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㊳聖女の酵母作り-2-
しおりを挟む料理は香辛料を入れ過ぎているので不味い
それでいながら味は単調
パンは日本のものと比べたら硬くて種類も少ない
「砂糖の暴力とはこの事を言うのか!」というセリフを思わず口にしてしまうくらいに甘過ぎるデザート
美味しいものが溢れている二十一世紀の日本で暮らしていた茉莉花にしてみれば、ウィスティリア王国の料理は貧相で苦行でしかない。
だが、自分は国を救った英雄にして聖女である。
優しくて慈悲深い、赤子のように純粋無垢で他人を思い遣る心を持つ清楚可憐な聖女たる者、ハーレム要員であるエドワードとギルバードの前で不機嫌な態度を取ってはいけないので、自分付きの侍女達をサンドバッグ代わりにする事で日々の鬱憤とストレスを解消していた。
「ラノベでは、異世界に召喚された日本人が役に立つ物を作ったらチヤホヤされるのが当然なのに!」
異世界の料理に革命を起こすべく、主人公sugeeを示す定番の調味料とでもいうべきマヨネーズを広めて大金を稼ごうとしていた茉莉花。
だが、ウィスティリア王国の料理人達は茉莉花の言葉を理解出来ないのか、マヨネーズの再現は叶わず失敗に終わってしまったというオチ付きである。
「それもこれも、原始人・・・いや、猿人並みの知能しか持っていない料理人共が悪いのよ!!!」
低能な異世界人でも簡単に再現出来る料理や調味料があるのだろうか?
異世界のレベルに合わせて茉莉花は考える。
(・・・・・・・・・・・・)
「そうよ!酵母よ!酵母だったら知能が原始人レベルの料理人達でも作る事が出来るわ!」
だって、瓶に水と葡萄を入れたら後は放置すればいいだけだもの!!
こんなに簡単に作れちゃう酵母が思い浮かばなかったあたしって本当お馬鹿さん♡
柔らかいパンを作ったあたしを女神と称えるエドワードとギルバード・・・
ううん
エドワードとギルバード以外のイケメンもあたしに跪いて『聖女様、貴女が欲しい・・・』って感じで求めてくるに決まっているわ♡
優しくしてくれそうな文官のアランもいいけど、情熱的で激しそうな近衛騎士のローレンスもいいわね♡
って事は・・・エドワード達があたしを巡って争っちゃう?
純粋無垢で慈悲深い、清楚可憐な茉莉花は皆の聖女なの♡
だから誰か一人を選ぶなんて出来ないわ♡
だからね・・・皆があたしのものになればいいのよ♡
己の天然っぷりと、柔らかいパンを作った事で自分が目に付けているイケメンからチヤホヤされる異世界のテンプレの一つとでもいうべき、簡単に作れる酵母という存在を思いだした茉莉花は、自分で自分を褒め称えると厨房へと向かった。
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