12 / 44
第1章 転生
12話
しおりを挟む
「鴇、お茶にしましょうか」
翠の手伝いを終えると、いつもそうやって誘ってくれる翠に俺は頷くと、お茶の準備をする。
二人分の湯のみと急須。
湯呑みはそれぞれ自分の気に入った物を使っている。
「あ、お茶少ないな…買いに行かなきゃ」
茶筒を開けるとお茶の葉が残り少ない。
明日にでも買いに行こうかと思いつつ、明日は市が立つ日だったかと思い出した。
暦を確認すると間違いないため、鶯が売る野菜があれは一緒に行こうと思いなから茶葉を移した。
「翠、明日は市の日だけど何か買い物がある?お茶の葉が少ないから買ってこようかなと。それとたぶん鶯が行くだろ?だから荷物持ち?」
急須を翠に渡すと1度沸いたお湯の温度を下げでゆっくりとお茶をいれる翠。
翠のお茶は美味いんだよなぁ。
「味噌が欲しいですかね…それと、あったら七味。
この時期だから出ているかはわかりませんが、もしあればお願いします」
「了解、翠たまには一緒に行くか?いつも留守番だろ?」
「僕は大丈夫です。苦手なんです人混みが」
「そっか、じゃあ何かお茶うけ買ってくる。後で鶯にも行くか確認しなきゃ」
湯呑みを受け取りお茶を飲むと、優しい味がした。
ほぅと息を吐き出すと、小さな皿に饅頭が乗せられて差し出される。
「鴇、余り物ですがどうぞ?」
ほこりと湯気が立ち上ぼるそれは、まさに蒸したて。
今日、茶家に卸すのだろう。
「わ、いいのか?じゃあいただきます」
翠はこうして何かあると食べさせてくれる。
俺は遠慮なくと饅頭を持ち、半分に割った。
「ほら、半分こ」
綺麗に割れたそれの片方を差し出しながら、片方はさっさと口に入れる。
熱々がやっぱり好きだ。
「ほら、冷めちゃうから食えよ!美味いのは確認済だ」
行儀が悪いがもごもごと喋りながら空いた手でお茶を飲む。
翠が受け取った饅頭を口に入れると、さも自分の手柄のように美味いだろ?と言ってやる。
まぁまぁですよと、言う翠の耳がほんのりと染まっているのに気づくと俺はふふっと笑った。
俺より年上なのに可愛い。
体格はそこまで変わらないけれど、料理をする姿とかが繊細だなと思わせる。
口許を拭った翠は、半歩距離を縮めてから少し俯いてから聞いてきた。
「鴇…あの、今日は僕の番なのですが、夜は部屋に来ていただきたいのですが?」
「え、あっ、あぁ…うん」
「満月のようですから、二人でゆっくりお月見をしませんか?」
「うん、わかった…たぶん部屋にいるから呼びに来てくれれば行くよ」
夜のお誘いに一瞬戸惑ったが、翠の誘いは甘美だった。
翠の風流なところは凄く好きだ。
四季を大切にするところ。
そっと重ねられた手は少しだけ冷たく感じた。
翠の手伝いを終えると、いつもそうやって誘ってくれる翠に俺は頷くと、お茶の準備をする。
二人分の湯のみと急須。
湯呑みはそれぞれ自分の気に入った物を使っている。
「あ、お茶少ないな…買いに行かなきゃ」
茶筒を開けるとお茶の葉が残り少ない。
明日にでも買いに行こうかと思いつつ、明日は市が立つ日だったかと思い出した。
暦を確認すると間違いないため、鶯が売る野菜があれは一緒に行こうと思いなから茶葉を移した。
「翠、明日は市の日だけど何か買い物がある?お茶の葉が少ないから買ってこようかなと。それとたぶん鶯が行くだろ?だから荷物持ち?」
急須を翠に渡すと1度沸いたお湯の温度を下げでゆっくりとお茶をいれる翠。
翠のお茶は美味いんだよなぁ。
「味噌が欲しいですかね…それと、あったら七味。
この時期だから出ているかはわかりませんが、もしあればお願いします」
「了解、翠たまには一緒に行くか?いつも留守番だろ?」
「僕は大丈夫です。苦手なんです人混みが」
「そっか、じゃあ何かお茶うけ買ってくる。後で鶯にも行くか確認しなきゃ」
湯呑みを受け取りお茶を飲むと、優しい味がした。
ほぅと息を吐き出すと、小さな皿に饅頭が乗せられて差し出される。
「鴇、余り物ですがどうぞ?」
ほこりと湯気が立ち上ぼるそれは、まさに蒸したて。
今日、茶家に卸すのだろう。
「わ、いいのか?じゃあいただきます」
翠はこうして何かあると食べさせてくれる。
俺は遠慮なくと饅頭を持ち、半分に割った。
「ほら、半分こ」
綺麗に割れたそれの片方を差し出しながら、片方はさっさと口に入れる。
熱々がやっぱり好きだ。
「ほら、冷めちゃうから食えよ!美味いのは確認済だ」
行儀が悪いがもごもごと喋りながら空いた手でお茶を飲む。
翠が受け取った饅頭を口に入れると、さも自分の手柄のように美味いだろ?と言ってやる。
まぁまぁですよと、言う翠の耳がほんのりと染まっているのに気づくと俺はふふっと笑った。
俺より年上なのに可愛い。
体格はそこまで変わらないけれど、料理をする姿とかが繊細だなと思わせる。
口許を拭った翠は、半歩距離を縮めてから少し俯いてから聞いてきた。
「鴇…あの、今日は僕の番なのですが、夜は部屋に来ていただきたいのですが?」
「え、あっ、あぁ…うん」
「満月のようですから、二人でゆっくりお月見をしませんか?」
「うん、わかった…たぶん部屋にいるから呼びに来てくれれば行くよ」
夜のお誘いに一瞬戸惑ったが、翠の誘いは甘美だった。
翠の風流なところは凄く好きだ。
四季を大切にするところ。
そっと重ねられた手は少しだけ冷たく感じた。
22
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み
寄るな。触るな。近付くな。
きっせつ
BL
ある日、ハースト伯爵家の次男、であるシュネーは前世の記憶を取り戻した。
頭を打って?
病気で生死を彷徨って?
いいえ、でもそれはある意味衝撃な出来事。人の情事を目撃して、衝撃のあまり思い出したのだ。しかも、男と男の情事で…。
見たくもないものを見せられて。その上、シュネーだった筈の今世の自身は情事を見た衝撃で何処かへ行ってしまったのだ。
シュネーは何処かに行ってしまった今世の自身の代わりにシュネーを変態から守りつつ、貴族や騎士がいるフェルメルン王国で生きていく。
しかし問題は山積みで、情事を目撃した事でエリアスという侯爵家嫡男にも目を付けられてしまう。シュネーは今世の自身が帰ってくるまで自身を守りきれるのか。
ーーーーーーーーーーー
初めての投稿です。
結構ノリに任せて書いているのでかなり読み辛いし、分かり辛いかもしれませんがよろしくお願いします。主人公がボーイズでラブするのはかなり先になる予定です。
※ストックが切れ次第緩やかに投稿していきます。
親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話
gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、
立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。
タイトルそのままですみません。
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
この俺が正ヒロインとして殿方に求愛されるわけがない!
ゆずまめ鯉
BL
五歳の頃の授業中、頭に衝撃を受けたことから、自分が、前世の妹が遊んでいた乙女ゲームの世界にいることに気づいてしまったニエル・ガルフィオン。
ニエルの外見はどこからどう見ても金髪碧眼の美少年。しかもヒロインとはくっつかないモブキャラだったので、伯爵家次男として悠々自適に暮らそうとしていた。
これなら異性にもモテると信じて疑わなかった。
ところが、正ヒロインであるイリーナと結ばれるはずのチート級メインキャラであるユージン・アイアンズが熱心に構うのは、モブで攻略対象外のニエルで……!?
ユージン・アイアンズ(19)×ニエル・ガルフィオン(19)
公爵家嫡男と伯爵家次男の同い年の乙女ゲー転生BLです。
俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード
中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。
目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。
しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。
転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。
だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。
そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。
弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。
そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。
颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。
「お前といると、楽だ」
次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。
「お前、俺から逃げるな」
颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。
転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。
これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。
続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』
かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、
転生した高校時代を経て、無事に大学生になった――
恋人である藤崎颯斗と共に。
だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。
「付き合ってるけど、誰にも言っていない」
その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。
モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、
そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。
甘えたくても甘えられない――
そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。
過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの
じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。
今度こそ、言葉にする。
「好きだよ」って、ちゃんと。
お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!
MEIKO
BL
本編完結しています。お直し中。第12回BL大賞奨励賞いただきました。
僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!
「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」
知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!
だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?
※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる