カフェ・ユグドラシル

白雪の雫

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68.ロコモコ丼と三食丼-8-

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 「同じロコモコ丼と三食丼でも目玉焼きか炒り卵かで風味が異なるのは面白いわ」

 「バターの味が感じる炒り卵、塩の味が感じる目玉焼きとご飯の相性もいいけど、ハンバーグから出た肉汁と赤ワイン、それから・・・これは隠し味として醤油が入っているのね」

 「このソースがかかったハンバーグとご飯を一緒に食べると美味しいわね~」

 「お野菜も新鮮である事を示すように瑞々しくてシャキシャキとしているわ」

 「気取らないと言えばいいのかしら?マナーに気を遣わずに食べられるところがいいわね」

 「身体が資本で働いている者達の事を考えたら正式にメニューに加えてもいいんじゃないかしら?」
セイリオス達が夢中になって二種類の丼を食べ進める。

 (三食丼・・・ロコモコ丼・・・食べてみたい)

 丼を綺麗に平らげた後、牛タンステーキと食後のデザートであるアイスクリームパフェを注文した三柱の様子が目に飛び込んでしまった一人の行商人が心の中で呟く。

 行商人の名前はニコラス。

 カフェ・ユグドラシルに茶葉と様々なスパイスを卸しているメティス王国の男だ。

 ルミナエル教を信仰しているから肉や魚といった動物性食品を口にする事が出来ない。

 旅に出ている間の食生活は辛いものがあったのだが、キルシュブリューテ王国に茶葉やスパイスを輸出するようになってからは彼にとって旅の楽しみが一つ増えた。

 帰国の途に着く時に、ルミナエル教を信仰している者でも口にする事が出来る料理を出しているカフェ・ユグドラシルに立ち寄っての食事である。

 豆腐を肉に見立てたディッシュ、粉にしたジャガイモで作った冷たいデザート、動物の乳を使わずに作ったバターに焼き菓子

 カフェ・ユグドラシルに触発されたのか、我が家でもそれ等を使った料理が作られるようになっただけではなく、メティス王国の市場でも売られるようになった。

 (しかし、カフェ・ユグドラシルここと比べたら一歩及ばないって感じなんだよな~。・・・・・・まぁ、嫁とプロの料理人と比べるのが間違いだと言われたらそれまでだけどな)

 アボカドソースがかかっている豆腐ステーキを口に運びながらニコラスは考えた。





 そうだ!店長に肉と卵を使わない丼を作って貰おう









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