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139話

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「お父さん、お母さん!!」

俺は玄関へ走り出す。
もちろん腕にはミラ。

「ミラが!獣化してしまって……」

俺の後を半裸のレヴィが追い掛けてきた。

「あらぁ、ミラ……可愛いわねぇ」

ルーファスさんがミラを抱き上げてただいまのキスをする。
ミトさんもだ。

「早いけれど大丈夫よ、可愛いでしょう?力の強い証ね……ミラは、リルよりも早かったから……まぁ、レヴィが一番早かったけれど」

ミトさんがちらりとレヴィを見やるとにこりと笑う。

「よかったぁ」

何かあるのではないかと心配したが、何もなく大丈夫なようで安心した。

「リクトちゃん、もしかしてレヴィのブラッシング途中だった?ミラは面倒見るから大丈夫よ?ありがとうね」

レヴィの茶色の髪がモサッとしているのと、半裸の状態からそう気付いたのかも知れないけれど。

「あ、はい…レヴィ部屋に行く?」
「あっ!ミラ危ないわよ」

じたばたと、ルーファスさんの腕の中で暴れるミラは、こちらに来ようとする。

「ミラもブラッシングされたいのかしら。女の子ね」

ミトさんの問い掛けにおとなしくなったミラは猫のようにふにゃあと小さな声をあげたのだった。
それから、ルーファスさんの提案でリビングでブラッシングをすることになった。
レヴィは少し嫌がったが、最後は渋々と頷く。
ごろんと転がったレヴィの顔周りからブラシを掛けると、気持ち良さそうにクルルと喉が鳴る。
猫科のそれとは違うのだがやっぱり落ち着く音だった。
大きな身体に手を埋めながらブラッシング。
少し堅めの毛にゆっくりとブラシをいれると次第に柔らかくなる感触が好き。
もう、モフモフしたくなって、レヴィのお腹に顔を埋めてしまうのはいつものことで、レヴィの盛大な溜め息と、優しい腕で引き寄せられる。
そのままイチャイチャしそうになって、ミトさん達がいるのを思い出した。
レヴィの苦笑はこれだったんだね。
残念だなぁと思いながらレヴィの背中をブラッシングして終わりにした。
終わりにしたとほぼ同時にくいっと背中が引かれて驚いて後ろを向くとミラがくいくいと俺のシャツを引っ張っている。
首にはゴムの入った伸びるシュシュみたいなピンクのリボン。

「うわぁ、ミラ可愛いね!丸い耳が嬉しそうに揺れている」

見て!見て!と、全身で言っているように見えた。
そのミラをひょいと抱き上げるとその肉球はピンク。
めちゃくちゃ可愛い!
それに、若い個体だからぷにっぷになんだ。
だけど、重い!
流石に虎だから猫よりみっしりした筋肉に大きな身体。
でも、レディに対して重いとは言えないから軽く撫でてから下ろしてあげた。
ミラをあまり構っていると、レヴィが静かに怒るからだ。
今も、ふいっと顔を逸らしている。
ごめんって、レヴィの機嫌をとるために頑張らなきゃ。
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