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本編
549話
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「いってらっしゃい」
ミラに送り出されて俺たちは三人で出かけることにした。
大人だけなら歩くスピードも早くて大丈夫だし、意見もすぐ決まる。
「リクト、腹減らねぇか?」
リルに聞かれて俺は立ち止まった。
いや、あれだけピザ食べただろ?
「え、お腹減ったの?」
「少しな」
「レヴィは?」
「食える」
何だこの食欲魔神たちは。
乾いた笑いしか出ないけど、お腹が空いたなら仕方ないかなぁ。
「カフェでも寄る?」
いや、このふたり、さっき詰所でコーヒーを飲んでなかったか?
飲んでた……よね。
「休憩しねぇか?」
「……何処で?」
俺はリルを見上げるが、その目がジト目になってしまうのは仕方ないだろう。
「なぁ、レヴィ?休憩したいよな」
「それも良いな」
確信犯だ。
「リルもレヴィも今夜なしなら考えるし、先に双子のおもちゃ買わなきゃ本末転倒。
ちゃんとやる事やってからじゃなきゃ駄目」
ふたりを交互に見上げると、仕方ねぇなと肩を竦めたリル。
もう、仕方ないじゃないってば。
歩き出した俺にふたりがついてくる。
レヴィは目に見えて残念そうだ。
俺だってふたりとのイチャイチャは好きだけどそんなにいつもは出来ない。
体力の差をわかって欲しい。
「じゃあ、時間があったらな?」
レヴィの言葉にふと違う疑問が沸き起こる。
「獣人ってどのくらいの頻度でするの?」
元来淡白な自分はリルとレヴィに合わせると凄く多く致している気がする。
「まぁ、発情期の時は一日中してるヤツらもいるしなぁ……」
「いっ!?」
一日中と聞くと、俺はドン引いてしまう。
「こ、壊れちゃうだろ……そんなに無理だって」
「流石に発情期じゃなかったらしねぇって、ちゃんと手加減してんだろ?」
確かにふたりはかなり手加減してくれてはいる気がするが……
そう考えていると、レヴィが足を止めた。
「此処にしよう」
「あ、うん……本屋?」
扉に描かれたのは開かれた本の絵だった。
「ライが欲しい図鑑は此処にあるだろ」
「そうだね」
「俺も少し見たいしな……」
そう言えばレヴィは静かに読書をしている時もある。
「レヴィはどんな本を読んでるの?」
嫌かもしれないと今まで聞いたことが無かったが、つい聞いてしまう。
「あ、何を読んでいてもいいし、言いたくなければ言わなくてもいいよ?」
俺はにこりと笑みを向ける。
「推理小説とかが多いかもしれないが」
レヴィは照れたように笑う。
「俺は、本を読むのが苦手だからライと一緒に絵本を読むところから始めようかなぁ」
長年染み付いたひらがなカタカナ漢字で書かれる文字はなかなか抜けなくて、メニューがカタカナだけで出てくるのはわかるが、きっと読み慣れない。
「とりあえず入ろうか」
俺はふたりを促した。
ミラに送り出されて俺たちは三人で出かけることにした。
大人だけなら歩くスピードも早くて大丈夫だし、意見もすぐ決まる。
「リクト、腹減らねぇか?」
リルに聞かれて俺は立ち止まった。
いや、あれだけピザ食べただろ?
「え、お腹減ったの?」
「少しな」
「レヴィは?」
「食える」
何だこの食欲魔神たちは。
乾いた笑いしか出ないけど、お腹が空いたなら仕方ないかなぁ。
「カフェでも寄る?」
いや、このふたり、さっき詰所でコーヒーを飲んでなかったか?
飲んでた……よね。
「休憩しねぇか?」
「……何処で?」
俺はリルを見上げるが、その目がジト目になってしまうのは仕方ないだろう。
「なぁ、レヴィ?休憩したいよな」
「それも良いな」
確信犯だ。
「リルもレヴィも今夜なしなら考えるし、先に双子のおもちゃ買わなきゃ本末転倒。
ちゃんとやる事やってからじゃなきゃ駄目」
ふたりを交互に見上げると、仕方ねぇなと肩を竦めたリル。
もう、仕方ないじゃないってば。
歩き出した俺にふたりがついてくる。
レヴィは目に見えて残念そうだ。
俺だってふたりとのイチャイチャは好きだけどそんなにいつもは出来ない。
体力の差をわかって欲しい。
「じゃあ、時間があったらな?」
レヴィの言葉にふと違う疑問が沸き起こる。
「獣人ってどのくらいの頻度でするの?」
元来淡白な自分はリルとレヴィに合わせると凄く多く致している気がする。
「まぁ、発情期の時は一日中してるヤツらもいるしなぁ……」
「いっ!?」
一日中と聞くと、俺はドン引いてしまう。
「こ、壊れちゃうだろ……そんなに無理だって」
「流石に発情期じゃなかったらしねぇって、ちゃんと手加減してんだろ?」
確かにふたりはかなり手加減してくれてはいる気がするが……
そう考えていると、レヴィが足を止めた。
「此処にしよう」
「あ、うん……本屋?」
扉に描かれたのは開かれた本の絵だった。
「ライが欲しい図鑑は此処にあるだろ」
「そうだね」
「俺も少し見たいしな……」
そう言えばレヴィは静かに読書をしている時もある。
「レヴィはどんな本を読んでるの?」
嫌かもしれないと今まで聞いたことが無かったが、つい聞いてしまう。
「あ、何を読んでいてもいいし、言いたくなければ言わなくてもいいよ?」
俺はにこりと笑みを向ける。
「推理小説とかが多いかもしれないが」
レヴィは照れたように笑う。
「俺は、本を読むのが苦手だからライと一緒に絵本を読むところから始めようかなぁ」
長年染み付いたひらがなカタカナ漢字で書かれる文字はなかなか抜けなくて、メニューがカタカナだけで出てくるのはわかるが、きっと読み慣れない。
「とりあえず入ろうか」
俺はふたりを促した。
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