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1章 途切れた道、踏み出す道
9.5話 剣の聖人
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これはカインたちと合流するまでの話
襲いかかってきた4人を気絶させ、何事もなかったかのように出て行こうとしたハーミットは応援に駆けつけた騎士たちによって捕縛された。
そこそこ広い部屋の真ん中にハーミット。
それを取り囲むように騎士4人が部屋の端に待機していた。
「だから、ワシからは何もしておらんと言っておるじゃろ。」
「それはわかっているんですが・・・」
「じゃあ早くここから出しとくれ。約束があるんじゃ。」
「それは無理です。」
「なんでじゃ。こうなったら力ずくで行くしか・・・」
何やら不穏なことを言い出したハーミットに騎士たちは背筋が凍る。
なぜなら先ほど見た検査場での惨状を思い出したからである。
このままでは自分達も、と覚悟を決めたその時、
「失礼します。ハーミット殿はこちらですかな。」
部屋に入ってきたのは綺麗な金髪の青年だった。
格好こそは騎士であるが、見た者には纏っている空気は貴族を連想させる。
しかし、ハーミットは全く別の、戦場で暴れる豪傑だと感じた。
今日見た騎士の中でも、別格の実力者。
思わず、感心してしまう。
「ハーミットとはワシのことじゃが、お主誰じゃ。」
「おい失礼だぞ!」
「やめろ。ハーミット殿、私はジーアスと言います。治安騎士団で副団長を務めております。」
「それで、その副団長がワシになんのようじゃ。」
ジーアスは申し訳なさそうに笑うと
「申し訳ないのですが、私と2人で盗賊の討伐に参加していただけないでしょうか。」
と、とんでもないことを言い出した。
「副団長それはどう言うことですか。なぜこのような老人に頼むのです?」
その言葉に聞いていた1人の騎士が思わず2人の会話に口を挟む。
「はっきり言うなら、君たちでは足でまといだ。盗賊相手に死者を出したとなれば騎士の名が傷つく。」
「なっ、」
「不満か。でも君たちは弱いのは事実だ。」
騎士たちは反論しかけたが、その言葉を飲み込んだ。
事実であることを、誰よりも理解していたからだ。
それを見ていたハーミットは呆れた様子で首を振った。
「ワシはそいつらの言う通り、ただの老人じゃ。討伐なんぞできるわけが、」
「そんな謙遜しないでくださいハーミット殿、いやここは『剣聖』と呼んだほうがいいですかね。」
剣聖
それは数ある称号の中でも最上位。その道を極めた者にのみ贈られる『聖人』の印。
全ての剣士の頂点に立つ偉人を目の前にして、騎士たちは素早く跪いた。
「も、申し訳ございません。剣聖様とは知らなかったとはいえ、なんと言う無礼をっ。」
「別に構わん。それより副団長よ、ワシは受けんぞ。」
「そうですか。これは独り言ですが、その盗賊たちカインと言う騎士を狙っているようで。」
「なんじゃと?」
「解決すれば喜ばれるでしょうが。まあ関係のない話ですね。」
「なるほど・・・」
明らかに揺れているハーミットを見てジーアスはニヤリと笑った。
そして
「しょうがないのう。カインのためじゃ。」
「ありがとうございます。では行きましょう。」
こうして2人は討伐に向かったのだった。
盗賊を見つけるのに時間はかかったものの討伐自体はたった10分で終わった。
決して盗賊たちが弱かったわけではない。全員が違う改造を施された、50人の改造人間たち。そこらの騎士なら瞬殺できる実力を持っている者もいた。
しかし彼らの相手は先の大戦で魔族相手に暴れ回った本物の英雄、
そしてわずか20歳にして帝都の治安騎士団副団長になった若き天才騎士。
ただ盗賊たちは相手が悪かったのだった。
盗賊『モモノハナ』の壊滅の知らせを受けたデラートが取り乱したことは言うまでもない。
襲いかかってきた4人を気絶させ、何事もなかったかのように出て行こうとしたハーミットは応援に駆けつけた騎士たちによって捕縛された。
そこそこ広い部屋の真ん中にハーミット。
それを取り囲むように騎士4人が部屋の端に待機していた。
「だから、ワシからは何もしておらんと言っておるじゃろ。」
「それはわかっているんですが・・・」
「じゃあ早くここから出しとくれ。約束があるんじゃ。」
「それは無理です。」
「なんでじゃ。こうなったら力ずくで行くしか・・・」
何やら不穏なことを言い出したハーミットに騎士たちは背筋が凍る。
なぜなら先ほど見た検査場での惨状を思い出したからである。
このままでは自分達も、と覚悟を決めたその時、
「失礼します。ハーミット殿はこちらですかな。」
部屋に入ってきたのは綺麗な金髪の青年だった。
格好こそは騎士であるが、見た者には纏っている空気は貴族を連想させる。
しかし、ハーミットは全く別の、戦場で暴れる豪傑だと感じた。
今日見た騎士の中でも、別格の実力者。
思わず、感心してしまう。
「ハーミットとはワシのことじゃが、お主誰じゃ。」
「おい失礼だぞ!」
「やめろ。ハーミット殿、私はジーアスと言います。治安騎士団で副団長を務めております。」
「それで、その副団長がワシになんのようじゃ。」
ジーアスは申し訳なさそうに笑うと
「申し訳ないのですが、私と2人で盗賊の討伐に参加していただけないでしょうか。」
と、とんでもないことを言い出した。
「副団長それはどう言うことですか。なぜこのような老人に頼むのです?」
その言葉に聞いていた1人の騎士が思わず2人の会話に口を挟む。
「はっきり言うなら、君たちでは足でまといだ。盗賊相手に死者を出したとなれば騎士の名が傷つく。」
「なっ、」
「不満か。でも君たちは弱いのは事実だ。」
騎士たちは反論しかけたが、その言葉を飲み込んだ。
事実であることを、誰よりも理解していたからだ。
それを見ていたハーミットは呆れた様子で首を振った。
「ワシはそいつらの言う通り、ただの老人じゃ。討伐なんぞできるわけが、」
「そんな謙遜しないでくださいハーミット殿、いやここは『剣聖』と呼んだほうがいいですかね。」
剣聖
それは数ある称号の中でも最上位。その道を極めた者にのみ贈られる『聖人』の印。
全ての剣士の頂点に立つ偉人を目の前にして、騎士たちは素早く跪いた。
「も、申し訳ございません。剣聖様とは知らなかったとはいえ、なんと言う無礼をっ。」
「別に構わん。それより副団長よ、ワシは受けんぞ。」
「そうですか。これは独り言ですが、その盗賊たちカインと言う騎士を狙っているようで。」
「なんじゃと?」
「解決すれば喜ばれるでしょうが。まあ関係のない話ですね。」
「なるほど・・・」
明らかに揺れているハーミットを見てジーアスはニヤリと笑った。
そして
「しょうがないのう。カインのためじゃ。」
「ありがとうございます。では行きましょう。」
こうして2人は討伐に向かったのだった。
盗賊を見つけるのに時間はかかったものの討伐自体はたった10分で終わった。
決して盗賊たちが弱かったわけではない。全員が違う改造を施された、50人の改造人間たち。そこらの騎士なら瞬殺できる実力を持っている者もいた。
しかし彼らの相手は先の大戦で魔族相手に暴れ回った本物の英雄、
そしてわずか20歳にして帝都の治安騎士団副団長になった若き天才騎士。
ただ盗賊たちは相手が悪かったのだった。
盗賊『モモノハナ』の壊滅の知らせを受けたデラートが取り乱したことは言うまでもない。
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