つけるのに十分なものだった。
「市川 真純!今すぐ、その言葉を取り消せ!!」
【視線だけで人を殺せそうだ】【声が大気を震わせる】という表現があるが、マスミの発言で激昂してしまっている今の紗雪は正にその状態だった。
「さ、紗雪、さん・・・」
(こ、殺される・・・!)
紗雪を怒らせるなんて夢にも思っていなかった真純は、ただ恐怖で身体を震わせるばかりだ。
「ち、血が・・・」
ローゼンタール公爵家のメイドが用意してくれたハーブティーを口に付けようとしていたのだろう。
怒りで紗雪が握り潰してしまったカップは彼女の掌を傷つけ、そこから伝い落ちる血が絨毯を汚す。
「お客様!ち、血が!」
「だ、誰か・・・薬を!」
「俺が紗雪の手当をする」
紗雪に近寄ろうとするメイド達をレイモンドが阻止する。
「ローゼンタール公爵夫人。開祖の出自がどうであれ紗雪は篁の人間としての誇りを胸に秘め、元の世界では己に課せられた義務を果たす為に生きてきた」
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「温厚な人間を怒らせてはいけないというのは本当の事だったんだな・・・」
「そうだな・・・」
「なぁ、ランスロット・・・一つ聞いていいか?俺ってサユキにマスミちゃんの苗字を教えていたっけ?」
「いや、私が知る限り教えていない」
「だよな」
それなのに、何で紗雪はマスミの苗字を知っているのだろう?
二人が出て行った客室では、腕を組んで首を傾げるアルバートの姿があった。
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