カフェ・ユグドラシル

白雪の雫

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69.ブラックソルトとオムライス-6-

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 「久方振りじゃのぅ、レイモンド殿」

 「クリストフ陛下、ソフィー王妃。お久し振りです」

 「レイモンド、クリストフ陛下とソフィー王妃からシードラゴンのお肉を頂いたの。今日の夕食はシードラゴンのお肉を使った料理にしましょ」

 デザートはバナナよ

 そう言った紗雪がレイモンドにクリストフから貰った、大きな葉っぱに包まれたシードラゴンの肉とバナナを手渡す。

(陛下!?どこからどう見ても大魔王なのに!?えっ?陛下って事は先輩ってダークエルフの王族とお知り合いだったりするとか!?)

 友人と話す感覚で王族と接しているレイモンドと紗雪にもだが、王族が準男爵の子供を抱っこしているという事実にキースはただただ驚くしか出来ないでいる。

「シードラゴンの肉か・・・。苦い思い出がある食材を再び目にしようとは」

 冒険者時代にパーティーを組んでいた仲間と共に討伐したシードラゴンの事を思い出したレイモンドが思わず遠い目になる。

 皮と牙、血と自分達が食べる分だけを除いた肉を売った報酬は高額だった。そこまでは良い。しかし、それからが最悪だった。

 冒険者であるがレイモンドは侯爵家の三男で金銭に余裕がない時はメイド達のやり方を思い出しながら自炊していたが、屋台で売っている料理を買うのが基本だったのだ。

 それは他の冒険者にも言える事で、そんな彼等がまともな料理など作れるはずがない。

 要するに仲間で作ったシードラゴンの肉を使った料理が非っ常に不味かったのだ。

 どこをどうすればあそこまで不味い料理を作れたのだろうか?と、一国の王がスカウトしたり他国の王族を持て成す為の料理を作るレベルの料理人になった今でも頭を抱えて悩んでしまうくらいである。

「・・・・・・ポワレがいいかな?ムニエルがいいかな?」

「レオルくんがシードラゴンのお肉を食べるのは今日が初めてよ。アレルギーが心配なの」

「という事は、レオルくんはシードラゴンの肉を少ししか食べれないという訳か。だったらソテーにするかな?」

「手伝うわ」

「頼む」

 手伝うと言ってもソテーに使う野菜と調味料は全て揃っている。

 後は食材を食べ易い大きさにカットしたら、大人用と子供用に味付けを整えて炒める。それからミルクソースを作ればいいだけだ。

 紗雪がバターを入れたフライパンで野菜を炒めている間にレイモンドは塩と胡椒を振り、製菓用の小麦粉を薄く塗したシードラゴンの肉をコンロの火で溶けたフライパンで焼いていく。

 シードラゴンを焼いている途中に冷蔵ボックスから取り出した、事前に低温殺菌しておいた牛乳を注ぎ中火で五分ほど煮込む。

(この牛乳にとろみがつくまで煮詰めたソースをかけたらシードラゴンのソテーの完成だな。次はサイドディッシュのオムレツを作ろうかな?)

 フライパンで煮込んでいたシードラゴンの肉を紗雪が炒めておいた野菜が盛っている皿に移してから、煮詰めてとろみがついた牛乳をレードルで掬ったソースをかける。










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