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05. 不穏なお茶会(後)
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青ざめるジュリアンへ、リナリアは明るい態度を崩さない。どんな騒動が起こるのか、言葉を濁さず率直に話す。
「ジュリアン殿下は夏至祭の宴で、わたくしとは結婚できないと高らかに宣言なさいます。それから、クレオメという美しい娘を抱き寄せて、彼女に求婚し、口づけを交わすのです」
「なっ! なにを、馬鹿な!?」
国王が正式に決めた婚約を、ジュリアンの独断で、勝手に破棄することなど許されない。だからこそ、リナリアを暗殺しようと画策してきた。
基本的に王子の結婚相手は、他国の王女。伯爵家の令嬢で、辛うじて婚姻が許容される範囲だ。
一方、愛人のクレオメは、男爵家の娘だ。更に、婚歴がある未亡人。せいぜい妾どまりが妥当な相手である。
また、血縁関係の無い男女が、衆目の前で抱擁するのは、この国の貴族マナーに反している。唇への色めいたキスなど、語るまでもない。
「いかがわしいパーティーとは違う。夏至祭の宴だぞ。あり得ないだろ……」
夏至祭の宴は、特別な行事である。和やかな集いだが、極めて重要な意味を持っている。
かつて、フルール王国が北方の小国だった時代。諸侯の武勲に感謝した王が、夏至の祭日に酒食を設けて、もてなしたのが起源だと言われている。
戦乱の世から王国に貢献してきた貴族をねぎらい、同胞として夏至祭を共に祝う、大切な公務なのだ。
一時期、戦費獲得のため爵位を販売した頃に増えた、新興貴族には招待状さえ送らない。
「そうだ、クレオメは会場へ入れないじゃないか。新興男爵家の娘だからな。彼女は勿論、彼女の身内にだって、招待状は送られていないんだ」
光明を見出だしかけたジュリアンに、リナリアがすぐさま水を差す。
「ドレスを、贈られたでしょう、殿下」
「ん? ああ、贈ったが」
「あのドレスを、愛の証だと舞い上がった彼女が、会場へ乗り込んでくるのです」
「なっ!?」
「そして、彼女を追い払おうとする者たちへ、自分の招待状はこのドレスだと、切々と訴えます。門兵を始め、会場を守る近衛騎士、王宮に仕える侍女……話を聞いた者はことごとく、真の愛に胸打たれ、何故か応援してしまうのです。彼女は参りますよ、殿下。素敵な王子様から、求婚を受けるためにね」
「クレオメに求婚など、するものか!」
「そうでしょうとも。ですが、なさいますよ。なさるんです。なさると、決まっているんですから。だって……こほっ」
リナリアが咳き込んだ。呼吸が乱れ、苦しそうに冷や汗を浮かべている。紙のような顔色になりながらも、彼女は語るのをやめなかった。
「だって、不都合な死を修正し、平凡な一日に塗り替えてしまえるほど、強大な力が働いているんですもの……ゴホッ……。人を奇行に走らせるくらい、簡単だとは思いませんか……?」
「お前を蘇生させた強制力のようなものが、俺にも作用するというのか」
「運命や時間、人間の生き死にを……自由に、できる……神の御心など、知りようも、ありませんが……女神エピカメッサは、退屈なのかもしれませんね……。なにか、面白いものをご覧になりたいとか、そういう……ゴホゴホッ。ほ、ほら、隣国の魔女騒ぎも……夏至祭で発生する予定の騒動も……まるで、おとぎ話みたい……」
リナリアの唇から、血が滴った。体勢が崩れて、茶器を倒し、テーブルにもたれかかる。辛うじて上体を支えているが、今にも倒れてしまいそうだ。
額に汗を浮かべたリナリアは、最期にジュリアンへ、朗らかに笑いかけた。
「特別なお茶を……ごちそうさま、でした……。明日以降に、また、お会い……致しましょう……。きっと、でんかは……わたくしが……ひつように……」
力尽きたリナリアは、勢いよく卓上に突っ伏した。それきり彼女は、動かなくなった。
「今、特別な茶と言ったのか?」
ジュリアンは特殊な毒を、リナリアの紅茶に盛っていた。イラの根という、魔女を殺せる毒である。この毒草には、魔法や呪いを消し去る効果があった。
ただし、イラの根は都合のいい万能薬ではない。魔女に限らず、動物や人間が摂取しても、死に至る猛毒であった。
隣国で、魔女が悪事を働いたばかりだ。リナリアへ魔女が憑依して、禁忌魔法を使い、蘇生していた可能性を考えての対応だった。私情で殺めてはいない。少なくとも、今回だけは。
「まさか、毒入りと承知で飲んだのか、リナリア……」
戦慄を覚えるジュリアンの目前で、リナリアの亡骸が、ふっと掻き消えた。強い眩暈に視界が歪む。なんとか意識を保とうと、狂おしく髪をかきむしった。
