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㊺チョコレートソース-3-
しおりを挟む「レ、レイモンド?何か心境の変化でもあったのか!?」
ほんの数日前まで腰の辺りまであった弟の髪が短くなったものだから、驚きを隠せないベルンハルトはレイモンドに髪を切った理由を尋ねる。
「料理を作る度に髪を纏めるのが面倒くさいので切りました」
「随分と思い切った事を・・・。紗雪殿は驚かなかったのか?」
「初めて見た時は思わず驚いてしまいましたけど、レイモンドは短い髪も似合っていますので・・・」
顔を赤く染めながらもしっかりと惚気る紗雪の姿に苦笑を浮かべながらも、二人の仲が順調である事にベルンハルトは心の底から喜んでいた。
「それで?陛下とソフィー王妃による交渉は上手くいったのか?」
「チョコレートパフェのおかげなのか分かりませんが、キルシュブリューテ王国はプルメリア島からバニラだけではなくカカオ豆と果物を輸入する事になりましたし、プルメリア島にチーズや生クリームといった乳製品と果物を輸出する事になりました」
「二国の食材を使って一つにしたデザートを出せば互いにいい気分になるからな」
上手くいって当然だと、自宅兼工房でレイモンドの話を聞いているベルンハルトが魔道具を作りながら言葉を続ける。
「ところでレイモンド、紗雪殿。陛下とソフィー王妃が会談の時に食したというチョコレートパフェを俺も食べたいのだが?」
「ベルンハルト兄上の事であればそう言うと思っていましたので、ちゃんと用意しますよ・・・」
幸いな事にチョコレートパフェを作るのに必要なアイスクリーム、生クリーム、チョコレートソース、クッキー、パイの作り置きが紗雪の収納ポーチに入っている。
後はグラス型の器に盛りつければいいだけだ。
「ベルンハルト兄上」
紗雪に手伝って貰いながら作ったチョコレートパフェを、レイモンドがベルンハルトの前に置いた。
「これがチョコレートパフェか・・・」
器の外側から見えるのはチョコレートソース、アイスクリーム、パイの層。
それ等を覆っているのはアイスクリームと生クリーム、そしてクッキーが刺さっていた。
以前に食べたアイスクリームに似ているが、焼き菓子を盛り付けているので見た目は豪華だ。
神よ、あなたの慈しみに感謝してこの糧をいただきます
(んっ?)
「レイモンド?紗雪殿?アイスクリームが甘くないような?」
食前の祈りを捧げた後、スプーンで掬ったアイスクリームと生クリームを口に含んだベルンハルトは首を傾げる。
二人が作ったアイスクリームは確かに甘くて美味しい。
しかし、この前に食べたアイスクリームと比べたら甘さが控えめになっている感じなのだ。
「以前に試食したアイスクリームと比べたらチョコレートパフェはボリュームがありますので、今回は甘さを控えめにしています」
「成る程・・・。俺はこれくらいの甘さの方が好みだな」
見た目から少し口に入れただけで吐き気を催してしまうレベルで甘過ぎるチョコレートパフェを想像していたのだが、二人が作ったチョコレートパフェは口当たりが軽いだけではなく上品な甘さだ。
レイモンドの説明に納得しながら、ベルンハルトはチョコレートパフェを貴族らしい所作で綺麗に平らげていく。
「チョコレートパフェ、美味かった」
美味しいデザートを食べた後のベルンハルトの顔には満面の笑みが浮かんでいた。
「・・・二人が作る異世界の料理、広まるといいな」
「広めてみせますよ」
兄の言葉にレイモンドは力強く宣言する。
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