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123話

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「話は聞いたわ、キリルを助けてくれてありがとう。もうすぐキリルの両親も来るわ」

ミトさんにぎゅうぎゅうと抱き締められて漸く離されたら、その後ろにルーファスさんがいた。

「ん」

ルーファスさんが腕を広げてくれて、俺はその腕の中に遠慮なく飛び込む。
ミトさんとは違った安心感に包まれていたが、それを許さないのはリルで、べりっと引き剥がされてリルに抱き締められた。

「今夜、泊まっていきてぇけど部屋あるか?」
「あるわよ?3人で一部屋でいいの?」
「あぁ」
「じゃあ、キリルを引き渡したらいらっしゃい」

ミトさんが、ひらひらと手を振りルーファスさんと手を繋いだまま街の中心部へと歩いていく。
背中を見つめながらふと、絡み合う尻尾が見えて少しだけ羨ましいと思ってしまう。
触れ合える部分か多いのだから。
抱き締められたリルの腹の辺りがモゾモゾと動いてリルの服の中にキリルがいたのだと思い出した。

「あっ!リル……キリルが」
「……そうだったな」

離れたくなさげなリルの頬に軽くキスをして離れると、モゾモゾと這い出して来たキリルを抱き上げる。

「キリルおはよう?街に着いたよ?もう少ししたらお迎えが来るよ?」

パパだろうかママだろうかと悩み、お迎えと言う言葉で濁した。

「ここ……」
「キリルのおうちがあるよ?もうちょっと……」
「「キリル!!」」

大きな声がして振り向いた先にいたのは猫の獣人ふたり。
1人は茶とら、1人は黒。
ボブテイルと鍵尻尾のふたり。

「パパぁ、ママぁ……」

しっかりと受け答えしていたキリルがギャン泣きで腕の中から飛び出した。
キリルを抱き締めたのは黒猫で、泣くキリルの額をぺちりと叩く。

「心配させて。でも無事で良かった」
「ママぁ…」

端から見たらほのぼのとする一幕だった。

「ありがとうございました、キリルがお世話に」
「無事にお届けできて良かったですが、怪我とかしていないと思いますけど気にしてあげてください」
「はい」
「じゃ、リルもレヴィもミトさんたちの所に行こうか」

振り向いてふたりを見た瞬間、俺は固まる。
何でそんなに離れたの!

「リル……レヴィ……」

何故かじりじりと距離をとるふたりを俺はどうしていいかわからなかった。
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