生まれ変わったら飛べない鳥でした。~ドラゴンのはずなのに~

イチイ アキラ

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第28話 扉の先は地下神殿だった。



白銀シルバーだ……」

 兵士さんたちが思わずな雰囲気でつぶやいている。ざわっとした空気に森も揺れているみたい。
 白銀シルバー
 それがロザリーさんの冒険者の位置かしら。私も興味あったやつ。荷物の上でうずうずしちゃう。
 口が開けないの、お尋ねできないの、つらぁーい。

「こ、これは失礼いたしました」
 隊長格さんが恭しくロザリーさんに
プレートを返しに来た。
 荷物の上からそっとうかがうと、プレートの一角にはきらりと輝く銀色の小石みたいなのがあった。
 白銀かぁ……。
 隊長や他の兵士の様子から、かなりランクが高いみたい。
 あとで詳しくお尋ねしよ。

 キュロスもロザリーさんのランクに驚いたようだ。
「何と……我が国にも白銀等級の冒険者が……っ!」
 おお? それほど?
「小国と侮られ、難問が起きる度に依頼を倦厭された我が国に……」
 あ、この様子、もしやあんまり大きな国じゃないね、ここ。エリナさんには悪いが国力的な方もあれなのかな?
「やはり私の選択は正しかったのだ。国は変われるのだ。とうとう白銀等級の冒険者が訪れるほどの――」

「あ、たまたまだ。拠点にもしてない」
 
 そんなキュロスの興奮をばっさり折ったロザリーさん。
 無情。だが仕方なし。
「ん……んん、そうですか……」
 キュロスは赤くなった顔のまま、咳払い。 
 でも変なこと言ってたな?
 国が変われる?
 ……むぅ。まぁ、ある意味政変あったんだよな……。
 ……。
 エリナさんには悪いが、叔父上さまはじめ、国の人々は時代遅れなと思うことが多かった国なのだよな……。
 エリナさんがどれだけ祖先からの伝統を大切にしていても、古きは良きばかりではないのはある。新しいものを使いたい人々の気持ちもあったから、エリナさんが玉座から追われたのもあったのかもな……。
 一緒にしちゃいけない問題たけど、私もレトロゲーム好きだけど、やはり最新機種の美麗グラフィックには素直に感嘆するもんなー……。

 そんなことを黙って荷物にしがみ付くしかできないペンギンは考えつつも。

 ロザリーさんに折々されつつ、キュロスや兵士たちと共に、先に道は進むのであり。
 キュロスたちは森の入り口は私達とは反対側から入り、そこに馬は置いてきたとか。それがいつものエリナさんのルートでもあったらしい。
 もしも追放先からの最短コースじゃなかったら私は拾ってもらえていなかったのかも。
 そんなお話を聞きつつ考えつつ。
 やがて森の中に、石造りの門が現れた。

「こちらが神殿への入り口です」
 エリナさんが指し示す門は、下の方はツタに被われて、これもまた放置されていた時間を思わせた。苔までが生えていないのは、まだそこまでは経っていないと、これまた逆に切ないところ。
 それは道々にあった燈籠を大きくしたようなモミュメントだと私には思えた。
「神殿は地下に?」
「はい」
 門の後ろにはやや小さめの建物。周りに大きな樹木がその建物を護るように立っていた。
 小さな神殿かと思ったけど、エリナさんが扉を開けたら、そこには地下に続く階段があった。
 エリナさんが扉に触れたとき、右手がチカッと光った気がしたけど……。
 地下神殿か……脳内で生前大好きだった鞭持った考古学者さんの映画が浮かぶ。
 階段から先はまさにそんな雰囲気。
 壁に、ところどころ木の根が出てきちゃってる。先ほど門の周りにあった木の根かな。
 暗くてなんかちょっと怖い。
「松明が必要ですかな?」
 ロザリーさんが準備しようかとエリナさんに問いかけたら、エリナさんは大丈夫だと壁に、階段に向かった。
「こちらに……」
 エリナさんが階段の始まりにあった装置らしきものをいじると、ポポポ……と奥まで階段に明かりがついた。案外明るくて怖さ軽減。
 明かりをつけたとき、エリナさんの手が光ったのを私は今度こそ見た。
 指輪だ。
 エリナさんの右手の中指。そこにお祖母さまの形見だという指輪をエリナさんははめていた。
 赤い小さな石がチカッと輝くと、神殿の何かが反応した。
 今度は階段自体がぼぅっと光って、ますます明るくなった。うん、安全。
 これ、どういう仕組みかなぁ。あ、この世界、魔法あるんだよね。確か檻の鍵がそうだった。
 魔法……なるほど、指輪は鍵やスイッチの役目かあ……。
 うん、大事なはずだわ。従姉妹さんたちにとられなくて良かったね。

「……あのぅ」
 さあ進むかと空気はなっていたわけだが。それを止めたのがいた。
 私は脳内であの映画のテーマ曲が流れていたのを一時停止。
 それは先ほどロザリーさんのタグを確かめた隊長さんだ。
 彼の後ろで、お付きの兵士たちも戸惑っている。
「私達も入ってよろしいのでしょうか?」
 と。
 


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