26 / 33
2章 狭間に立つ元英雄たち
7話 革命
朝、爆発音で目が覚めた。
「きゃー!」
城のあちこちから悲鳴が聞こえる。
幸い、今ツル様を護衛しているのは師匠だ。
すぐに向かう必要があるが、焦ることはない。
同時に起きたバドルと目が合う。
「俺はアマトと音が発生源に向かう。」
「わかった。カインが来るまではなるべく部屋から動かないようにする。」
そして俺はアマトを起こし、準備を済ませる。
「じゃあカイン、アマト。気をつけろよ。」
「バドルも何かあったら俺たちを待たず、ツル様を連れてすぐ逃げてくれ。」
廊下を走っているとアマトが口を開いた。
「ねぇ、なんで僕も連れてきたの?」
「もし、俺に何かあった時の連絡係だ。」
それに、バドルが行けば相当なことがない限り、ツル様やライアさんが死ぬことはない。
師匠もいる。
後のことを気にせず、俺は任務にあたることができる。
「カインは死ぬの?」
「いや…。」
アマトの質問に、言葉が詰まる。
俺は今、死ぬという可能性を考えに入れて、行動している。
人間は簡単に死んでしまう。それを踏まえて行動しなければならない。
しかし、任務に失敗しても、せめて大事なものは守りたい。
「大丈夫だ。」
はっきりとは答えられない。
我ながら情けないな。
俺の気持ちを察したのか、アマトはそれ以上聞いてくることはなく、無言で俺についてきた。
そしてついに音の発生源と思われるところについた。
そこは、壁に大穴が開いており、先に到着したであろう騎士たちが倒れていた。
死んではいないようだ。
しかし、皇城に穴をあけただけでなく、10名ばかりの精鋭の騎士を殺さず無力化したとなるとかなりまずい。
すでに城に侵入している。
すぐに報告に行かねば。
「おい、お前どこかで見た顔だな。」
来た道を戻ろうとした瞬間、後ろから声をかけられる。
「思い出した。剣聖と一緒にいたやつか。」
振り向くとそこにいたのは、あの時逃げた鬼だった。
「アマト、すぐにツル様たちのところに行くんだ。」
「でも、カインが、」
「いいから。すぐに追いつく。」
俺は腰から剣を抜く。
アマトが逃げれるくらいの時間は稼ぐ。
「行け!」
アマトが走り出す。
そして俺は死地へと踏み出した。
~同時刻 ライア編~
「ねぇライア、大丈夫かな。」
膝に座るツル様が不安そうな顔で私を見上げます。
「大丈夫ですよ。ここには剣聖様も、ミタマ様も、バドル様もいます。」
「カインとアマトは?」
「大丈夫です。すぐに戻ってきます。」
しかし、私の気持ちが伝わってしまっているのかツル様の表情は晴れません。
私はツル様の背中を撫でることしかできず、情けない気持ちでいっぱいになります。
「カインたちなら大丈夫じゃ。わしが鍛えたんじゃからな。」
そう言って剣聖様はツル様の頭を撫でました。
そして剣聖様は本気でそう思っているのでしょう。
ツル様の顔が少し明るくなり、ほっとします。
「さて、バドル。腹が減ったの。何かないのか。」
「そんなこと言われても…。」
「あ、昨日カインが買ってきてくれたお菓子がある!」
ツル様が急に飛び降りるとタンスからお菓子箱を取り出しました。
中には美味しそうな焼き菓子が10個。
「みんなで食べよう!」
先程の不安そうな顔はどこへ行ったのか、ツル様は眩しいくらいの笑顔で私たちにお菓子を配り始めました。剣聖様はすごいな、と心から思います。
でもなぜか私はまだ安心できません。
だからカイン様、早く帰ってきてください。
私は一人じゃないと感じさせた、あの時のように、私を不安から助けてください。
そう金色の髪飾りを手に、深く祈りました。
「きゃー!」
城のあちこちから悲鳴が聞こえる。
幸い、今ツル様を護衛しているのは師匠だ。
すぐに向かう必要があるが、焦ることはない。
同時に起きたバドルと目が合う。
「俺はアマトと音が発生源に向かう。」
「わかった。カインが来るまではなるべく部屋から動かないようにする。」
そして俺はアマトを起こし、準備を済ませる。
「じゃあカイン、アマト。気をつけろよ。」
「バドルも何かあったら俺たちを待たず、ツル様を連れてすぐ逃げてくれ。」
廊下を走っているとアマトが口を開いた。
「ねぇ、なんで僕も連れてきたの?」
「もし、俺に何かあった時の連絡係だ。」
それに、バドルが行けば相当なことがない限り、ツル様やライアさんが死ぬことはない。
師匠もいる。
後のことを気にせず、俺は任務にあたることができる。
「カインは死ぬの?」
「いや…。」
アマトの質問に、言葉が詰まる。
俺は今、死ぬという可能性を考えに入れて、行動している。
人間は簡単に死んでしまう。それを踏まえて行動しなければならない。
しかし、任務に失敗しても、せめて大事なものは守りたい。
「大丈夫だ。」
はっきりとは答えられない。
我ながら情けないな。
俺の気持ちを察したのか、アマトはそれ以上聞いてくることはなく、無言で俺についてきた。
そしてついに音の発生源と思われるところについた。
そこは、壁に大穴が開いており、先に到着したであろう騎士たちが倒れていた。
死んではいないようだ。
しかし、皇城に穴をあけただけでなく、10名ばかりの精鋭の騎士を殺さず無力化したとなるとかなりまずい。
すでに城に侵入している。
すぐに報告に行かねば。
「おい、お前どこかで見た顔だな。」
来た道を戻ろうとした瞬間、後ろから声をかけられる。
「思い出した。剣聖と一緒にいたやつか。」
振り向くとそこにいたのは、あの時逃げた鬼だった。
「アマト、すぐにツル様たちのところに行くんだ。」
「でも、カインが、」
「いいから。すぐに追いつく。」
俺は腰から剣を抜く。
アマトが逃げれるくらいの時間は稼ぐ。
「行け!」
アマトが走り出す。
そして俺は死地へと踏み出した。
~同時刻 ライア編~
「ねぇライア、大丈夫かな。」
膝に座るツル様が不安そうな顔で私を見上げます。
