カフェ・ユグドラシル

白雪の雫

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61.コカトリス肉の照り焼き-7-

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 「パパ~♡ママ~♡」

 ((!?))

 カフェ・ユグドラシルで購入したカボチャのシフォンケーキとカボチャプリンを土産に、晴れやかな笑顔を浮かべながら両親の元に駆け寄るセイリオス達。

 三柱はオネエのままであるが本性は神なので、種族を問わず生者であれば行く事が出来ない冥界を人の姿になっていても自由に行き来できるのだ。

 「セイリオス・・・アウグスタス・・・ファルネウス・・・」

 「パパ・・・ママ・・・」

 久し振りに会う我が子達がオネエの姿になっていてもクリュノスとセルビナにとっては愛息子である事に変わりはない。

 我が子達を抱き締める両親という感動の場面が繰り広げ───「何でオネエなのよ!?」「いまのあたし達は女よ!オネエではなく娘って言って頂戴!!」られるかと思いきや、オネエになった息子達にセルビナはプロレス技の一つを仕掛けてきた。

 「「「ママ!いきなり攻撃をしてくるなんて酷いわ!!!」」」

 「セルビナ、そこまでやったらセイリオス達が傷つくから止めなさい」

 「はぁ~い・・・」

 最愛の夫に宥められた事もあるが、全てを癒すかのような『天使が過ぎる!』という言葉が似合うクリュノスの笑顔に弱いセルビナは息子達にかけた技を解いた。

 (((何でこんな凶暴なママが可憐な花の女神として伝わっているのかしら?)))

 父の取りなしのおかげで母のプロレス技から逃れた三兄弟は心の中でツッコミを入れる。

 三界の覇者とも称せられているセイリオス達が面と向かってセルビナにそれを言わないのは、彼等の中で母は怒らせてはいけない女神No.1だからだ。

 「三人共、私達に何か用があって冥界ここに来たのではないのかい?」

 「そうだわ!パパ達にお土産を渡すのを忘れていたわ!」

 「今の地上で美味しいと評判のお店で買ったデザートよ」

 クリュノスの言葉で冥界に来た目的を思い出したファルネウスが、カボチャのシフォンケーキとカボチャプリンを空間から取り出す。

 「混じり者の娘がカフェ・ユグドラシルの店長?シェフ?に作り方を教えた異世界のデザート♡とっても美味しいの♡」

 「お姉ちゃま達と三人の裁判官と食べて頂戴ね」

 「有難く頂くとするよ。ところで・・・セイリオス達は何時までオネエでいる気なのかな?」

 「そうね~・・・あたし達の気が済むまでかしら?」

 「・・・・・・・・・・・・そうか」

 息子達の言葉に何とも言えない表情になってしまったクリュノスは何も言う事が出来なかった。





 「あなた、折角ですからあの子達が私達の為に買って来た地上で美味しいと評判のデザートを食べませんこと?」

 そう言ったセルビナが侍女の一人に果実水を用意するように命じる。

 妻の一言で気持ちを切り替えたクリュノスは侍女が果実水を持ってくるとカボチャのシフォンケーキとカボチャプリンを食べ始めた。

 「カボチャの素朴な甘さを感じるケーキ、軽くてふわふわとした、口の中で溶けるくらいに柔らかいからなのでしょうか?幾つでも食べる事が出来ますわ!」

 「このような食感のケーキは神代の頃はなかったかな。それにこのカボチャプリン・・・恐らくパンプディングを作る時の卵液にカボチャを加えてから火を通して固めたものだと思うけど、これだけでも十分に食後のデザートとして通用するよ」

 「あなた・・・あの子達が褒めていたカフェ・ユグドラシル・・・二人でそこの食べに行きましょうね」










※クリュノスとセルビナは大叔父と姪孫の関係でギリシア神話のハデスとペルセポネよろしく、可憐なセルビナに惚れた青白い顔色の髭面おっさんであるクリュノスが彼女を拉致したと伝わっていますが実際は押しかけ女房。
ヤンチャ+ガサツ+喧嘩が強いセルビナ(〇ャイアンの女版)は幼い頃に出会ったクリュノスに一目惚れして女性らしくなりました。
見た目は可憐な美しい少女に成長したセルビナが自ら冥界に赴いてクリュノスを襲ったと言うね・・・。
クリュノスも髭面おっさんではなく、子供の作り方を知らなさそうな可愛い顔立ちをしておりマイナスイオンを放っていそうな癒し系イケメンだったりします。
でも原初神なので子供・孫世代と比べたらその力は遥かに凌駕しています。
世代的に言えばクリュノスはガイアやニュクスやタルタロス、セルビナはオリンポス12神になります。
セルビナが息子達に仕掛けたプロレス技はアルゼンチン・バックブリーカーです。








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