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番外編
湖で(子供たちが巣立った後に)
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「暑い……」
何度目か同じ言葉を呟いた俺は、クローゼットの中からタオルと水着を取り出した。
「ちょっと泳いでくる」
深夜に周囲が寝静まっているのに、俺は何故か寝付けなかった。
理由はわかっている。
暑い。
窓は開け放っているのだが、風が吹き込むことはなく寝返りをうつごとに目が覚める。
伴侶のふたりは平気な顔をして眠っており、起こすのも忍びなく俺はそっと部屋を出た。
「リクト様?」
「ひゃっ!」
部屋を出た瞬間、声を掛けられ飛び上がりそうになったが、そこに居たのは燕尾服のラディットさんだった。
……え。
「どちらかにお出かけですか?」
白く長い耳を揺らしながら問いかけてくるのだが、心臓に悪いのとなんでこの時間に仕事着で起きているのかが不思議だ。
だが、それを聞いてはいけない気がして俺は目を逸らした。
「少し暑いから散歩と……少し泳げたらいいなって」
「湖ですか?あまり深い方に行かれては危険ですので、わたくしも参りましょう」
「え、ラディットさんがですか?」
「泳ぎには少し自信がございまして」
お任せ下さいと胸を張ったラディットさんは、ジャケットの内側からビキニパンツを取り出した。
「では、参りましょうか」
促されるように俺は歩き出すと、ラディットさんは音を立てずに1階まで移動し、静かに玄関を開けた。
鍵の音すらしないのに、扉は開き俺は一緒に外へと出た。
「わぁ、星空ですね……月が明るいです」
夜空に浮かぶ月はふたつ。
上弦の月だった。
「えぇ、騎獣いたしましょうか」
徒歩で行くには少し遠い湖だ。
だいぶ練習した騎獣だから大丈夫だろうと俺が頷くと、こちらへとラディットさんに促された。
「さぁ、前にどうぞ?」
「あ、はい」
相乗りをするようにして騎獣し、手綱を握ったラディットさんの指示を受けて魔獣は夜の闇を駆け抜けていく。
頬を撫でる風は少しだけ涼しかった。
「この辺りでよろしいでしょうか」
ラディットさんは魔獣を止めてから先に降り、俺に手を差し出してくれる。
その手を掴んで俺は下獣した。
「比較的浅瀬ですから泳げますが、あまり中に行かないようにお気をつけください」
ラディットさんはそう言いながら白い手袋を外し、ベストを脱ぎ始めた。
ひとつに括っていた白い髪を再度解いてから器用に結び直す。
濡れないようにお団子のように髪を纏めるのを見ていた。
そして、シャツを脱ぎ、ズボンを下ろすと先程見たビキニパンツを履く。
黒いビキニに白い丸く短い尻尾がちょこんと出るのが可愛かったが、俺も慌てて服を脱いだ。
ラディットさんの身体は草食獣の筈なのに、均整がとれしっかりと筋肉が付いている。
「リクト様、お着替えは?お手伝いいたしましょうか?」
「だ、大丈夫です」
そんなことされるのは、正装の時だけで十分だと俺は慌てて全裸になり、トランクスタイプの水着になった。
気持ち良さそう。
ゆらゆらと揺れる水面を見ながら俺は軽く身体を延ばす。
そして、湖に足を浸けた。
気持ちいい。
日中太陽で温まった水温は程よくあたたかい。
ゆっくり歩くと少しずつ深くなる水深。
「気持ちいい……」
腰までの深さになると俺は慣れたように泳ぎ出す。
足がつかない場所には行かないようにするし、海と違い波がないため泳ぎやすい。
ひとしきり泳いで顔を上げるとどこからか歌声が聞こえた気がした。
「リクト様、上がりましょうセイレーンの歌声です」
近くに泳いできていたラディットさんが俺の腕を掴みゆっくりと陸へと向かう。
耳に残る艶やかな歌声。
「リクト様、これで身体を拭いて下さいませ」
差し出されたバスタオルで全身を拭くと、着替えもそこそこにラディットさんに魔獣に乗せられて自宅に戻る。
「危なかったですね、セイレーンにみいられると戻れなくなりますから」
そう言ったラディットさんの背中に抱きついて、ひとりで湖に来るのはやめようと思いながら家の玄関で魔獣が止まる。
視線を上げたその先には仁王立ちの伴侶ふたりがいた。
「リクト様、わたくしは魔獣を戻して参りますね?」
にこにこと笑ったラディットさんに置いていかれ、俺はどうしていいかわからなくなる。
「リクト、ちょっと話をしよう?」
レヴィの低い声が更に低く聞こえる。
「ご、ごめん……今度からは声をかけます」
リルに肩からタオルを掛けてもらうとレヴィに抱き上げられて俺は寝室まで運ばれる。
「ったくリクトそんな無防備な格好をして……お仕置だな」
リルに言われて俺はリルを見る。
俺、何かしたっけ?
そう思うもふたりの目は笑っていない。
どうして?そう思いながら俺はお仕置という名の甘い攻めを与えられたのだった。
何度目か同じ言葉を呟いた俺は、クローゼットの中からタオルと水着を取り出した。
「ちょっと泳いでくる」
深夜に周囲が寝静まっているのに、俺は何故か寝付けなかった。
理由はわかっている。
暑い。
窓は開け放っているのだが、風が吹き込むことはなく寝返りをうつごとに目が覚める。
伴侶のふたりは平気な顔をして眠っており、起こすのも忍びなく俺はそっと部屋を出た。
「リクト様?」
「ひゃっ!」
部屋を出た瞬間、声を掛けられ飛び上がりそうになったが、そこに居たのは燕尾服のラディットさんだった。
……え。
「どちらかにお出かけですか?」
白く長い耳を揺らしながら問いかけてくるのだが、心臓に悪いのとなんでこの時間に仕事着で起きているのかが不思議だ。
だが、それを聞いてはいけない気がして俺は目を逸らした。
「少し暑いから散歩と……少し泳げたらいいなって」
「湖ですか?あまり深い方に行かれては危険ですので、わたくしも参りましょう」
「え、ラディットさんがですか?」
「泳ぎには少し自信がございまして」
お任せ下さいと胸を張ったラディットさんは、ジャケットの内側からビキニパンツを取り出した。
「では、参りましょうか」
促されるように俺は歩き出すと、ラディットさんは音を立てずに1階まで移動し、静かに玄関を開けた。
鍵の音すらしないのに、扉は開き俺は一緒に外へと出た。
「わぁ、星空ですね……月が明るいです」
夜空に浮かぶ月はふたつ。
上弦の月だった。
「えぇ、騎獣いたしましょうか」
徒歩で行くには少し遠い湖だ。
だいぶ練習した騎獣だから大丈夫だろうと俺が頷くと、こちらへとラディットさんに促された。
「さぁ、前にどうぞ?」
「あ、はい」
相乗りをするようにして騎獣し、手綱を握ったラディットさんの指示を受けて魔獣は夜の闇を駆け抜けていく。
頬を撫でる風は少しだけ涼しかった。
「この辺りでよろしいでしょうか」
ラディットさんは魔獣を止めてから先に降り、俺に手を差し出してくれる。
その手を掴んで俺は下獣した。
「比較的浅瀬ですから泳げますが、あまり中に行かないようにお気をつけください」
ラディットさんはそう言いながら白い手袋を外し、ベストを脱ぎ始めた。
ひとつに括っていた白い髪を再度解いてから器用に結び直す。
濡れないようにお団子のように髪を纏めるのを見ていた。
そして、シャツを脱ぎ、ズボンを下ろすと先程見たビキニパンツを履く。
黒いビキニに白い丸く短い尻尾がちょこんと出るのが可愛かったが、俺も慌てて服を脱いだ。
ラディットさんの身体は草食獣の筈なのに、均整がとれしっかりと筋肉が付いている。
「リクト様、お着替えは?お手伝いいたしましょうか?」
「だ、大丈夫です」
そんなことされるのは、正装の時だけで十分だと俺は慌てて全裸になり、トランクスタイプの水着になった。
気持ち良さそう。
ゆらゆらと揺れる水面を見ながら俺は軽く身体を延ばす。
そして、湖に足を浸けた。
気持ちいい。
日中太陽で温まった水温は程よくあたたかい。
ゆっくり歩くと少しずつ深くなる水深。
「気持ちいい……」
腰までの深さになると俺は慣れたように泳ぎ出す。
足がつかない場所には行かないようにするし、海と違い波がないため泳ぎやすい。
ひとしきり泳いで顔を上げるとどこからか歌声が聞こえた気がした。
「リクト様、上がりましょうセイレーンの歌声です」
近くに泳いできていたラディットさんが俺の腕を掴みゆっくりと陸へと向かう。
耳に残る艶やかな歌声。
「リクト様、これで身体を拭いて下さいませ」
差し出されたバスタオルで全身を拭くと、着替えもそこそこにラディットさんに魔獣に乗せられて自宅に戻る。
「危なかったですね、セイレーンにみいられると戻れなくなりますから」
そう言ったラディットさんの背中に抱きついて、ひとりで湖に来るのはやめようと思いながら家の玄関で魔獣が止まる。
視線を上げたその先には仁王立ちの伴侶ふたりがいた。
「リクト様、わたくしは魔獣を戻して参りますね?」
にこにこと笑ったラディットさんに置いていかれ、俺はどうしていいかわからなくなる。
「リクト、ちょっと話をしよう?」
レヴィの低い声が更に低く聞こえる。
「ご、ごめん……今度からは声をかけます」
リルに肩からタオルを掛けてもらうとレヴィに抱き上げられて俺は寝室まで運ばれる。
「ったくリクトそんな無防備な格好をして……お仕置だな」
リルに言われて俺はリルを見る。
俺、何かしたっけ?
そう思うもふたりの目は笑っていない。
どうして?そう思いながら俺はお仕置という名の甘い攻めを与えられたのだった。
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