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21話

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「んっ……ふ」
ラーサティアの辛そうな声に手を止めた。
「サティやはり……」
ゆっくりと解すように指を増やしてはいるが、どちらも慣れない行為にどうしていいのかわからない。
知識はあるが、それがなかなか同じようにはいかないのだ。
「大丈夫です、あの……気持ちよくて……私ばかり……」
恥ずかしそうに笑うラーサティアに、俺は驚くばかりだ。
気持ち良い筈など無いだろう。
それなのに、潤んだ瞳や上気した頬、全てが綺麗だと思った。
「構わないサティを気持ち良くしたいのだが」
「ありがとうございます」
啄むキスを繰り返しながら、指を引き抜き自身を当てたその時、部屋の外、執務室の扉が叩かれた。
「団長、深夜に申し訳ありません、火急の用件が。王宮より伝令が」
急いでいるのだろう、名前を名乗ることも忘れているが聞きなれた声だ。
「……サティ、悪い」
そっとキスをしてから身体を離す。
王宮からの用件ならば聞かなければならない。
深呼吸をしてから、クローゼットから新しいシャツとトラウザーズを取り出した。
「……なんでしょうか、父上には……その、話してあるのですが」
「わからないが、話は先に聞いてくる。後から来るかこのまま此処で寝てもいい……すまない」
ラーサティアの体内に火を付けたまま放置してしまうのだ。
自分ですら辛いのに、申し訳なく思うが団長と言う任ゆえ仕方ない。
「身体を整えたら伺います」
身体を起こしたラーサティアはキリッと顔を上げていた。
「無理はするな、先に行く」
身支度を整え髪を軽く撫で付けると、扉の前で待っているだろう副団長の元へ急ぐ。
扉の前で剣を履くのを忘れなかったのは誉めてやりたい。
「待たせた」
「いえ、歩きながら簡単に」
促されたのは会議室。
副団長の話を聞く。
重くなる足取りが着いた扉の先には各騎士団小隊長クラスまでが詰めていた。
「皆、先ずは楽にしてくれ。それと収集された時に聞いたものもいるだろう、スタンピードの兆候が現れたそうだ。そろそろだと踏んではいたが、少し早い時期かもしれない。
今は農作物の収穫期真っ只中だ、何としても食い止めなければならない。
悪いがお前たちの知恵を貸してくれ」
団長の席へ着くとそう伝えた。

もしかしたら最後の仕事になるかもしれない。
それは口にはしなかった。

「座ってくれ」
そう言って先に椅子へ腰掛けると、ザッと頭を下げた隊長たちは漸く腰を下ろしたのだった。
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