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142話
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お祖父様の所に行くのだからと、比較的軽装を選んだがミゲル様には正装に近い物をと言われた。
何故?
そう思いながらも、俺は言われたように少し畏まったものを用意した。
本当は、騎士団の制服が一番畏まった服装なのだと思った瞬間、ミゲル様からやはり騎士団の制服にしてくれと。
しかも、略装ではなく正装で。
正装なんて年に数回式典の時にしか着ることも無い。
「ま、まぁこれから神殿にも寄らなければならない……からな?」
そう言うミゲル様に、そんなものだろうかと首を傾げた。
「外套も、頼む。馬車がいいだろうが騎馬で行く」
馬車だと、色々と足止めされると面倒だという理由らしい。
「かしこまりました。俺も制服の方がいいですか?」
「……いや、サハルは大丈夫だろう。悪いな」
俺は、重くしっかりとした正装を取り出す。
体格のいいミゲル様が着るものだから、それなりに大きく布を使っているため重い。
俺だったらこんなに重いものを着て動くのは難しいと思ってしまうくらいの物だ。
「サハル悪いな、書簡にしてくれ。封蝋も頼む」
教皇への面会申請の書類ができあがったのだろう。
「わかりました!それと、申し訳ありません直ぐにお返しするつもりだったのですが失念していました」
俺は親指に嵌ったままの印章を引き抜き、ミゲル様に近づくとそっと手渡した。
重いものの筈なのに、何故か俺の親指にしっくりと嵌り、すっかり忘れていたのだった。
これ失くしたら始末書ものじゃ済まないのはわかっている。
「あぁ、俺が騎士団長を退くときにはこれはサハルに渡すことになるかもしれない印章だからな」
「ミゲル様が引退するときは俺も一緒に引退します。少しずつお金を貯めますから一緒に老後を過ごしましょうね?」
俺はにこりと笑ってみせた。
だって、ミゲル様のいない騎士団に俺が残る必要はない。
まぁ、ミゲル様に捨てられたとかじゃなければずっと一緒にいたい。
「老後か……いいな、それも」
「はい!ミゲル様できました」
ミゲル様の書いた書状を糸で括りその中心を蝋で封緘する。
「サハル引き出しの中にインクが入っているそれを1滴風浪に垂らしてくれ」
「はい、これですか?」
机の引き出しの中に入っているのはミゲル様が使ういつものインクともう一瓶。
「そうだ、白い便の方だ」
一緒に置いてあったスポイトで吸い上げると一滴蝋の部分に垂らす。
「それがあのライトで光るインクだ」
「これがですか?」
「あぁ、特殊なものだ」
俺はその珍しいインクを瓶ごと持ち上げる、色も何もない不思議なインクだった。
何故?
そう思いながらも、俺は言われたように少し畏まったものを用意した。
本当は、騎士団の制服が一番畏まった服装なのだと思った瞬間、ミゲル様からやはり騎士団の制服にしてくれと。
しかも、略装ではなく正装で。
正装なんて年に数回式典の時にしか着ることも無い。
「ま、まぁこれから神殿にも寄らなければならない……からな?」
そう言うミゲル様に、そんなものだろうかと首を傾げた。
「外套も、頼む。馬車がいいだろうが騎馬で行く」
馬車だと、色々と足止めされると面倒だという理由らしい。
「かしこまりました。俺も制服の方がいいですか?」
「……いや、サハルは大丈夫だろう。悪いな」
俺は、重くしっかりとした正装を取り出す。
体格のいいミゲル様が着るものだから、それなりに大きく布を使っているため重い。
俺だったらこんなに重いものを着て動くのは難しいと思ってしまうくらいの物だ。
「サハル悪いな、書簡にしてくれ。封蝋も頼む」
教皇への面会申請の書類ができあがったのだろう。
「わかりました!それと、申し訳ありません直ぐにお返しするつもりだったのですが失念していました」
俺は親指に嵌ったままの印章を引き抜き、ミゲル様に近づくとそっと手渡した。
重いものの筈なのに、何故か俺の親指にしっくりと嵌り、すっかり忘れていたのだった。
これ失くしたら始末書ものじゃ済まないのはわかっている。
「あぁ、俺が騎士団長を退くときにはこれはサハルに渡すことになるかもしれない印章だからな」
「ミゲル様が引退するときは俺も一緒に引退します。少しずつお金を貯めますから一緒に老後を過ごしましょうね?」
俺はにこりと笑ってみせた。
だって、ミゲル様のいない騎士団に俺が残る必要はない。
まぁ、ミゲル様に捨てられたとかじゃなければずっと一緒にいたい。
「老後か……いいな、それも」
「はい!ミゲル様できました」
ミゲル様の書いた書状を糸で括りその中心を蝋で封緘する。
「サハル引き出しの中にインクが入っているそれを1滴風浪に垂らしてくれ」
「はい、これですか?」
机の引き出しの中に入っているのはミゲル様が使ういつものインクともう一瓶。
「そうだ、白い便の方だ」
一緒に置いてあったスポイトで吸い上げると一滴蝋の部分に垂らす。
「それがあのライトで光るインクだ」
「これがですか?」
「あぁ、特殊なものだ」
俺はその珍しいインクを瓶ごと持ち上げる、色も何もない不思議なインクだった。
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