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35話

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「おい、ふたりで何やってんだ?」

俺がレヴィに抱きついていたのを見たらしい。
ジト目でリルがこちらを見ている。
ごめん、男が男に抱きついているの、気持ち悪い…か。

「リクトが怖い夢を見たらしい」

レヴィが説明してくれる。
それに俺もこくりと頷いた。

「本当かよ…ふたりで付き合うとか、なったんならそりゃそれで…しかた…ないけどな」
「違う…よ。レヴィに失礼だからね、それ。
俺みたいな怪しい奴を恋人にしちゃ駄目だろ?それでさ…ふたりに話があるんだけど…食事の前がいい?後がいい?」

色々と言わなきゃいけないことがある。
リルもレヴィもあえて口にしないでくれているのだろう。
ふたりは何やら目配せをすると、俺を挟んで右にレヴィ、左にリルが座った。
ふたりがけのソファーだから、狭いけれど、離れているよりは安心するかなと、俺はふたりに挟まる。
俺の両手を片方ずつ掴んだふたりは、俺の言葉を待ってくれた。

「俺…この世界にはいたらいけない人間なんだ…簡単に言うと、違う世界から来たんだよ…」

ゆっくりと言葉を選びながら喋る。
話し終わった頃には、俺の目からは涙が落ちていた。
別に不安も悲しみも何もない。
なのに、何故か涙が止まらない。
リルが差し出してくれたハンカチで涙を拭った。

「ごめん、何で泣いちゃったんだろ…悲しい訳じゃないのになぁ」

笑顔を向けると、リルの手がポンと頭を撫でた。
レヴィの腕がするりと腰に回される。

「リクト…俺達の話をしてもいいか?」

リルの声に俺はぴくりと反応してしまう。
何を言われるのだろう。

「まず、俺からいいか?」

リルがレヴィに聞くと、レヴィは小さく頷いた。

「俺もレヴィも、リクトが何処から来たかは気にしない…リクトが望むなら一緒にいたいと互いに意見を交わしている。
リクトが嫌かも知れないが…俺はリクトが好きだ恋愛的なものだな…だが、レヴィも同じだろう?」
「あぁ、俺もリクトを好ましく思っている」

互いの手に力が入る。
寝耳に水の言葉に俺は言葉を失った。
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