316 / 465
63.精進料理のフルコース。またの名を大豆無双-2-
しおりを挟む(あ、あたし何も悪い事してないんですけど!!!)
もしかして切腹を命じられちゃうとか!?
それとも何とかという戦国大名のように、あたしの髑髏を盃にしてワインを飲むとか!?
その為にあたし殺されちゃうの!?
あの陛下だったらそれくらいやりかねんわな
側近のデイビッドさん!あんただけが癒しです!
外見のみならず声までもが何とかというゲームに出てくる第六天魔王を彷彿とさせるディートヘルムを前にカーテシーをしながらマスミはそんな事を考えていた。
「ローゼンタール公爵夫人。そなたを王宮に招いた理由だが、事は急を要するのだ」
「ひゃ、ひゃい!」
第六天魔王のように威厳と威圧感のある声でディートヘルムに話しかけられたマスミの心は、一刻も早く謁見の間・・・というか王宮を出て公爵邸に帰りたいという思いで占められていた。
(こ、怖ぇーーーっ!超怖ぇよ!目の前に居るのが魔王ではなくイケメンのエセルバート王太子だったら良かったのに!!)
自分の事を魔王とか第六天魔王だと思われている事など知らないディートヘルムは、マスミに王宮に招いた理由を語る。
「に、肉・魚・卵・乳を使わない料理を晩餐会に出す?!え゛っ?それってありなの!?」
ディートヘルムの話を聞き終えたマスミは、自分の目の前に誰が居るのかを忘れて思わず間の抜けた声を上げて驚いてしまっていた。
(晩餐会の料理って確か・・・前菜はテリーヌとかでメインは肉か魚、デザートはアイスクリームやケーキやタルトといったものだったような・・・)
日本に居た頃にネットで見たメニューがそんな感じだったはずだ。
味付けが濃くて甘過ぎる事を除けば、キルシュブリューテ王国の晩餐会に出てくる料理も似たようなものであったことを思い出す。
「それってどう考えても無理・・・いや、待って下さい!」
日本には肉・魚・卵・乳を使わない精進料理というものがあった事を思い出したマスミが声を上げる。
「ショウジン料理?ローゼンタール公爵夫人よ、それはどのようなものなのか教えてくれぬか?」
「え~っとですね・・・」
肉や魚といった動物性の食材を使わずに作った料理なのだと、魔王なオーラを纏っているディートヘルムの問いにマスミがしどろもどろになりながらも何とか答えた。
「ローゼンタール公爵夫人はショウジン料理とやらを作る事が出来るであろうか?」
「む、無理無理!無理です!!」
この世界にはスーパーがないので精進料理を作るのに必要な食材を揃える事が出来ないし、何より自分は料理がまともに作れないのだと、マスミはディートヘルムの命令を断固として拒否する。
肉・魚・卵・乳を使わずに見た目も美しい料理を作るなど、家事全般が苦手なマスミにとって不可能としか言いようがなかった。
「恐れながら陛下」
それまで黙って二人の会話を聞いていたデイビッドがディートヘルムに声を掛ける。
「フォンリヒテル準男爵夫妻に相談すると言うのは?」
デイビッドの言葉にディートヘルムは考え込む。
レイモンドの料理の腕は王宮に仕えさせたいレベルだし、紗雪は彼の料理の師匠でもある。
それに何となくだが紗雪の方が精進料理についてマスミより詳しく知っていそうな気がするし、あの気位の高いエルフでさえも唸らせる料理を作る事が出来るレイモンドであればメティス王国の国王夫妻の舌を満足させられそうな気がする。
単なる勘でしかないけど。
メティス王国の国王夫妻を持て成す料理の事を聞く為、ディートヘルムはデイビッドにロードクロイツまで赴きレイモンドと紗雪に此度の事を話した上で、精進料理を作るように説得を命じるのだった。
「そうだ。ロードクロイツに行くのであれば余への土産としてカフェ・ユグドラシルの期間限定のスイーツを所望する」
「・・・・・・・・・・・・」
ディートヘルムの言葉を聞いたデイビッドは思った。
(この人・・・見た目が魔王なのに甘いものに目がないな・・・・・・)
1
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
「次点の聖女」
手嶋ゆき
恋愛
何でもかんでも中途半端。万年二番手。どんなに努力しても一位には決してなれない存在。
私は「次点の聖女」と呼ばれていた。
約一万文字強で完結します。
小説家になろう様にも掲載しています。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
追放された聖女は旅をする
織人文
ファンタジー
聖女によって国の豊かさが守られる西方世界。
その中の一国、エーリカの聖女が「役立たず」として追放された。
国を出た聖女は、出身地である東方世界の国イーリスに向けて旅を始める――。
身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」
魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。
鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。
(な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?)
実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。
レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。
「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」
冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。
一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。
「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」
これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる