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158話

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「やっぱり美味しいわねぇ」

1個がたっぷりマグカップのサイズの入れ物にみっしり入ったプリンが2つずつ各自にあったはずが綺麗に消えていく。
しかも、たっぷりとクリームやフルーツがのっているやつがだ。

「良かった。マスターもいかがですか?口に合いましたか?」
「はい!早くレシピが欲しいです」
「あら、リクトちゃん達が帰るのが明日が、その次か……ゆっくり帰るなら数日はかかるから、登録はそれからねぇ」
「登録前に試作で作らせていただいて、登録されてから販売をさせていただいても?」
「その辺りはお任せしますよ……」

「リクトぉ、おかわりねぇのかよ~」

会話の腰を折ったのはリル。
うん。足りないんだよね。

「1人2個……こっちはミラのだし、俺のあげてもいいけど他にも食べたい人いるでしょ?」

周囲を見回すと、こっそりレヴィとルーファスさんが手を上げている。
甘いもの案外好きみたいなんだよね。
そう思いながら、手をつけていない自分のプリンを2つ差し出す。

「少しずつわけて食べるならいいよ」

ミラがもっと!と、ざらりとした舌で俺の手を舐めた。
まだ、獣化が解けずに虎の姿なのだが、柔らかい腹毛を天井に向ける臍天でちょいちょいと前足を動かしている。
ちゃんと爪を引っ込めている姿はありがたくて嬉しい。

「ほらもう一口ね?」

ミラの口許にプリンを運んでやるとかぱりと口を開く。
綺麗に生えた歯と、その隙間から覗く舌。
猫科の特徴をした、ざりりとした舌。

「きゅう」

甘えた声でねだられれば、ついつい与えてしまいたくなる。

「ミラ、お腹ぽんぽこりんだよ?」

何度か口に入れてやっていると、ミラのお腹がぽこりと膨れていることに気付いた。
スプーンを置いてから、そのお腹を撫でてやると、気持ち良さそうにごろごろと喉が鳴り、お腹いっぱいになったのか、ミラが溶けた。
いや、物理的にではないのだが。
でろんと脱力した子虎。
それをもう一度抱き上げる。

「おやすみ、早く大きくなってね?」

こくりこくりと船を漕ぐミラを撫でながら俺はミラの残したプリンを食べたのだった。
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