「いやだ……よせっ……あああ……!」
プツン、と意識が途切れる。再び目を覚ますと、翌朝になっていた。まばゆい朝日が、寝台のジュリアンを照らしている。
リナリアが何度も生き返り、翌日に時間が飛んだのは、禁忌魔法の効果ではなかった。紅茶に入れたイラの根で、リナリアを葬った後に、怪異が起こったのだから。
皮肉なことに、ジュリアン自身が、リナリアの潔白を証明したのである。
リナリアの話が本当なら、夏至祭で仕出かす不始末は、あまりにも深刻だ。失態を犯した後、どんな処分がくだされるのか、考えずにはいられなかった。
おそらく、ジュリアンとクレオメは拘束される。二人とも平民階級ではないから、その場での処分はまぬがれるはず。逃亡や自傷ができないよう厳重に監視され、尋問を受けるのだ。
詮議の結果、犯罪の形跡が無ければ、乱心扱いで互いの家へ引き渡される。あとは各自の家族が、対応を決める流れになるだろう。
「どうなる……俺はどう処分されるんだ……」
ジュリアンは王族だ。気が触れた王族の処遇は、僻地での静養か、幽閉が慣例である。もし、幽閉となったら、嘆きの塔と呼ばれる場所へ収容される。
両親や兄夫婦との関係は良好だ。きっとジュリアンを救おうとしてくれる。あれは一過性の狂気に過ぎないと、擁護してくださるだろう。
だが、目撃者と場所が最悪だ。王命に背いて神子を蔑ろにし、奇行に走るジュリアンを、古参貴族の大半が目の当たりにする。貴族をねぎらう大切な宴で、彼らが婚約者に推挙した令嬢を、大々的に侮辱するのだ。
果たして家族は、ジュリアンを庇いきれるだろうか?
「嘆きの塔は嫌だ……幽閉だけは御免だ……。いっそ、死んだほうがマシじゃないか……」
全ての窓を漆喰で塗り固められた、一筋の光もささない監禁部屋。あの暗い密室へ押し込められて、食事を与えられるだけの日々を送る。少なくとも数年、下手をしたら生涯、幽閉は続くだろう。
『いいこと、ジュリアン。お前を愛しているから、教えてやっているのよ!』
思い出したくもない老婆の洪笑が脳裏をよぎる。頑丈な扉。血走った目玉。嘆きの塔。
「まだ、時間はある。なんとかしなければ……」
リナリアが話した通りの未来が待ち受けているのなら、ジュリアンが抗うべき対象は、破滅の運命そのものである。
運命、あるいは、エピカ神が、ジュリアンの失態を望んでいた。そんなものに、どうやって立ち向かえばいいのだろうか。
爽やかな朝日に照らされて、小鳥の囀りを聞きながら、ジュリアンは頭を抱えて震えていた。
「ジュリアン殿下は夏至祭の宴で、わたくしとは結婚できないと高らかに宣言なさいます。それから、クレオメという美しい娘を抱き寄せて、彼女に求婚し、口づけを交わすのです」
「なっ! なにを、馬鹿な!?」
国王が正式に決めた婚約を、ジュリアンの独断で、勝手に破棄することなど許されない。だからこそ、リナリアを暗殺しようと画策してきた。
基本的に王子の結婚相手は、他国の王女。伯爵家の令嬢で、辛うじて婚姻が許容される範囲だ。
一方、愛人のクレオメは、男爵家の娘だ。更に、婚歴がある未亡人。せいぜい妾どまりが妥当な相手である。
また、血縁関係の無い男女が、衆目の前で抱擁するのは、この国の貴族マナーに反している。唇への色めいたキスなど、語るまでもない。
「いかがわしいパーティーとは違う。夏至祭の宴だぞ。あり得ないだろ……」
夏至祭の宴は、特別な行事である。和やかな集いだが、極めて重要な意味を持っている。
かつて、フルール王国が北方の小国だった時代。諸侯の武勲に感謝した王が、夏至の祭日に酒食を設けて、もてなしたのが起源だと言われている。
戦乱の世から王国に貢献してきた貴族をねぎらい、同胞として夏至祭を共に祝う、大切な公務なのだ。
一時期、戦費獲得のため爵位を販売した頃に増えた、新興貴族には招待状さえ送らない。
「そうだ、クレオメは会場へ入れないじゃないか。新興男爵家の娘だからな。彼女は勿論、彼女の身内にだって、招待状は送られていないんだ」
光明を見出だしかけたジュリアンに、リナリアがすぐさま水を差す。
「ドレスを、贈られたでしょう、殿下」
「ん? ああ、贈ったが」
「あのドレスを、愛の証だと舞い上がった彼女が、会場へ乗り込んでくるのです」
「なっ!?」
「そして、彼女を追い払おうとする者たちへ、自分の招待状はこのドレスだと、切々と訴えます。門兵を始め、会場を守る近衛騎士、王宮に仕える侍女……話を聞いた者はことごとく、真の愛に胸打たれ、何故か応援してしまうのです。彼女は参りますよ、殿下。素敵な王子様から、求婚を受けるためにね」
「クレオメに求婚など、するものか!」
「そうでしょうとも。ですが、なさいますよ。なさるんです。なさると、決まっているんですから。だって……こほっ」
リナリアが咳き込んだ。呼吸が乱れ、苦しそうに冷や汗を浮かべている。紙のような顔色になりながらも、彼女は語るのをやめなかった。
「だって、不都合な死を修正し、平凡な一日に塗り替えてしまえるほど、強大な力が働いているんですもの……ゴホッ……。人を奇行に走らせるくらい、簡単だとは思いませんか……?」
「お前を蘇生させた強制力のようなものが、俺にも作用するというのか」
「運命や時間、人間の生き死にを……自由に、できる……神の御心など、知りようも、ありませんが……女神エピカメッサは、退屈なのかもしれませんね……。なにか、面白いものをご覧になりたいとか、そういう……ゴホゴホッ。ほ、ほら、隣国の魔女騒ぎも……夏至祭で発生する予定の騒動も……まるで、おとぎ話みたい……」
リナリアの唇から、血が滴った。体勢が崩れて、茶器を倒し、テーブルにもたれかかる。辛うじて上体を支えているが、今にも倒れてしまいそうだ。
額に汗を浮かべたリナリアは、最期にジュリアンへ、朗らかに笑いかけた。
「特別なお茶を……ごちそうさま、でした……。明日以降に、また、お会い……致しましょう……。きっと、でんかは……わたくしが……ひつように……」
力尽きたリナリアは、勢いよく卓上に突っ伏した。それきり彼女は、動かなくなった。
「今、特別な茶と言ったのか?」
ジュリアンは特殊な毒を、リナリアの紅茶に盛っていた。イラの根という、魔女を殺せる毒である。この毒草には、魔法や呪いを消し去る効果があった。
ただし、イラの根は都合のいい万能薬ではない。魔女に限らず、動物や人間が摂取しても、死に至る猛毒であった。
隣国で、魔女が悪事を働いたばかりだ。リナリアへ魔女が憑依して、禁忌魔法を使い、蘇生していた可能性を考えての対応だった。私情で殺めてはいない。少なくとも、今回だけは。
「まさか、毒入りと承知で飲んだのか、リナリア……」
戦慄を覚えるジュリアンの目前で、リナリアの亡骸が、ふっと掻き消えた。強い眩暈に視界が歪む。なんとか意識を保とうと、狂おしく髪をかきむしった。
「いやだ……よせっ……あああ……!」
プツン、と意識が途切れる。再び目を覚ますと、翌朝になっていた。まばゆい朝日が、寝台のジュリアンを照らしている。
リナリアが何度も生き返り、翌日に時間が飛んだのは、禁忌魔法の効果ではなかった。紅茶に入れたイラの根で、リナリアを葬った後に、怪異が起こったのだから。
皮肉なことに、ジュリアン自身が、リナリアの潔白を証明したのである。
リナリアの話が本当なら、夏至祭で仕出かす不始末は、あまりにも深刻だ。失態を犯した後、どんな処分がくだされるのか、考えずにはいられなかった。
おそらく、ジュリアンとクレオメは拘束される。二人とも平民階級ではないから、その場での処分はまぬがれるはず。逃亡や自傷ができないよう厳重に監視され、尋問を受けるのだ。
詮議の結果、犯罪の形跡が無ければ、乱心扱いで互いの家へ引き渡される。あとは各自の家族が、対応を決める流れになるだろう。
「どうなる……俺はどう処分されるんだ……」
ジュリアンは王族だ。気が触れた王族の処遇は、僻地での静養か、幽閉が慣例である。もし、幽閉となったら、嘆きの塔と呼ばれる場所へ収容される。
両親や兄夫婦との関係は良好だ。きっとジュリアンを救おうとしてくれる。あれは一過性の狂気に過ぎないと、擁護してくださるだろう。
だが、目撃者と場所が最悪だ。王命に背いて神子を蔑ろにし、奇行に走るジュリアンを、古参貴族の大半が目の当たりにする。貴族をねぎらう大切な宴で、彼らが婚約者に推挙した令嬢を、大々的に侮辱するのだ。
果たして家族は、ジュリアンを庇いきれるだろうか?
「嘆きの塔は嫌だ……幽閉だけは御免だ……。いっそ、死んだほうがマシじゃないか……」
全ての窓を漆喰で塗り固められた、一筋の光もささない監禁部屋。あの暗い密室へ押し込められて、食事を与えられるだけの日々を送る。少なくとも数年、下手をしたら生涯、幽閉は続くだろう。
『いいこと、ジュリアン。お前を愛しているから、教えてやっているのよ!』
思い出したくもない老婆の洪笑が脳裏をよぎる。頑丈な扉。血走った目玉。嘆きの塔。
「まだ、時間はある。なんとかしなければ……」
リナリアが話した通りの未来が待ち受けているのなら、ジュリアンが抗うべき対象は、破滅の運命そのものである。
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