【BL】ほれぐすり

梅花

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4話

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「えっ、待っ……ヴィ……っ」
 フェイは慌てるが、上手く声にならない。
「待たねぇよ……薬のおかげでもうこんなだ……」
 布越しではあるが、腰を押し付けられてヴィンセントの下肢がどうなっているか同性だからわかる。
「でも、いきなり突っ込んだりはしねぇから安心しろ……それにそこまで俺のはデカくねぇから」
 そう言われても、比べるのは自分のものしかないのだが。
「ヴィンセントさん……手、離して……」
 漸く何とかそれだけ声を絞り出す。がっちりと頭上で一纏めにされた手。抗おうとしてもヴィンセントの力で掴まれているためフェイにはそれを解く事が出来なかった。
「これが好みだと思ったんだが」
 その言葉に顔が熱くなった。春画の中にそんなシーンがあったのだ。
「え、それは……違っ……それに、初めて……だからっ、するなら優しくして、欲し……」
「そうか?」
 腕を掴むヴィンセントの力が抜けて手が離れる。
「キスはしてもいいのか?」
「はい、さっき……薬を飲まされたときに、既にしてるじゃないですか」
「そうだな」
 くすりと笑ったヴィンセントの指がフェイの唇を撫でてから顎や喉に触れていく。
 あ……と、思った瞬間唇で唇を塞がれた。
「ん、ふ……」
 チュッと吸われる感触。生暖かいぬるりとしたものが唇をこじ開けて来ようとして、それが舌だと認識する。
「んーッ……」
 ぞくりとフェイの背筋を何かが駆け上がる。
 経験したことの無い感覚に声が漏れる。
 少し高く掠れて聞こえるその声はまるで自分のものではなくて口を噤もうとしたが、差し込まれた舌に阻まれる。
 くちゅくちゅと絡まる舌に苦しさを覚えてヴィンセントの胸を押し上げ離れようとするが、そのみっしりした筋肉の身体はビクともしない。
「……っん」
 苦しくなり過ぎてヴィンセントの腕に爪を立てると漸く唇が離れ銀糸が伝う。
「っは、はぁ……」
 部屋の中にフェイの甘い吐息だけが漏れている。
「苦しかったか?そんな時は鼻で息をするんだよ」
 クスクスとヴィンセントに笑われ、ヴィンセントの指先がちょんとフェイの鼻先に触れたがそんな事を考えている余裕がフェイには無かった。
「むり……は……はぁ……苦し……」
 酸素を取り込もうとして浅い呼吸を何度も繰り返していくうちに漸く意識がはっきりしてくると、服がいつの間にか脱がされている事に気付いた。
 フェイが纏うのはボタンではなく紐で結ぶ少し独特の形をしているが、幼い頃からこの形に慣れ親しんでいるためずっとこれなのだ。
「フェイの服は脱がせやすいな……だが、少し心配だな。はだけたら見えちまうだろうが」
 何をと聞く前に、ヴィンセントが触れたのは胸の突起。
「んッ」
 フェイの口から小さく声が漏れた。
「何だ、自分で触ったりしてんのか」
 耳元で囁かれる甘い声にフェイは頭を左右に振った。
「してない……です、そんな……」
「だけど、気持ちいいみたいじゃないか。触る度に身体が跳ねてる」
「はい、気持ちいいです。ヴィンセントさんに触れられるのが。自分で触った事はないですけど」
 フェイはにこりと微笑みながらヴィンセントの首に腕を回して引き寄せる。
「僕の身体……おかしくありませんか?ヴィンセントさんが抱いてきた中の人達と同じですか?」
「馬鹿。むしろ綺麗だな……何処もかしこも」
 ヴィンセントがフェイの全身をくまなく見たあとヴィンセントの唇が耳朶を噛んだ。
「ひゃ、んッヴィンセントさん……駄目、くすぐったい」
「可愛いなフェイ」
「そんな……嬉しい……言われた事無いです」
 フェイは艶やかに微笑みを浮かべた。
「嬉しい。少しでもヴィンセントさんに好きになって欲しい……だから、僕もヴィンセントさんを気持ち良くしたいです」
 そっとフェイはヴィンセントを引き寄せてキスをする。
 経験が無く、キスすらも初めてだが出来ることは何でもしたいとたどたどしくも唇を合わせた。
「ん……」
 絡めるように互いに舌を動かしていく。
 絡まり合う唾液が口内に満ち、こくりとフェイが飲み込むタイミングでヴィンセントは唇を離す。
 薬の作用か互いの身体が燃えるように熱い。
「は……ぁ、んッ……」
 ヴィンセントの指先がフェイの胸を撫で上げて小さな突起を摘むと、ジンとしたえも言われぬ刺激がフェイを襲う。
 声を上げてヴィンセントを見上げるフェイの瞳は熱にうかされるように潤んでいた。
「もっと……したいです。口付け……ヴィンセントさん……」
 甘えるような声でのおねだりをされるとは思っていなかったヴィンセントは大きくひとつ息を吐き出した。
「本当に初めてなのか?」
「……はい、何か粗相をしてしまいましたか?」
 フェイはフェイで春画での性行の知識はあるが、作法などは知らないのだ。
「いや、そうやってしたい事やされたいことを伝えるのは良い事だし、俺には可愛いが、可愛すぎてどうしていいかわからねぇんだよ」
 ヴィンセントは時折ギルドにやってくる好みの薬師と近づきたかったが、なかなかタイミングがはかれずにいつも見送っていたのと、合わせてだんだんと衰えを見せてきた性欲。
 年の差は否めないが、もし万が一フェイが告白に了承した後で若い身体を満足させられなければ別れを切り出される事だろう。
 だから恥を忍んで本人に精力剤を頼んだ。
 多少なりとも引かれる覚悟をしていたヴィンセントだったが、そんな素振りは全く感じずフェイは作ったことがないけれど、それでもいいのならと心良く了承してくれた。
 ヴィンセントはまさか了承してくれるとは思っておらず、フェイが出した条件にのり薬を頼んだ。
 そうすれば通常よりも顔を合わせる機会が多くなるだろうという打算も少しだけあったのは否めない。
「フェイは、触られて何処が気持ちイイ?」
「全部……ヴィンセントさんが触れてくれる場所は、どこも全部気持ちいいです。全部が初めてでですけれど」
「そうか、じゃあもっといろいろとしてやろうな」
 触れていないところ全てに触れてフェイが泣くまで気持ち良くしてやりたいと思う。
 長く生きている分だけ、それなりの技術は磨いてきたのだと自負するヴィンセント。
「唇から顔から全部俺が触れてない所がないように……な」
「は、はい」
 フェイとすれば、憧れていた人に触れてもらえるし、ヴィンセントとしても同様だ。
「嫌なところは言ってくれ?辛いのを我慢するのは間違いだから……ただ、どうしても痛みはあると思う……無理にはしねぇから」
 ヴィンセントの唇が頬から首筋、鎖骨に触れていく。
 フェイの唇からは甘い声が漏れた。
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