カフェ・ユグドラシル

白雪の雫

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63.精進料理のフルコース。またの名を大豆無双-8-

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 精進揚げというのは精進料理の一つで、フリッターと天ぷらに似ているが衣に卵を使っていないという違いがある。

 今は冬だから春野菜が市場に出回っていない。こればかりは仕方がないと思いながらレイモンドは手元にある冬野菜───人参とブロッコリーを流水で洗う。

 まな板の上に置いた野菜は一口で口に運べる大きさに切っている。

 レイモンドが野菜を切っている間、紗雪は製菓用の小麦粉と片栗粉?ジャガイモで作っているからジャガイモ澱粉と言った方が正しいのか、冷蔵ボックスから取り出した冷水をボウルに入れて衣を作っていた。

 (天ぷらというか精進揚げには天つゆが合うのだけど、晩餐会ってフォークとナイフを使うのだから塩の方がいいような気がするし、揚げる時に使う油も菜種油かゴマ油の方が・・・)

 衣が入っているボウルをレイモンドに渡した後、オリーブオイル以外の油を取り寄せたいと思いながらも鍋に水・醤油・粉末昆布・清酒と砂糖で作った味醂の代用品で天つゆを作る。

 天つゆを作っている間に出来上がった人参とブロッコリーの精進揚げをレイモンドが皿に盛り付ける。

 「天つゆと塩。どちらが精進揚げと相性がいいかだけではなく、もう少し揚げた方がいい、揚げ過ぎ、この野菜がいいといった忌憚のない意見も聞かせて欲しいの」

 「「分かりました!」」

 食事前の祈りを捧げた後、一同はレイモンドが作った精進揚げを含む賄いを食べ始めた。

 「片栗粉というかジャガイモ澱粉?を加えた事で衣はカリッとしているしシャキシャキとしている食感。・・・何と言っても野菜の滋味を感じるわ」

 「ショウジン揚げって奥様の故郷の食べ物だという天ぷらに似ていますね」

 「旦那様が作る料理はどれも美味しいです」

 でも自分達にとって野菜だけだったらボリュームがないので魚と肉を使った方がいいと思うし、塩と天つゆだったら天つゆの方がピッタリだ。

 精進揚げを試食して自分達が思った事を口にしたメアリアとキャスリンにレイモンドと紗雪が、この料理は動物性食品を食べる事が出来ないメティス王国の国王夫妻の為のものだから魚と肉で作れないのだと話す。

 「肉と魚を使わずにご馳走を作るって難しいのですね・・・」

 「難しいけど遣り甲斐はあるだろうし、それにだ。何と言っても今回の事は紗雪の故郷の料理を広めるだけではなく、キルシュブリューテ王国の食文化の発展に繋がるだろうと俺は思っている」

 次に作る料理はポタージュスープとメインディッシュである豆腐ステーキだ。

 「メアリア、キャスリン。また試食してくれるか?」

 「「はい!」」

 肉・魚・卵・乳を使えないが美味しい試作品を食べる事が出来るのはカフェ・ユグドラシルで働く給仕の特権でしかない。

 何と言っても食文化の発展に一役買えるという事実にメアリアとキャスリンは返事するのだった。










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