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12話
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あれから数ヶ月、俺は軍医見習いとして騎士団に採用された。
短かった髪を更に短く刈り上げて。
譲って貰ったチュニックとズボンは、聖女と呼ばれていた時のスカート等よりずっと歩きやすかった。
こんな姿で俺が聖女だったなんてわかるはずがなく、名前も本名である『サハル』へと戻した。
流石にサシャと呼ばれればばれるし、サシャは俺が神殿へ入るときに貰った名前だから、それを神殿へ返したに過ぎない。
「これ、洗っておいて」
「はいっ!」
洗濯など、聖女になってからはやったことがない。
それも感覚を取り戻してきたのかだいぶ板についてきた。
汚れ物を冷たい川の水にさらし、少量の石鹸でもみ洗いする。
指先が痛くなるため、誰もやりたがらない仕事だし、見習いならば誰もが通る仕事らしい。
俺の後見人は伯爵だと知っているのは軍医様数人と、騎士団長のミゲル様。
言わないで欲しいとお願いをしたのは、できる限り周囲に迷惑をかけないようにするため。
サシャの名前と聖女の身分を捨てれば、俺は普通のサハルなのだから。
「うー……寒いし冷たいっ!」
それでも石造りの神殿よりは気持ちは暖かかった。
青く晴れた空から降り注ぐ日射し。
冷たい空気も聖女であった朝のお勤めで慣れている。
荒れた手は、いきなり回復させてしまうと不振に思われるだろうと、少しずつ回復をさせたりしているのは今のところばれてはいなそうだ。
しっかりと汚れを落とした洗濯物を固く絞ってから干すまでが仕事なのだ。
俺は少し水気で重くなった洗濯かごを持ち上げると、そのまま物干し竿のある場所へ運ぶのだった。
短かった髪を更に短く刈り上げて。
譲って貰ったチュニックとズボンは、聖女と呼ばれていた時のスカート等よりずっと歩きやすかった。
こんな姿で俺が聖女だったなんてわかるはずがなく、名前も本名である『サハル』へと戻した。
流石にサシャと呼ばれればばれるし、サシャは俺が神殿へ入るときに貰った名前だから、それを神殿へ返したに過ぎない。
「これ、洗っておいて」
「はいっ!」
洗濯など、聖女になってからはやったことがない。
それも感覚を取り戻してきたのかだいぶ板についてきた。
汚れ物を冷たい川の水にさらし、少量の石鹸でもみ洗いする。
指先が痛くなるため、誰もやりたがらない仕事だし、見習いならば誰もが通る仕事らしい。
俺の後見人は伯爵だと知っているのは軍医様数人と、騎士団長のミゲル様。
言わないで欲しいとお願いをしたのは、できる限り周囲に迷惑をかけないようにするため。
サシャの名前と聖女の身分を捨てれば、俺は普通のサハルなのだから。
「うー……寒いし冷たいっ!」
それでも石造りの神殿よりは気持ちは暖かかった。
青く晴れた空から降り注ぐ日射し。
冷たい空気も聖女であった朝のお勤めで慣れている。
荒れた手は、いきなり回復させてしまうと不振に思われるだろうと、少しずつ回復をさせたりしているのは今のところばれてはいなそうだ。
しっかりと汚れを落とした洗濯物を固く絞ってから干すまでが仕事なのだ。
俺は少し水気で重くなった洗濯かごを持ち上げると、そのまま物干し竿のある場所へ運ぶのだった。
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