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61.コカトリス肉の照り焼き-4-
しおりを挟む「美味しいと評判の店に並ぶのは神代の頃と変わっていないわね、お兄ちゃま」
「そうみたいね。それと今のあたしは心が女だから【お兄ちゃま】ではなく【お姉ちゃま】って呼んで欲しいわ!」
「人間が住む世界の街並みも随分と変わったわね~」
高い技術を持つエルフやダークエルフが作ったゴーレムであっても決して辿り着く事が出来ない海底からほんの数十分でカフェ・ユグドラシルがあるロードクロイツに到着したセイリオス達は、自分達の前に並ぶ客を見倣って途中から割り込んだりする事なく待っていた。
(つ、次のお客さん・・・オネエだ)
「お待たせしました。テーブルに案内いたします」
内心の動揺を隠しつつ、己の仕事を全うするメアリアに案内されるままオネエな三柱は席に着く。
「この冊子に当店で出す事が出来る料理が載っています。ご注文が決まりましたらお呼び下さい」
「分かったわ」
メアリアから冊子を受け取ったアウグスタスは、どんな料理があるのだろうか?と興味津々で眺める。
あら~
「あたし達が寝る前って食文化が後退しちゃっていて飯マズだったわよね?」
「それなのに随分と食文化が進化したように思えるわ!」
「その辺については店長?シェフ?に聞けば分かるんじゃないかしら?」
冊子に載っている料理は神代の頃にあった料理の面影をどこか残しつつ進化させたものもあれば、見た事がないものもあったのだ。
「そうね。ファルネウスの言う通り、店長?シェフ?に聞いてみるとしましょうか」
今日の数量限定メニューであるコカトリス肉の照り焼きを頼むのは当然として、三柱は冊子を眺めながら注文する料理を選んでいた。
「お嬢ちゃん、注文する料理を言っていいかしら・・・?」
「はい」
セイリオス達に呼ばれたメアリアは彼等から聞いた注文をレイモンドに伝える為に厨房へと向かった。
「旦那様。コカトリス肉の照り焼きとベーグル、三つずつの注文が入りました」
「分かった」
メアリアから注文を聞いたレイモンドは冷蔵ボックスから取り出したコカトリス肉のモモ部分の塊をまな板の上に置くと、ステーキサイズに切ってから余分な脂肪を取り除いていった。
もちろん筋を切る事と火が通りやすいようにフォークで突く事も忘れない。
ステーキサイズに切ったコカトリス肉をバットに入れたらジャガイモで作った片栗粉?に塩と胡椒を塗すように振ったそれをコンロの上に置いて温めておいたフライパンで皮面から焼いていく。
中火で焼く事五分
こんがりと焼き色が付いた皮面をフライ返しでひっくり返した後、蓋をして弱火でコカトリス肉を焼いている間にシュルツベルク家から定期的に仕入れている桜花産の醤油、契約している店から購入している砂糖と桜花産の清酒で作った味醂(正確に言えば味醂の代用品)、蜂蜜、清酒、四つの調味料を合わせてタレを作る。
タレを作り終えると、肉と一緒に盛り付けるキャベツを流水で洗い千切りにしていく。
蓋を取ったら、中まで火が通ったコカトリス肉にタレを入れて絡ませる。
最後にコカトリス肉をキャベツの千切りが添える程度に盛り付けている皿に乗せたら、仕上げにフライパンに残っているタレをかけた。これでコカトリス肉の照り焼きの出来上がりだ。
レイモンドから料理が出来た事を伝えられたメアリアは、三人分のコカトリス肉の照り焼きとベーグルをセイリオス達が居るテーブルへと持って行く。
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