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82話

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「リクトちゃん、一緒にお風呂入りましょう?」

リルとレヴィを順番にお風呂に入らせると、俺はミトさんの部屋を片付ける。
俺が借りていた部屋の隣が二人部屋になっているらしく、そこにだいたいいつも泊まるらしい。
早く言ってくれれば掃除しておいたのに…。
窓を開けてシーツを取り替えていると、ミトさんがそんなこと自分でやるわよぉと言いながら部屋に入ってくる。

「はぃ…えぇっ!」

返事をしてから、俺はブンブンと頭と手を振る。

「ミトさん、駄目ですって。
たしかにここのお風呂広いですけど、流石に女性と入るのは駄目です!
必要ならお背中流しますし、ブラッシングもしますけど…」
「あらっ!あらあらっ!?リクトちゃん可愛いわぁ…」
「リクト、お袋は牡だぞ!」

扉を開けて入ってきたリルはひょいと俺を抱き上げる。

「だーかーらー、ミトさんかママだって言ってるわよねぇ?」
「ええっ!?ミト…さん?」
「どう見たって牡体型だろうが!痛ッ!痛ぇよっ!」
「もうっ!バカ息子!」

本来てリルを殴りにくるミトさんにハラハラしながら、リルは上手く交わして部屋の外に出た。

「煩ぇよ、これから俺はリクトにブラッシングしてもらうんだ!余計な時間はねぇんだよ!」

そのままドタドタと一階に降りると寝室に入り、俺を寝台に座らせるとリルは一気に獸化した。
腰に巻いたのがタオル1枚だから、簡単に獸化できるのだけど。

『ブラッシングしてくれよ…?』

ちゃんと洗って来たからな!とばかりに胸を張るリルに、俺はブラシを取り出してブラッシングを始める。
ミトさんにはごめんなさいしなきゃ。

「それにしても、びっくりしたぁ…ミトさんお母さんなんだよね?」

そう、呟く俺に、リルはグルゥと喉を鳴らして不機嫌そうにパタリパタリと尻尾を揺らす。
触れて欲しくない話題のようだけれど…家族になるかもしれない人だから。

「リル、今は聞かないけど、もし俺がリルと結婚したらお義母さんになるんだから、そのときはちゃんと教えて」

目を閉じていたリルの片目がパチリと開いて気はのらないが、わかったとばかりに尻尾が揺れる。
それから暫くしてレヴィが出てくるとリルと入れ替わる。
ミトさんはどうやらお風呂に行ったようで、ミトさんが出たら俺も湯を貰おうとレヴィをブラッシングするのだった。
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