カフェ・ユグドラシル

白雪の雫

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55.トマトのパンナコッタ-9-

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 「紗雪、トマトゼリーが出来たぞ」

 「はい。今行くわ」

 寝室で畳んでいた洗濯物をチェストとクローゼットに入れると紗雪はレイモンドが居るリビングへと向かう。

 テーブルの上には鮮やかで涼しげな赤いゼリーと、赤と白の二層が美しいカクテルを思わせるゼリーがあった。

 「綺麗・・・」

 試食用だから器は小さかったが、見た目も楽しめるものだったので紗雪は声を上げる。

 「でも、どうして二種類のトマトゼリーがあるの?」

 「トマトが苦手・・・というより子供な紗雪には牛乳と一緒の方が喜ぶと思うから作ってみたんだ」

 「こ、子供・・・?レイモンドから見て私って子供なの?」

 「紗雪の場合、子供なのに俺にだけ大人の女性の一面を魅せるというのが正しいかな?」

 「・・・・・・馬鹿」

 レイモンドの言葉の裏を読み取ってしまった紗雪は顔を赤くして俯いてしまった。

 「食べようか?」

 「ええ」

 食事前の祈りを捧げた二人は目の前にあるゼリーをスプーンで掬い口に運んだ。

 「このトマトゼリー、爽やかで酸味が少ないし何より青臭くないから食べ易いわ。ミルクゼリーと一緒に食べたら牛乳の優しい甘さと、さっぱりとしたトマトが一つになる事で果物のゼリーを食べているみたい」

 野菜を使っているという事で敬遠していたトマトゼリーが意外と甘酸っぱかったものだから紗雪は驚きを隠せないでいる。

 「トマトだけでは酸っぱいから、蜂蜜とレモン汁を加えてみたんだ」

 「蜂蜜を入れたおかげで酸味が余り感じないのね」

 爽やかさを感じるトマトゼリー、牛乳の優しい甘さとさっぱりした風味を感じるミルクゼリー。

 それぞれ異なる風味のゼリーが一つになる事で甘酸っぱいトマトゼリーを二人は堪能していた。

 「ねぇ、レイモンド。トマトだけのゼリーだけど、適当に切った大きさのトマトを透明なゼリーに入れるというのはどうかしら?」

 「ガラスのように透明なゼリーに赤いトマト・・・。確かに赤一色よりもそっちの方が見た目にも涼しそうに感じるな」

 (ミルクゼリーは牛乳だけではなく、生クリームと一緒に煮詰めたものをゼラチンで固めてゼリーにするというのもありかも知れないな)

 「明日の朝食に紗雪が言っていたトマトゼリーを出すから食べてくれるか?」

 「勿論。あっ・・・そろそろレオルナードの離乳食と夕食を作らないと」

 「俺はレオルナードのおむつを替えてくる」

 セバスティアンの要望に対する目途が立ったので、椅子から立ち上がった二人はそれぞれ家事をやっていく。













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