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㊾米粉のパン-3-
しおりを挟む冷蔵ボックスからバターを取り出した後、紗雪はパンを焼く為の下準備としてオーブンを温める。
ボウルにクリストフから貰った米粉、塩、砂糖、元種を入れて混ぜ合わせた後、お湯を加えて木べらで混ぜるのだが何か違うとレイモンドと紗雪は首を傾げる。
「製パン用の小麦粉で作る生地と比べて柔らかいような・・・?」
「パン粉で作る生地だから、ラングドシャの生地のように柔らかいというのが正解だと思う」
「これで暫く置いておけばいいのかしら?」
「た、多分・・・」
小麦粉で作るパンと同じ要領で、米粉で作ったパン生地を発酵させる為にボウルに清潔な布巾を被せる。
三十分後
ボウルに入っている米粉のパン生地には気泡が出ており、三十分前と比べると少し膨らんでいるように見える。
「発酵したパン生地にバターを加えて捏ねるのだけど・・・」
「製パン用の小麦粉で作る生地より柔らかいからバターは入れない方が・・・いいのか?」
「今日はバターを使わない米粉のパンを作ってみましょうか?」
「そうだな・・・いや、バターを使ったパンとバターを使わないパンを作ってみよう」
木べらで少し膨らんでいる生地を混ぜた後、生地を二つに分ける。
一つの生地にはバターを加えて混ぜた後で別のボウルに入れてから、もう一つはそのままの生地を発酵させるべくボウルに清潔な布巾を被せる。
四十分後
お~っ・・・
「ちゃんと膨らんでいるわ」
二倍に膨らんだパン生地をガス抜きして丸形に成形する。
「後はこのパンを焼くだけだな」
丸い形にしたパン生地が乗っている天板をオーブンで焼いていく。
十五分後
「何と言えばいいのか、その・・・」
オーブンから取り出した天板にはキツネ色に焼けた、焼く前は丸い形をしていたのに歪な形となってしまったパンがあった。
「・・・・・・食べてみましょうか?」
形が悪いだけで味は製パン用の小麦粉で作ったパンと遜色ないのかも知れないと思ったレイモンドと紗雪、そして料理人達は米粉パンを試食してみる。
「スーパーで買ったパンはもちもちとしていたのに・・・」
「食感がパサパサしている・・・」
「製パン用の小麦粉で作ったパンと比べたらきめが粗い・・・」
「これをクリストフ陛下達に出す訳にはいかないな・・・」
失敗したという事実に落ち込んでしまったレイモンドと紗雪は背景に陰々鬱々なオーラを背負いながら、どこが悪かったのかを考える。
ピザ生地のように平らな形にすればいいのか?
発酵が足りなかった?或いは発酵させ過ぎた?
お湯が多すぎた?或いは少な過ぎた?
ケーキのスポンジのように、何かの型に入れて焼かないといけない?
「一つ一つ検証していくしかないだろうな」
「そうね・・・。でも、その前に」
失敗した米粉パンはレイモンドと紗雪によってリメイクされ、二人が作った料理は料理人達の今日の賄いとなった。
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