【BL】転生したら獣人の世界で何故か肉食獣に愛されています。

梅花

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本編

660話

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「んじゃ行くか」
リルが戻ってくると、俺たちは玄関を出た。
「子供たちはネイに頼んできた」
「ありがとう……」
「魔獣に騎乗するか?それとも獣化するか?」
レヴィに聞かれて俺は悩む。
「たまには駆けるか」
「いいな」
ふたりでそう決めたらしく、目の前で全裸になりながら獣化するのは他に見られてしまうかもしれない不安があるし、いきなりお客様が来たりしたらただの変な人になってしまうのに、自分の裸には自信があるのだろう二人は他人の目など気にせずに獣化した。
『リクト、悪いが服を頼む』
レヴィに言われると、俺は二人分の脱ぎ捨てられた服を畳んでインベントリーにしまい込んだ。
その間にもリルがすりすりと頭を擦り付けてくる。
「リル、もう……可愛いなぁ……大きなネコだよね。レヴィも可愛いけど……何で人型の時は格好良いのに、獣化すると可愛いんだろ」
のしのしとやってくる巨大な熊でさえ、中身がレヴィだと思うと可愛いのだ。
「俺はもし獣化できたら、何の獣人になるのかなぁ……猿なのかもしれないけど……」
『リクトが猿なら、マーモセットか?』
『かもな、小さくて可愛いやつじゃねぇか?』
「……そんな獣人がいるの?気になるかも」
俺がそう言っていると、リルの太い尻尾が俺の腰に巻かれて引かれるとリルの背中にストンと腰を落としてしまう。
「わ!」
『ほら、ちゃんと掴まってろ』
「リル、いきなりはびっくりするからね!」
ゆっくりと歩き出すリル。その背中に手をついて俺は慣れない振動を身体に受けていた。
虎に乗ることができる人はどのくらいいるだろうか。
そんな事を考えていると、どんどんとリルの走るスピードが早くなっていく。
それに普通についてくるレヴィ。
「は、早くない?」
それに、何処に向かっているのかもわからない。
ただ、湖の方ではなくどちらかと言えば草原の方に向かっている。
『早いか?悪りぃ』
俺の言葉に少しスピードを緩めてくれたリル。
やはり獣化すると、その精神も獣に近くなるのだろう。
それにしても、触れている毛並みは気持ちいい。
レヴィの方が堅い毛に覆われているため、触り心地は正直リルの方が気持ちいい。
だけど、レヴィの触り心地も嫌いじゃない。
『月が綺麗だな』
レヴィの呟きに俺は空を見上げた。
丸く大きな月と、半分欠けた月が空に昇っている。
二つとも満月の時はランタンが無くても夜道は明るい。
「うん……レヴィ」
『リクト、俺だってリクトを愛しているからな?』
おや?とリルを見下ろすと、走りながらリルがこちらをちらりと見上げている。
『なんだよ……愛してるの意味だろ?リクトが前に言ってたじゃねぇか!』
そんな自分ですら忘れているようなことを覚えていてくれる二人が大好きだ。
「うん……月が綺麗だね、リル」
その首筋をぽんぽんと叩くとリルは嬉しそうに喉を鳴らした。
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