カフェ・ユグドラシル

白雪の雫

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54.聖女との対決-4-

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 キルシュブリューテ王国からウィスティリア王国に行くには徒歩と寄合馬車では数週間かかるのだが、体力と身体能力が高い魔獣であれば半分から四分の一以下の日程で十分だ。

 幻想的な美しさと神々しさを感じさせる四頭のユニコーンが牽く車がウィスティリア王国の王宮に到着した。

 一台の車からはロードクロイツ侯爵親子が、もう一台の車からはシュルツベルク伯爵親子とクリストフが降りてくる。

 (何?あのダークエルフ?大魔王じゃん!どこからどう見ても大魔王じゃん!!)

 (ウィスティリア王国を征服しに来たと宣言しても信じてしまうやん!)

 (何つーかこう・・・聖女様が呼び寄せた姉ちゃんの方が聖女様より聖女様らしくねぇ?)

 (姉ちゃんの事は聖女様ではなく女神様とお呼びしたい!)

 紗雪達を出迎えた衛兵達は頬を引き攣らせてそんな事を思いながらも国王夫妻とエドワードとギルバード、王妃が心の中で躾のなっていない獣と称している茉莉花、邪神討伐に参加したラルクとカーラ、そして単なる出歯亀なウィスティリア王国の貴族達が待つ謁見の間へと案内する。

 「篁さん!あんた、何考えてんのよ!?」





 あんたが登録した酵母やバニラエッセンスで手に入れた金はあたしのところに入る物だったの!

 その権利を全部あたしに渡しなさいよ!

 今後はあたしの召使いになってあたしの世話をしつつ、マヨネーズとか醤油を再現しなさい!

 それで金が入ったらあたしに全部渡すのよ!

 それから、あたしに対する詫びとして万能薬とエリクサーを持って来たのかしら?

 さっさと渡しなさい!

 それで許してあげるわ!!!






 伯爵令嬢に相応しい、且つ身に纏う者の魅力を引き立てる清楚でありながらどこか華を感じさせるドレスで現れた紗雪に対して、自分よりも綺麗でお嬢様らしいと思いながらもフードで顔を覆っている茉莉花が一気に捲し立てた。

 茉莉花は邪神・サマエルを倒した聖女であり、未来の王太子妃となる娘でありながら、有力な後見を持たない。
言わば何ら平民と変わりない立場にある人間である。

 そんな茉莉花が、養女とはいえ他国の伯爵令嬢に理不尽な言いがかりをつけて噛みつくなど許されない行為なのだ。





 異世界人でありながら魔法が一切使えない紗雪が、救国の英雄である聖女に対してどう返すか





 国王夫妻と殆どの貴族は野次馬根性丸出しで、紗雪の力の一端を知るラルクとカーラは心の中でハラハラしながら事の成り行きを見守っていた。

 (近藤さんを精神科で入院させる事を勧めた方がいいかしら?)

 「ねぇ、そこのイケメンとイケオジ達ってエドワードとギルバードなんか足元にも及ばないくらいにカッコいいんですけど♡もしかして、篁さんの逆ハーメンバーだったりする?だったら、あたしに頂戴よ」

 謁見の間を覆う緊張を解いたのは、紗雪に怒鳴った事で落ち着きを取り戻した茉莉花の能天気な一言だった。

 「「マ、マリカ・・・?」」

 紗雪と共に謁見の間へと入って来たランスロットとアルバート、そしてレイモンドに目をつけたのか、茉莉花は三人に対して自分の愛人にならないかと話を持ち掛けてきたのだ。

 「あたしは王太子妃、ひいてはこの国の王妃になる女。あんた達にとって高嶺の花とでもいうべき未来の王妃の身体を好きなだけ抱かせて・・・あ・げ・る♡」









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