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㊳聖女の酵母作り-4-
しおりを挟む三日後
「臭っ!」
「何か濁ってないか!?」
「・・・どう考えても、失敗だよな?」
「そんなの、見りゃ分かるだろうが!!」
瓶の中にある液体からの何かが腐った臭いに、料理人達は酵母作りに失敗したと悟った。
失敗した酵母液を使ってパンを作ろうものなら、国王をはじめとする王族達から自分達を毒殺する気だったのかと、百パーセントの確率で嫌疑をかけられるだろう。
「ねぇ、あんた達。あたしが言った通りに作った酵母液で作ったパンをエドワードとギルバードだけではなく、ハーレムに加えたいアランとローレンスにも食べさせたいの」
という訳で、今からパンを作って頂戴
「聖女様?原始人並みの知能しか持たない俺達には酵母が出来たのか分かり兼ねる・・・。いえ、判断が出来ないので、これでいいかどうかを見てくれませんかね~?」
料理人の一人が茉莉花に、酵母液が入っている瓶を差し出す。
ふんっ!
「異世界人は愚図で鈍間で低能だから困るのよ!」
愚痴を零しながらも瓶を受け取った茉莉花だったが、そこから漂ってくる腐臭に思わず顔を顰めてしまう。
「これは何なのよ!?」
「何なのよ!と言われても・・・。俺達はただ聖女様が仰っていた通りに『葡萄と水が入った瓶を放置していただけ』ですが?」
確かに料理人達は茉莉花の命令通りにしただけである。
そう。それ以上の事は何もしていないのだ。
瓶を煮沸消毒しない。葡萄を水で洗わない。蓋を開けて空気の入れ替えをしていない。
要するに、水と葡萄が入っている瓶をきちんと管理していなかった。
彼等が酵母液作りを失敗するのは当然だったのだ。
「酵母は日本人が持ち上げられる為のイベントに必要なアイテムなのよ!?」
ラノベでは『主人公sugeee!』『こんなに柔らかいパンを食べたのは初めてだ!』と、現地の人間が主人公をヨイショするのがテンプレなのに、自分は周囲から称賛されず大金を手に入れられない。
ふんっ!
「酵母すらまともに作れないなんて!」
異世界人の知能は動物以下なのね!と、料理人達を罵倒した茉莉花は自分が酵母を作ると宣言すると、新たな瓶に水と葡萄を入れるとそれを自分の部屋に持ち帰った。
更に三日後
「こ、酵母にカビが・・・生えてる!?」
茉莉花の口から悲鳴が上がる。
「な、何でよ!?酵母って簡単に作れるはずなのに・・・」
こ、これは何かの間違いよ!
ラノベでも酵母液の作り始めから完成までの過程が詳しく書かれていないのは当然であるが、何より茉莉花が作り方を知らないのだ。
そんな人間が酵母液を作るなど、最初から無理だったと言っても過言ではない。
「あたしのハーレムが・・・」
柔らかいパンを食べさせる事でアランとローレンスの胃袋を掴んで好感度を上げる。そして、好感度MAXになったら自分のハーレムメンバーに入れるという計画を立てていたのに、それが実行出来ないという事実に茉莉花は声を上げて発狂するのだった。
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