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隻眼の俺と世界を救った錬金術師の目覚め
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泣き疲れたシエロをベッドに移動させて、クロエも一緒に寝てもらう。
離れようとするとシエロはぐっと俺の袖をつかんで、そのまま熟睡してしまった。
「仕方ないな」
「この子、義贋さんの娘?」
「いや、ちょっとした旅の仲間さ」
「ふーん……あたしの時もいたなあ。異世界に召喚されて世界を救って、その仲間にこんな小さい子」
「世界救ったって、なにしたんだよ」
「魔法を全て消し去って、魔法によって引き起こされる大事件を解決したの。そして現代に帰るとこだったんだけどね……魔法を消したせいで帰る道がなくなっちゃったみたい。その後色々あって私の時間軸を止めてたってわけ。タイムコールドスリープってね」
「なんか遠野さんは俺よりも随分詳しいな」
「気持ち悪いから遠野でも真耶佳いい。そりゃそうよ。だってあたしこう見えて、この世界では指折りの錬金術師だから」
「錬金術師って、それこそ魔法みたいなもんじゃねーか」
「のんのん。別に異世界に召喚されて無双ってわけじゃないわ。現代では脳科学と遺伝子工学を専攻してた超真面目な学生の知識を踏み台に異世界を色々勉強したの。この世界の言葉も歴史も魔法もね」
「天才理系エリート高校生かよ」
「すぐ異世界に召喚されちゃったから、友達に言う暇もなかったけど。少しくらいは自慢したいじゃない?」
にひひと笑って、遠野は口元を抑える。
「遠野はこれからどうする?」
「どうしようかな、地上に出てみたら私が召喚されたころとは全然文明も人も違うみたい」
「どれだけ寝てたんだよ……」
「この変わりようは千年単位かもね」
遠野はさらっと言って、近くの椅子に座った。
千年以上前の異世界に召喚されて、しかも世界を救った理系高校生錬金術師様は流石落ち着いてるな。
「そっか、それじゃ、」
一人でも大丈夫だな、英雄様だしと思ったとき、ふと手を見ると少女の手は震えていた。
なんだ、この遠野。
言動は頭が良いし、落ち着いた振る舞いだけど、人らしい感情もしっかりあるじゃないか。
「——俺たちとくるか?」
「な、なにいってんのよ。私は別に、見ず知らずの人に頼るほど。そんな簡単に決められるわけ、」
「俺が頼りたいんだよ、始めて異世界で現代人に合ったんだぜ? 嬉しいよな」
「何その言い方、ずるくない?」
前髪を弄ってむむむと眉根を寄せる。気を使って言ったつもりだが、どうやら見破られているようだ。
「正直言うとな、可哀そうだと思った。同じ現代人で行き場がないなら手を貸したいと思ったまでさ。頼りたいじゃなくて頼ってほしいってな」
「馬鹿正直にいいすぎ」
椅子の上でで足をぶらぶらさせ、遠野は黙る。
「別にいいけどね、その子もいるなら。男と二人は、やじゃん」
「気は使わせてもらうよ」
ううう、と小さく唸って遠野はそっぽを向く。
そして小さな声で、
「嫌になったら出てくけど、それでいいなら」
と呟いた。
「十分さ、それで」
離れようとするとシエロはぐっと俺の袖をつかんで、そのまま熟睡してしまった。
「仕方ないな」
「この子、義贋さんの娘?」
「いや、ちょっとした旅の仲間さ」
「ふーん……あたしの時もいたなあ。異世界に召喚されて世界を救って、その仲間にこんな小さい子」
「世界救ったって、なにしたんだよ」
「魔法を全て消し去って、魔法によって引き起こされる大事件を解決したの。そして現代に帰るとこだったんだけどね……魔法を消したせいで帰る道がなくなっちゃったみたい。その後色々あって私の時間軸を止めてたってわけ。タイムコールドスリープってね」
「なんか遠野さんは俺よりも随分詳しいな」
「気持ち悪いから遠野でも真耶佳いい。そりゃそうよ。だってあたしこう見えて、この世界では指折りの錬金術師だから」
「錬金術師って、それこそ魔法みたいなもんじゃねーか」
「のんのん。別に異世界に召喚されて無双ってわけじゃないわ。現代では脳科学と遺伝子工学を専攻してた超真面目な学生の知識を踏み台に異世界を色々勉強したの。この世界の言葉も歴史も魔法もね」
「天才理系エリート高校生かよ」
「すぐ異世界に召喚されちゃったから、友達に言う暇もなかったけど。少しくらいは自慢したいじゃない?」
にひひと笑って、遠野は口元を抑える。
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「どうしようかな、地上に出てみたら私が召喚されたころとは全然文明も人も違うみたい」
「どれだけ寝てたんだよ……」
「この変わりようは千年単位かもね」
遠野はさらっと言って、近くの椅子に座った。
千年以上前の異世界に召喚されて、しかも世界を救った理系高校生錬金術師様は流石落ち着いてるな。
「そっか、それじゃ、」
一人でも大丈夫だな、英雄様だしと思ったとき、ふと手を見ると少女の手は震えていた。
なんだ、この遠野。
言動は頭が良いし、落ち着いた振る舞いだけど、人らしい感情もしっかりあるじゃないか。
「——俺たちとくるか?」
「な、なにいってんのよ。私は別に、見ず知らずの人に頼るほど。そんな簡単に決められるわけ、」
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「何その言い方、ずるくない?」
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「気は使わせてもらうよ」
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と呟いた。
「十分さ、それで」
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