「大丈夫ですよ。ここには剣聖様も、ミタマ様も、バドル様もいます。」
「カインとアマトは?」
「大丈夫です。すぐに戻ってきます。」
しかし、私の気持ちが伝わってしまっているのかツル様の表情は晴れません。
私はツル様の背中を撫でることしかできず、情けない気持ちでいっぱいになります。
「カインたちなら大丈夫じゃ。わしが鍛えたんじゃからな。」
そう言って剣聖様はツル様の頭を撫でました。
そして剣聖様は本気でそう思っているのでしょう。
ツル様の顔が少し明るくなり、ほっとします。
「さて、バドル。腹が減ったの。何かないのか。」
「そんなこと言われても…。」
「あ、昨日カインが買ってきてくれたお菓子がある!」
ツル様が急に飛び降りるとタンスからお菓子箱を取り出しました。
中には美味しそうな焼き菓子が10個。
「みんなで食べよう!」
先程の不安そうな顔はどこへ行ったのか、ツル様は眩しいくらいの笑顔で私たちにお菓子を配り始めました。剣聖様はすごいな、と心から思います。
でもなぜか私はまだ安心できません。
だからカイン様、早く帰ってきてください。
私は一人じゃないと感じさせた、あの時のように、私を不安から助けてください。
そう金色の髪飾りを手に、深く祈りました。
あなたにおすすめの小説
落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!
ユーリ
ファンタジー
気がつくと、見知らぬ部屋のベッドの上で、状況が理解できず混乱していた僕は、鏡の前に立って、あることを思い出した。
ここはリュカとして生きてきた異世界で、僕は“落ちこぼれ貴族の息子”だった。しかも最悪なことに、さっき行われた絶対失敗出来ない召喚の儀で、僕だけが失敗した。
そのせいで、貴族としての評価は確実に地に落ちる。けれど、両親は超が付くほど過保護だから、家から追い出される心配は……たぶん無い。
問題は一つ。
兄様との関係が、どうしようもなく悪い。
僕は両親に甘やかされ、勉強もサボり放題。その積み重ねのせいで、兄様との距離は遠く、話しかけるだけで気まずい空気に。
このまま兄様が家督を継いだら、屋敷から追い出されるかもしれない!
追い出されないように兄様との関係を改善し、いざ追い出されても生きていけるように勉強して強くなる!……のはずが、勉強をサボっていたせいで、一般常識すら分からないところからのスタートだった。
それでも、兄様との距離を縮めようと努力しているのに、なかなか縮まらない! むしろ避けられてる気さえする!!
それでもめげずに、今日も兄様との関係修復、頑張ります!
5/9から小説になろうでも掲載中
掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく
タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。
最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。
もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?
元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々
於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。
今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが……
(タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)
ねぇ、俺、可哀想すぎない?〜それでも回復能力の行き過ぎた俺は魔王でも倒せない〜
天かす
ファンタジー
〜俺は死なないけど攻撃力がなさすぎた。
そして仲間の魔物は有能すぎた。〜
異次元空間で生き残った結果――
ヒマリのスキルは、神域へと覚醒していた。
名前はヒマリ。
見た目は可愛いが、これでもれっきとした男である。
持っていたスキルは《自己回復(小)》。
小さな村では少し珍しいが、決して特別ではない。
どこにでもある、ありふれた能力だった。
幼馴染と過ごす穏やかな日々。
平和で、何も変わらないはずだった日常。
しかしある日、魔王の赤い雷が世界を焼いた。
村は崩れ、世界は狂い、逃げ惑う人々の中で――
ヒマリは、時間の狂った異次元空間へと落ちてしまう。
そこからすべてが変わった。
死を覚悟した、その瞬間。
ヒマリのスキルが暴走覚醒した。
《瞬間自己再生(極)》。
その力のおかげで、ヒマリは死ぬことがなくなった。
だが同時に、ひとつの事実を知る。
どうやら――
ここから出るには、魔王を倒さなければならないらしい。
……え?
普通に無理じゃない?
――俺、可哀想すぎない?
不憫すぎる不死スキル。
そして、なぜか懐いてくる魔物たち。
攫われた幼馴染を救うため――
少しだけ強くなった少年、ヒマリの
異世界冒険譚が、今ここから始まる。
水、金、日曜日の夜9時頃更新予定です。
ダンジョン銭湯 ~鎧は脱いでお入りください~
こまちゃも
ファンタジー
祖父さんから受け継いだ銭湯ごと、ダンジョンに転移してしまった俺。
だがそこは、なぜか”完全安全地帯”だった。
風呂に入れば傷は癒え、疲れも吹き飛ぶ。
噂を聞きつけた冒険者たちが集まり、宿やギルドまでできていく。
俺には最強の武器もスキルもないがーー最強のヒーラーや個性豊かな常連たちに囲まれながら、俺は今日も湯を沸かす。
銭湯を中心に、ダンジョンの中に小さな拠点が広がっていく。
――ダンジョン銭湯、本日も営業中。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。