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㊼ベーグルとワイバーンのホワイトシチュー-5-
しおりを挟む「今日の夕食はミルク煮込み?」
給仕達がテーブルに置いていく皿と籠を目にしたランスロットが声を上げる。
「お肉は牛肉?・・・魔物の肉と言っていたからミノタウロスかしら?」
「夕食のパンは卵と牛乳とバターを使っていないベーグルというものだと聞いていたけど・・・そうは感じないですわね」
「旦那様、奥方様、若奥様。ワイバーンの肉をホワイトソースというもので煮込んだホワイトシチューという料理だそうです」
それとベーグルというパンですが、卵と牛乳とバターを使わずに作っております
給仕がランスロットとエレオノーラとアルベルディーナに教える。
「ホワイトシチュー・・・懐かしいわね~」
「ご母堂はホワイトシチューという料理を食べた事があるのか?」
「ええ。そうですね・・・肌寒いと感じる時期から冬にかけて母が作っていました」
日本に居た頃は母親が作ったホワイトシチューをカレーのようにご飯にかけて食べていたと、美奈子は懐かしみながらクリストフの問いに答える。
「ご母堂にとっては母上の味という事か」
「・・・そうかも知れないですね」
幼い頃を思い出してしまったのか、或いは二度と戻れない日本を思い出してしまったのか、その時の美奈子の顔にはどこか悲しみの色が浮かんでいた。
「父上、母上。二人が作った異世界の料理が冷めてしまいますので早く食べるとしましょう」
グスタフの言葉にそれもそうだと思ったランスロット達は食事の前の祈りを捧げると、スプーンで掬ったシチューを口に運ぶ。
口に入れたワイバーンの肉はホロッと崩れるくらいに柔らかく、ジャガイモはホクホク、人参と玉ねぎは甘い。
スープはコクがあってクリーミーでありながら肉と野菜の旨味が溶け込んでいる。
(これ・・・お母さんが作ってくれたシチューを思い出す・・・)
鶏肉とワイバーンの肉という違いはあるものの、紗雪が作った日本の典型的な朝食を食べた時のように美奈子が懐かしさで涙を流す。
(母上にとってホワイトシチューも玉子焼きや味噌汁のように、思い出の味という奴なのだろうな・・・)
美奈子が泣いている理由を何となく察したランスロットは何も言わないでおいた。
籠に入っているベーグルを手にした彼等は食べやすい大きさに千切ったそれを口に運ぶ。
(んっ?)
「噛み応えがあると言えばいいのか、弾力があると言えばいいのか・・・」
「私が日本にいた頃は、ベーグルというパンはなかったのよ?時代は進んでいるのね」
平民が食べるパンのように固いと思っていたグスタフ達であったが、想像していた以上に柔らかかったものだから、これはこれで美味いと思いながらベーグルに舌鼓を打っていた。
「ところで母上。先程仰っていました【カレー】というものについてですが・・・」
「色んな香辛料を組み合わせて味付けをした料理で、日本では国民食となっていたわ」
「国民食・・・ですか。食べてみたいですね」
「典型的な日本の朝食と、うな丼を再現出来たレイモンドと紗雪さんだったらカレーを作れるはずだわ!!!」
カレーライスにカレーうどん、カレーピラフにカレーパン
何を作って貰おうかな~?
やっぱり王道であるカレーライスは外せないわよね~
算段を立てている美奈子であった。
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